手の中の音楽47〜エラ・フィッツジェララルドが歌うロジャース&ハート
映画「ブルームーン」の感想を書きながら、エラ・フィッツジェラルドのアルバム「Ella Fitzgerald Sings the Rogers & Hart Song Book」を思い出した。
ロレンツ・ハートの人生を考えながら、このアルバムを改めて聴いてみた。
背景を少し。エラは1930年代から活動、デッカ(Decca)からシングルを発表する。1950年代に入りLPレコードが普及する中、1956年に音楽プロデューサー、ノーマン・グランツが創設したヴァーヴ(Verve Records)と契約、最初にリリースしたのがコール・ポーターの楽曲を収録した「Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book」。その後もエラはSong Bookシリーズを録音するが、その2作目に選ばれたのがロジャース&ハートで、前述のアルバムがやはり56年に世に出た。
「〜the Rogers & Hart Song Book」は、「The Penguin Guide to Jazz Recordings」で満点の評価。「グラミーの殿堂(Grammy Hall of Fame)」という、発売後25年以上が経過した名作アルバムに送られる賞があるが、1999年に本作は殿堂入り。エラのアルバムとしては「Ella in Berlin」と共に最初である。
本作には34のロジャース&ハート作品が収められ、どれも名曲・名演であるが、その一部をご紹介する。なお、プロデューサーはノーマン・グランツ、指揮・編曲はBuddy Bergman。
6曲目に入る“The Lady is a Tramp“。‘Tramp‘とは<浮浪者、放浪者>という意味。ディズニーの「わんわん物語」の原題が「Lady and the Tramp」。この曲での‘Tramp'は上流社会のしきたりを気にしない、自由奔放の女性という意味。最初の節は;
She gets too hungry for dinner at eight
She loves the theater but never comes late
She never bothers with people she’d hate
That’s why the lady is a tramp
最初の三行は韻が踏まれているが、第2節は使われる言葉がさらにエレガントになる;
Doesn't like crap games with barons or earls (男爵や伯爵たちとクラップゲームやるのは嫌い)
Won't go to Harlem in ermine and pearls(オコジョの毛皮や真珠をまとってハーレムには行かない)
Won't dish the dirt with the rest of the girls(女の子たちと噂話はしない)
That's why the lady is a tramp
ニューヨークのテーマ曲のような“Manhattan“、超がつく名曲“My Funny Valentine“。美しラブソング“My Romance"。
そして映画のタイトルになった、“Blue Moon"。
孤独だった自分、なにかに祈り誰かを求めていた自分を見つめてくれていたブルームーン。愛すべき人が突然現れ、ブルームーンは黄金色に輝いた。ブルームーン、もう自分は一人ではないよ
美しいリチャード・ロジャースの旋律、都会的なロレンツ・ハートの歌詞、それをエラ・フィッツジェラルドが見事に歌い上げている
Blue moon,
you saw me standing alone
without a dream in my heart
without a love on my own.
Blue moon,
you knew just what I was there for
you heard me saying a prayer for
somebody I really could care for.
And then there suddenly appeared before me,
the only one my arms will ever hold
I heard somebody whisper, "Please adore me."
and when I looked,
the moon had turned to gold.
Blue moon,
now I'm lo longer alone
without a dream in my heart
without a love on my own.

