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西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派までサンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館

 ストレス発散には美術館。
 これは自分のなかで決まっているのだけど、最近行ってなかった。
 普段は半休をとって仕事前後に行くのだけど、今回は休日に、できれば2館回ろうという企みで上野へ向かった。

 いやー面白かったー!やっぱり絵はホンモノがいい。ホンモノから放射される力が凄まじい。あまり興味がないと思うジャンルでも、よく見ると面白いと思えてきたり、発見がある。
 そして国立西洋美術館の企画展はボリュームが凄い。3時間近くかかったよ。お腹減った。
 そして驚いたのは写真OKってとこ。いいのかしら。

マリー=ガブリエル・カペの自画像のポスター

 このカペの自画像。めちゃくちゃかわいい。本物はもっとかわいい。
 この絵をカペは22歳の時に書いているらしいのだけど、繊細な髪やレースの表現、あざやかな色使い、説明書きによるとアカデミックなところへデビューするために描いたらしいのだけど、何という自信にあふれた表情。かわいい。
 こんなかわいい人いる?だいぶ、盛ってると思うんだよなぁ。大きなリボンもバカっぽさ、隙を演じている感じがする。
 今風に言うとあざといっていうのかなぁ。絵を売りたい、いい絵、ってだけじゃなくて、こんなかわいい子が描いた絵なのよ!みたいな。わたしに注文くれればみんなこんなふうにかわいく描いちゃうよ!みたいな。

 1783年制作だというから250年近く前。江戸時代。250年経ってひとりのオジサンを魅了するんだから絵っていうのは凄い。
 例えば好きなアイドルがいたとしてですよ、写真集なり何なりを買って「かわいいなぁ」ってあるわけじゃない。
 年を取ったから知ってるけど、あれってだんだん古びていくものなんだよね。いつまでも変わらず美しいものではない。
 でもカペはかわいいもんなぁ。凄い。
 凄くて、250年も経って「オマエ盛っただろ」って言われるカペかわいい。

 そして何より、本作は国立西洋美術館所蔵なんでしょ?外に出されなければいつでも見られる。そういえば、これまで常設展は見たことがなかった。しまったなぁ。もっと早く出会っておきたかった。

 あとはいろいろ、きりがないので「何がよかった?」ふうに。

 ティツィアーノ。工房を持ち絵画を大量生産した巨匠、ザンネンなことにわたしはティツィアーノが大好き。

ティツィアーノ サロメ

 今回も1作品、工房で書かれたものの仕上げをティツィアーノが行ったという、ヨハネの首を持ったサロメの絵があった。主題はアレだけれども、きらびやかなティツィアーノテイストは健在。
 この絵、サロメの表情がいい。どういう感情?誇っているような、顔を背けているような、、真反対の感情を感じる。それから、母ヘロディアの映り込みがシブい。ティツィアーノって背後に回らせるの好きだよね。
 でもこうやって写真を見ると、面白いほどに実物の良さがぜんぜん伝わらない。もっとすごいんだから!ホンモノは!!

 ルーベンス。パトラッシュ、もう疲れたよ、、華やかで、素人でも構図に特徴があるのがわかる。

ルーベンス おおルーベンス

 絵だけど動いているようなダイナミックさ。こりゃネロもパトラッシュに見せたかったわけだ。

 エル・グレコ!遠くで見てもエル・グレコ、近くで見てもエル・グレコ。わたしもトレドでエル・グレコの絵を見たことがあるのでなんか嬉しい。
 黄色と青の衣装が鮮やかなペテロの悔悛、泣いてるって話だったけどときめく乙女みたいな表情に見えたな。
 イエスを知ってるかと言われて3度否認するわけだけども、そもそもイエスに「オマエ否認するから」って予言されてるから、否認するしかないよね。そんな自分かわいそう!って酔ってる感じに見える。

泣いてる?ときめいてない?

 それから国立西洋美術館所蔵の十字架に張り付けられたイエス。縦に引き伸ばされたイエス、その背後の雲、足元のガイコツ、ドラマチック。売れるのは理由がある。
 サンディエゴ美術館にはスペイン人作家の絵が多いらしくこの展覧会にはスペイン人の作品が多い。「エル・グレコ」は名前の通りギリシャ人だけど。

 そのサンディエゴ美術館のメインらしい、コターンの静物画はあんまりだったな。そもそも静物画自体いいな、と思ったことがない。スペインの静物画「ボデゴン」の最高傑作らしいのだけど。
 でも、スルバランの神の子羊はよかった。キリスト教徒じゃなくても、敬虔な気持ちが引き起こされる。

イエス様みんなのためにありがとう

 ポストカード買って家に貼っておこう。

 それから、スルバランの等身大の人物画が3点並んで展示されていたけど、左右の絵が中央を向いて引き立てる構図で、左右はサンディエゴ美術館、中央にはバシッとこちらを見つめる構図の国立西洋美術館所蔵作品。
 この特別展では同一作家のそれぞれの美術館所蔵品が並んでいることが多いのだが、この3枚は印象的だった。

スルバランの人物画3点セット
with消しゴムマジック

 時代が下がってくると宗教画から風景画、人物も偉い人の肖像画から一般人、働く人が主題になってくる。

 風景画のなかでもロベールのローマ景観は、いいところだけ集めたフェイク景観らしい。

こんなにひとつのところに集まっていないらしい

 でもこういう絵は旅行者だと嬉しいよなぁ。ローマには行ったことがないけど、見たものがあれもこれも1枚の絵になっているという夢のオールスター。
 最近は写真が多いと思うが、絵っていうのもこれがまた、いいなぁ。それだけではなくて、写真で見切った下側に描かれた人々がひとりひとり興味深い。ずっと見ていられる画だ。

ソローリャ

 緻密な筆の画ばかり見てきたが、ソローリャの筆使いは大胆でざっくり。光が感じられて、動きもあって、印象派っぽくも見える。他の絵はそうでもないけど、この絵は印象派っぽい。
 と思ってモネの見返り婦人(日傘をさす女)を見返したら、ぜんぜん違った。

 絵の具がモリモリなんだよなぁ。写真だと平坦だけど、もっと立体的なのよ。
 ゴッホのひまわりはもっと凄い。あれはもう絵じゃないというか、絵の具で粘土細工をしているみたいな。感じよね。

 さて、3時間立ちっぱなしで疲れたわたしは、別の美術館にいく気力がなくなったので、このあと国立西洋美術館の常設展へ足を運んだのだった。。
 いやさ、「もう、フェルメール作って言っちゃえよ!」っていう疑惑の作品があるらしくて。それで疲れて椅子に座ってピカソの絵をずっと見てたら、なんとピカソが解った気になってしまった、、、!


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