見出し画像

生活の中に音楽がある人々(四):ロックバンド&ライブハウス

Vol 28  日本 ロックミュージック愛好者 サラリーマン 定年退職者 ワーキング・ウーマン


 バンドは楽しい

前3回で紹介した「音楽スタジオエンジョー」は毎年の春と秋にライブを開催しています。「当スタジオで練習活動をしているバンドたちに表現の場を提供するこのイベントはもう10年も続いています」と経営者の杉本さんは説明します。

「バンドが楽しくてたまらない」とライブを楽しんでいる出演者たちの様子から、杉本さんは次のような質問に答えてくれました。

Q:どうして飽きずに長く楽器が続けられるのでしょうか?
A:バンド活動があるからです。その前に個人練習をしっかりすることが必要ですけどね。
 
Q:どうすればプレーが上達しますか?
A:目標や課題を持ち、練習することです。年に2回のライブは日ごろ練習の目標で、曲目を完成させるために、多く課題と向き合う必要があります。
 
Q:一人で練習するのは退屈になりやすいですが、楽しい方法はありますか。
A:楽しい方法とは言えなませんが、正しい方法はありますね。怠惰に時間をかけるよりは、集中した10分〜20分の練習が習慣になると良いです。
空いた時間を自分が楽しい曲を聴くのにあてたりできます。
バンド活動をしているのであれば、みんなで練習した時に理解した自分の課題を個人で練習することも必要ですね。

ライブは自己表現の場

スタジオでの練習は、自分たちの演奏を確認したり、改善したりするための時間です。定期的にバンド練習を重ねることで、演奏技術も表現力も磨かれます。
春と秋のライブはこれまでの練習成果を披露する晴れ舞台で、4つのバンドが登場します。

「D-ZONE」というバンドは、1回目の記事の主人公であり、67歳の石川さんとほか50代の現役のサラリーマン3人です。月に2回集まって練習しますが、メンバーの一人は、石川さんの元同僚で、練習の場所を約370㎞離れた東京から来ているそうです。

ライブ中の「D-ZONE」

東京と名古屋を往復する時間も交通費も労力も惜しまないほど、音楽の好みや感性が合う人たちと一緒に活動する魅力に取りつかれたのでしょう。

平均年齢が最も若いバンドは「SPADE」です。30代のボーカル兼ギタリスト、40代のドラマーと50代のベーシストは、それぞれ所属したバンドが解散され、共通だった活動拠点のスタジオエンジョーのつながりで、新たに組み合わせたバンドです。

彼らはオリジナル曲を演奏する方向性を定めています。ボーカルの方は作詞・作曲を担当し、3人は時間をかけて完成した作品をステージで披露しました。

ライブ中の「SPADE」

毎回の会場の一角にジャーム販売コーナーが設けられています。販売主はこのバンドのベーシストの方で、彼の職業は日本料理の板前ですが、バンドのほか、様々な季節の果物で究極なジャーム作り・販売することも趣味だそうです。

このベーシストのジャーム製品

本業のほか、ジャーム作りとバンド活動の時間のねん出が大変と言いながら、充実感と満足感のある人生を満喫している様子を見せました。

「スーパーのフライ」という名前が面白そうなバンドは、中学時代の同級生の3人で構成されています。このバンドは、彼らの10代頃からの友情を引き継いた形と言うべきでしょうか。

人生のもっとも忙しい時期が過ぎ、50代に突入した頃、彼らはバンドを結成し音楽の趣味に時間を注ぎはじめました。「スーパーのフライ」は約7年間続いています。

コミカル風のオリジナル曲は「スーパーのフライ」の特徴で、おどけた衣装と自作した歌を披露しました。初老の3人の男が集まり、ふざけたおしゃべりのような歌が会場の笑いを誘いました。

ライブのハイライトとクライマックスは、オーナーの杉本さんが率いる「コペルニクス」のパフォーマンスでした。

ライブ中の「コペルニクス」

感情豊かな表情、体の大きな動き、迫力のある音とまばゆいばかりの光のエフェクトで、彼らは自分の音楽を聴く人に届けます。

ライブ会場

ステージと観客の間に生まれた一体感と温かい雰囲気に、観客は思わずロックのパワーに突き動かされ、体を揺らしたり、音楽に合わせて歌ったりしていました。

ライブ中の「コペルニクス」

演奏者と観客が音楽を共有する場面は、杉本さんの言う「音楽で人を楽しませる」というプロの実力を見せました。

ライブ中の「コペルニクス」

進化し続ける努力

音楽スタジオは、音楽愛好者たちの活動のプラットフォームとなっていますが、変化の激しい時代に置かれないために、経営者が何をすべきかと杉本さんに聞きました。

生徒や利用者の皆さんはよく経営者のことを見ています。トレンディに鈍感であったり、昔と変わらないことをやっている経営者であれば、お客さんは徐々に離れていきます。
 
僕は常に音楽業界の変化にアンテナを立て、今というものを自分が知り続けているつもりです。音の表現の仕方や、進化している楽器の取入れなどを、みんなと接する中やスタジオの運営に反映しています。

資料:器具のあわせで楽器の新しい音を作り出す研究

 例えば、同じものを使っているとしても、「昔はこういうふうに使っているが、今はこういうふうに使った方がいいんだよ」と、使い方が変わり、音の傾向性が変わるとの研究を常にしています。
 
私がやっている新しいことは、みんなにとって新しい情報になり、「自分もやってみたい」という刺激にもなっています。わからないことについて、「先生に教えてもらったり、議論しあったり」して、彼らは自分自身が進化していきます。
 
「あのオーナは新しいことをしている」との認識から、みんなが時代に遅れる心配をせず、安心してついてきてくれているんです。僕は進化していれば、この施設のスタイルが変わらないと思います。

新しく作った音の仕組みを説明している杉本さん

杉本さんは、十数年前ユーチューブに音楽番組の映像を発信する活動から、オピニオンリーダーとしていつも先頭に走り続けてきました。スタジオの利用者や音楽教室の生徒たちは、音楽の練習や勉強のほか、時に、杉本さんにいろいろ相談もしたりします。
 
相手の職場や子どもの教育について悩みなどにおいて、杉本さんは、人間と接する仕事を多く携わってきた経験から、自分の考え方や適切な対処方法をアドバイスします。

スタジオエンジョーが引き付ける力を持っていることは、「マイケルVスギモトによる独自の指導法」や専門分野での先駆的な活動だけでなく、杉本さんの個人魅力にもあるのではないでしょうか。

資料写真の提供者:Michael V Sugimoto

本文の中国語バージョン

 


いいなと思ったら応援しよう!