ECMO④|15分
「あれから、良い意味で “現状維持” の状態です」
朝の電話から6時間近くが経過していたが、特に問題はなく、各数値も改善傾向にはあるようだった。
しかしながら、やはり早産による “肺機能の未熟性” があり、それによって低血圧やその他症状を引き起こしているという見解であった。
先述の通り、「完全大血管転位症」の手術で「肺」が原因でECMOに乗るケースは、外科医も25年以上の歴がありながら見たことのない症例。
前例がなく情報も乏しい中、医療チームの中でも、特に“小児循環器科” が全国の機関と情報共有をしつつ、対応してくれているようだった。
そして、今後は月曜日の「離脱トライ」に向けて、投与薬のコントロールをしつつ、
“人工心肺の圧を下げる”
“直接肺の洗浄をする”
といった処置も加え、状態を整えていくとのこと。
息子の命を救うため、全員が最善を尽くしてくれているこの状況は、本当に感謝しかない…
そんな中、実際の「ECMOの管」も改めて見せてもらった。
胸は開かれたままであり、そこに “2本の大きな管” がつけられている。
もちろん、どういう原理かはわかってはいたものの、いざ目の前にすると正直惨い。
親として、我が子のこういった姿を見るのはやはり辛かったし、人によってはトラウマものだろう…
そして、そのまま身体全体も見せてもらったが、顔だけでなく手や足の浮腫みが目立つ。
ECMOに乗っている間はどうしてもやむを得ないとのことだったが、離脱さえ出来れば基本的には回復してくるという。
だが、離脱トライは週明けのため、少なくとも週末はこの闘いが続く…
私たちにとっても、神経をすり減らす闘いであった。
そして、医師と看護師から
「直接触れてあげて下さい^^」
と促され、夫婦でスキンシップをはかる…
優しく頭を撫で、顔に手を当て、改めて顔を見る。
手術前の顔の面影は全くないが、どんな姿をしていても、やはり我が子は愛おしい。
そして、そのまま全身に触れていき、足を揉みほぐし、腕をさすり、手を握る。
浮腫み始めた身体の一部は、闘いの過酷さを物語っていた…
「凰理、本当によく頑張ってるね」
「お父さんとお母さんずっと一緒だからね」
「愛してるよ」
先述の通り、ICUの面会は「15分」という時間制限があるため、必然的に語りかけることが多くなっていく…
「心臓と肺、しっかり休ませようね」
「落ち着いてね」
「凰理なら出来るよ」
寝たきりの息子に、当然反応は無い…
だが、私たちの声は必ず届くと信じ、時間が許す限りずっと話しかけていた。
そんな中、面会の終了時間を迎え、
「凰理、また明日ね」
と伝えて、息子の元を離れる私たち…
息子の寝姿に、“生きる意志” を感じ、明るい未来を見い出せたこの日の面会だったが、やはり離れるのは寂しい。
そして何より、去り際の “息子から視線を切る瞬間” は、NICUの入院の時以上に胸が張り裂けそうになるほど苦しかった…
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