ECMO⑬|エネルギー
妻と息子と3人で過ごすひとときは、本当に尊く、幸せを感じる。
状況が厳しかろうが、息子がどんな姿をしていようが、そのひとときだけは笑顔に、そしてポジティブになれる。
息子にエールを送ると共に、私たちも息子からエネルギーを貰い、面会前よりは前向きになれたのは間違いない。
実際、面会後は、
「俺たちの記念日に合わせてきたと思ったけどなぁ(笑)」
と、妻と冗談を言えるほど持ち直していたし、私の母とも合流した際も、比較的落ち着いて状況を話せていたと思う。
だが、徐々に現実に引き戻されるというか、どうしても意識がそちらに向いてきてしまう…
「厳しい現状」というあの言葉が、頭から離れないのだ。
そんな中、私の母以外の家族へ改めて報告をする。
しかし、外科医から説明されたことを、そのままを文章にすると、正直 “絶望的な状況” にしか映らない。
「厳しい状況」という言葉、そして何より “原因がわからない” ということが、想像以上に私たちを苦しめていた。
医療チームにとってもここまで想定外が続くのはなぜなのか...
何かが噛み合わないのか...
あらゆることを考えてしまうが、わからない以上それより先に進まない。
それがまたもどかしい...
また、正直この離脱失敗後は、特に記憶が曖昧な時である。
感情の起伏が激しく、あらゆる方向に意識も向き、心のエネルギーがどんどん浪費されていく感覚…
人生でこんな精神状態に陥ったことなどない。
当然、最悪の状況など考えたくはなかったが、その世界線の未来を嫌でも想像してしまう。
正直、この辺りが精神的に一番しんどかった。
それだけ、この “離脱失敗” という出来事は、私たちの心を抉っていたのだと今でも思う。
そんな中、病院を後にし、タクシーで3人とも帰路につく。
家に着いてからは、私は項垂れ、妻は泣いていた。
2人で身を寄せ合うも、互いに言葉にならない。
無言のまま、時間だけが過ぎていった…
そして、家の中というのは、本当に気が巡らない。
私たちの負の感情がずっと部屋の中を漂っている感じであった。
窓を開けたり、浄化でもすればよいのだろうが、そういうことに意識が向かない。
動く気力はとうに尽きており、心身共に “崩壊” に近い状態であった。
出来ることは、もう “寝る” ことしかなく、ひとまず身体を休めようと、2人でベッドに横になる私たち。
しばらくは、寝ているのか起きているのかもわからないような、フワフワした時間だったような気もするが、気づけば数時間が経過し、外も暗くなっていた。
しかしながら、睡眠を取ったことで、少しずつ冷静さを取り戻していく。
また、よくよく考えてみれば、朝から “ニョッキとフルーツ” しか食べておらず明らかな空腹… 完全にエネルギー不足であった。
そんな中、ここで活躍したのが、昼間に私の母が買ってきた「天むすと焼売」。
夕食を作る気力の無かった私たちにとって、この存在は本当に大きく、改めて、母には感謝しかない。
そしてまたこれが、めちゃくちゃ美味しい…
お腹も気持ちも満たされ、エネルギーが戻っていく私たちであった。
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