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ECMO⑦|挑戦


面会2日目も、時間はあっという間に過ぎていった。

医師の報告中の時間は考慮してくれるものの、やはり息子との触れ合う時間が15分というのは儚く短い。

だが、ある意味そのおかげで、人生の中でも類を見ないほど “濃密な15分” を毎日過ごせていたように思う。


そして、面会後は私の両親と共に、病院近くのショッピングモールで買い物をし、そのままそこで夕食を取ることに。

食事をしながら、息子の状況を改めて共有したが、手術当日の “闇に包まれるような雰囲気”と比べれば、両親も落ち着いて現状を受け入れることが出来ていたように思う。


ただ、私の両親も、つい先日「祖父母」になったばかりの身であるし、“孫と触れ合いたい” という想いは、少なからず持っていただろう。

特には私の母は、先述の通り、乳幼児と関わる仕事をしていることもあり、より一層 “自分の孫” と触れ合うのを心から楽しみにしていた。

そんな想いを胸にしまい、私たちを支え、孫にエールを送る姿を見ていると、“1日でも早く、凰理と触れ合わせてあげたい” という気持ちがより一層強くなっていく。


また、私の父とは、“凰理がなぜこの状況を選んだのか” という話もした。

先述したように、私は、起こることには必ず「意味」があると思っている。

妻が「全前置胎盤」であったこと
息子が「完全大血管転位症」を持って生まれたこと
手術が順調に行かなかったこと…

そして、今ECMOに乗っているこの瞬間も、全てにおいて何かしらの意味があるのだろう。


「意味」は目に見えるものではないし、あくまで感覚的なことだ。
思案するまでもないのかもしれない。

だが、こういう状況下では、たとえ自らの願望がそこに含まれていたとしても、“意味づけ” をすることで親として救われる面があるのは、この激動の日々で、身に染みて感じていた。


そして、改めて考える… “なぜ息子がこの状況を選んだのか?” 


思い浮かんできていたのは、


“息子にとっての「挑戦」”


ということだった。


“人は使命を持って生まれてくる” と言われるが、それと共に「課題」も持っていると聞く。

輪廻転生という概念を元に、その課題をクリアしていきながら、“魂のレベル” を上げていくというものらしい。


もちろん、諸説あるのは前提としてだが、そういう背景があるとするならば息子は、


“今世でその課題をクリアすべく、挑戦するために生まれてきた” 


のではないかと思ったのであった。


「全前置胎盤」の中で成長していくことになったとしても。

「完全大血管転位症」と「内反足」という2つの先天性疾患を持っていたとしても。

手術が成功せず、「ECMO」に乗ることになったとしても。


妻のお腹に命を宿したその日から、この世に生を享け、今日に至るまでずっとずっと闘っている息子。

序章から、“命懸けのとてつもない大きな課題” と向き合うことになった人生だが、それを乗り越えてこの先の人生を歩んでいく…

息子はそういう今世を選んできたのだと、改めて思った。


その壮大な序章から始まる息子の人生の “親” として選ばれたのが、私たちだ。

これはきっと名誉であり、誇らしいことなのかもしれない。


だが、人間である私たちからすれば、

(普通の人生で、元気にいてくれればそれで良いんだよ…)

という思いは拭えない。


だが、きっと息子は、“私たちが父と母だからこそ挑戦した” のだ。

根拠はないが、私はそう確信している。


だからこそ、息子は挑戦し、乗り越えることが出来ると私たちは信じていた。


“乗り越えられるから、私と妻という存在がいる” のだと。

そして、この先も懸命に闘っている息子をサポートすべく、私たちが存在し続け、信じ続けようと改めて思った。


あらゆる会話をした家族の食事だったが、心身共に疲弊していた中、本当にリフレッシュする機会となった。

送迎に夕食もご馳走になり、何から何までサポートしてもらって、本当に私の両親には頭が上がらない…



つづく



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