見出し画像

晴れ渡る空の下、原爆ドームを間近に見つめて

すでに5月は後半。今日は肌寒かったけれど、季節は夏に向けて動き出している。
ゴールデンウイークの高揚感はすでに過去のこととなり、日常の中に溶け込んでしまった頃かもしれない。
今さらだが、あらためてゴールデンウイークの旅の記録の続きを綴っていこうと思う。

旅の初日、広島は雨。そんな中で訪れたひろしま美術館だった。
しかし翌日の空模様はガラリと変わり晴天に。あらためて周辺を歩いてみた。晴れた5月の朝の空気はとても心地よく、まさに行楽日和となった。

宿泊した宿からほど近く、川沿いを歩いて行くと、原爆ドームが見えてくる。

原爆ドームの後ろには折り鶴タワー

1945年、原子爆弾が爆発したときは、よく晴れた真夏だったという。この日のような空だったのだろうか。
空中でピカッと光り、続いて起きた衝撃音。広がった炎が広島市を覆い、あの悲惨な白い雲が立ち上ったのは有名な事実だ。
峠三吉の『原爆詩集』を読むと、狂気的な絶望が伝わり魂が揺さぶられるような感覚になる。

原爆ドームから川を挟んだ向かいに、平和記念公園がある。
公園内には、平和の願いを込めて設置されたモニュメントなどが設置され、多くの人が訪れていた。

平和の灯/原爆の子の像

「これはぼくらの叫びです これは私の祈りです 世界に平和を きずくための」
これは、「原爆の子の像」の下に刻まれたことば。


そして「広島平和都市記念碑」には、多くの花が手向けられていた。
楕円を半分にしたような形は埴輪の家型だという。ここに眠る人々の魂が雨露から守られるように守ってくれている。
中央に立つと、ちょうど中心に原爆ドームが見えた。

広島平和都市記念碑

記念碑正面に刻まれたことばは、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」。

広島を訪れたきっかけに、大江健三郎『ヒロシマノート』を手に取った。被爆者たちの姿、未知の原爆症と戦い続けた医師たちの姿、人間の威厳、尊厳、強さ。戦後十数年経った広島の姿を見た筆者の報告書ともいえるだろう。

本川と原爆ドーム

過去の事実に思いをめぐらせながら歩く道すがら、周辺にはつつじやバラがきれいに咲いていた。緑豊かで観光客の姿も多かった。ドームを背景に笑顔で写真を撮る人たち。これらが平和の姿であるなら、ずっと続かなければいけない。

平和記念公園から伸びる相生橋を渡り、原爆ドームの正面へ向かう。
この場所を訪れたのは今回で2度目。改めてその姿を間近で見ることができた。
もともとは大正時代にできた建物で、洋式庭園や噴水もあったそうだから、当時はかなりモダンだったのだろう。

間近で見つめる

古びた赤いレンガが無造作に崩れている姿。
鉄骨がぐにゃりと曲がった姿や、石柱がかろうじてぶら下がっているような部分。そして、かつて噴水だったと思われる石のオブジェからは、植物が伸び、小さな花をつけていた。

破壊の跡と、そこに芽吹く緑。
過去の痛みを記憶しながら、広島の街は平和のメッセージを世界に向けて放ち続けていると感じた。

原爆ドームそばに生える大樹

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集