【1/31(土)まで】冬の星々(140字小説コンテスト2025)冬の文字で作った選考委員の作品を紹介します!
「季節の星々」は季節ごとの課題の文字を使ったコンテストです(春・夏・秋・冬の年4回開催)。
冬の文字 「天」
選考 ほしおさなえ 季節の星々選考委員会
応募期間 2026年1月1日(木) 0:00 〜 2026年1月31日(土) 23:59
作品数 ひとり3編まで
今期(2025年度)より、選考は星々の運営に代わり、年間グランプリ(2022年度までは「星々大賞」)の受賞者(へいた/のび。/石森みさお)と星々の140字小説担当の四葩ナヲコで結成する「季節の星々選考委員会」が行います。
委員4名もそれぞれ作品を執筆しました。
冬の課題文字「天」を使った作品をお楽しみください!
曇り空ばかりを眺める人がいた。夜空に憧れるのでも、夕焼けに感じ入るのでもなく。何を見ているのかと尋ねるとその人は「星」と答える。特別美しくもない灰色を見つめる目は、やっぱり灰色だ。曇天の向こうに星を探すその心の在り処はわからない。でもその人の周りは静かで、いつも薄く光って見える。
夢なのか現実なのか、判断のつかない記憶がある。
祖母と天ぷらを食べた記憶だ。それは黄色くて艶々した変な形の天ぷらで「雷の天ぷらだよ」と祖母は言った。
「春先だから甘いだろ」
祖母は私が生まれる前に亡くなっている。だから夢には違いないのだが、時折無性に、雷を食べたい、と思うときがある。
冬の浜辺で流星群を待つ。子供の頃物語で読んだ、見上げるだけで天に昇るような流れ星の雨を夢想する。波の音が響く。砂まじりの強い浜風が頬を打ち、靴底が身体の熱を吸う。「寒いねえ」気まぐれについてきた老母が白い息を吐く。「帰ろうか」と私は母の手を繋ぐ。地面を踏みしめて歩く。ここにいる。
巨大な天幕の中から聞こえるのは弾むような音楽と馬のいななき、ライオンの吠え声。大人も子どもも頬を紅色に輝かせゲートをくぐる。ピエロのお手玉や綱を渡る一輪車に拍手喝采。フィナーレ、団長の恭しい礼とともに天幕は夜空に吸いこまれる。残るのはがらんどうの広場。これでおしまい、またいつか。
「冬の星々」は1月31日(土)までご応募受付中です!
(応募方法や賞品、過去の受賞作などは以下のリンクをご覧ください。)
受賞作の速報はnoteやX(旧Twitter)でお伝えします。
優秀作(入選〜2次選考通過の作品)は雑誌「星々」(年2回発行)に掲載されます。
また、年間グランプリ受賞者は「星々の新人」としてデビューし、以降、雑誌「星々」に作品が掲載されます。
ご応募お待ちしております!
選考委員メッセージ 参考作品
