トップが唯一頭の上がらなかった師──伊達政宗
会社が成長すると、
社長は強くなります。
売上は伸びる。
社員は増える。
誰も逆らえなくなる。
そして、
「それは違います。」
と言える人が、
少しずついなくなっていきます。
これは現代企業でも、
決して珍しい話ではありません。
戦国時代も同じでした。
伊達政宗。
東北を代表する戦国大名となり、
家臣たちは、
政宗の一言で動き、
政宗の機嫌をうかがい、
やがて誰もが、
「殿のお考えは、その通りです。」
と言うようになります。
しかし。
一人だけ、
例外がいました。
師・虎哉宗乙です。
🏯 社長になっても、弟子は弟子。
政宗は、
宗乙の前に出ると、
必ず姿勢を正し、
静かに教えを聞いたと伝えられています。
天下に名を轟かせた武将が、
師の前では、
一人の弟子へ戻るのです。
現代なら、
何百億円もの会社を率いるCEOが、
新人時代の教育担当の前だけは、
今でも素直に話を聞くようなものです。
地位ではなく、
敬意。
権力ではなく、
信頼。
二人の関係は、
教育が終わったから終わるものではありませんでした。
📜 師弟の縁は、生涯続いた。
政宗は、
父・伊達輝宗の菩提を弔うため、
覚範寺を建立します。
そして、
その開山として迎えたのが、
師・虎哉宗乙でした。
教育者として出会った二人は、
年月を経て、
人生そのものを支える存在になっていきます。
これは、
「先生と生徒」
という関係ではありません。
人生を見守り続ける、
最も信頼できる助言者でした。
🏢 理想の社外取締役とは。
現代企業にも、
社外取締役や監査役という制度があります。
その役割は、
社長に気に入られることではありません。
会社を守ることです。
だから必要なら、
「その判断は違います。」
と言わなければなりません。
評価が下がっても。
嫌われても。
会社の未来のためなら、
耳の痛いことを伝える。
それが、
本当の独立性です。
実は、
会社を大きくする人は、
社長かもしれません。
でも、
会社を長生きさせる人は、
社長に本当のことを言える人なのかもしれません。
伊達政宗は、
間違いなく名将でした。
しかし、
その名将を育て、
成功した後も見守り続けた虎哉宗乙も、
また歴史に残る人物だったのでしょう。
人は、
教育だけでは育ちません。
成功した後も、
正しい方向へ導いてくれる人がいて、
初めて大きく成長します。
伊達政宗が最後まで政宗であり続けられた理由。
その一つは、
「社長、それは違います。」
と、
生涯言い続けられる師が、
そばにいたからなのかもしれません。
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