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2026年診療報酬改定とリハ薬剤のこれから—FIMを動かす薬剤師が、チームの常識を変える

2026年診療報酬改定:なぜ今、薬剤師がFIMを意識すべきなのか

2026年度の診療報酬改定。
回復期リハビリテーション病棟に関わる
私たちにとって、
最も大きな衝撃のひとつが
「FIM実績指数の評価基準の厳格化」でした。

これまで以上に
「いかに効率よく、確実に患者さんのADLを改善させるか」が、病棟の質、ひいては病院経営を支える指標として重みを増しています。

こうした変化の中、
「薬剤師の役割」もまた、大きな転換点を迎えていると感じます。

かつて薬剤師に求められていたのは、
薬を正確に準備し、
重大な副作用を未然に防ぐ
「安全の守り神」としての役割でした。

もちろん、それは今も大切です。

しかし、
FIM利得が経営の直結する
今の回復期病棟で求められているのは、
さらにその一歩先。

「薬学的な視点でリハ阻害因子を取り除き、患者さんの持つポテンシャルを最大限に引き出す攻めのサポート」です。

  • お薬の影響でぼんやりしてしまい、指示が入らない。

  • 下痢が止まらず、リハビリを完走できない。

  • 低カリウム血症で、踏ん張る力が出ない。

これらを「歳のせい」「体力の限界」
で片付けてしまうことは、
患者さんの機会損失であると同時に、
病棟としての実績指数、
つまり「病院の価値」を
下げてしまうことにも繋がります。

2026年改定・FIMと薬剤師の関わり

「FIMを動かす薬剤師がいるか、いないか」

それが、これからの回復期病棟の質を左右する時代になったといっても過言ではありません。


私たちが動かしてきた「FIM」のスイッチ

このシリーズを通して、
4つの代表的な「リハ阻害因子」を見てきました。

これらはどれも、
薬剤師の気づきひとつで変えられる、
いわば「FIMの隠れたスイッチ」でした。

第2弾:睡眠薬による「過鎮静」の是正

急性期から漫然と続く睡眠薬(BZD系など)が、
翌朝のリハビリまで影響していないか。
持ち越し効果を解消し、
朝の覚醒度を上げることで、
リハ参加の「質」そのものを改善できる可能性があります。


第3弾:抗コリン薬による「ぼんやり」の解消

抗コリン薬による認知機能低下を
「認知症の進行」と決めつけず、
累積負荷(ACBスコア)を見直す。
その結果、セラピストの指示が
スッと入るようになり、
認知項目のFIMを底上げすることが
できるかもしれません。


第4弾:PPIによる「リハを止める下痢」の解決

リハビリ時間を奪い、体力を削る水様下痢。
その大元であるPPIを特定し、
原因薬を「抜く」提案をする。
下痢が止まることで、
患者さんはトイレを気にせず訓練に集中でき、
移動や排泄管理のFIM改善が期待できます。


第5弾:抑肝散による「足の脱力」の早期発見

「歳のせい」の影に隠れた低カリウム血症。
お薬手帳の全ページをめくり、
甘草の累積量からリスクを予測して
早期に検査を提案する。
膝折れがなくなり、
自分の足で踏ん張れるようになることで、
セルフケア項目の自立度を引き上げる
ことができるかもしれません。


これらは単なる副作用の回避ではありません。
薬剤師が「リハの現場」で起きている
困りごとをキャッチし、
お薬というツールを使って
患者さんの身体・認知機能を
リブート(再起動)させた結果

期待されるものなんです。


「リハ薬剤」という新しい武器の持ち方

私たちが今手にしているのは、
単なる「薬や副作用の知識」ではありません。

それは、患者さんの「能力(FIM)」を伸ばすための新しい武器、
つまり「リハ薬剤」の視点
です。

リハ薬剤という考え方を取り入れる上で、
私が大切だと思っているポイントが2つあります。

1. 「副作用チェック」から「ポテンシャル解放」へ

これまでの薬剤師は
「この薬で、害が出ないように守る」
ということが主な仕事でした。

でも、リハ薬剤の視点では
「この薬を調整することで、もっと動けるようになるかもしれない」
という攻めの思考に変わります。

守りから攻めへ。
この意識のシフトが、薬剤師の介入の質を根本から変えるんだと思います。

2. 「リハの言語」で共通言語を創る

医師やセラピストに相談する際、
「この薬は抗コリン作用が強いから〜」
という薬理学的な説明だけでは、
なかなか行動には繋がりません。

大切なのは、相手の関心事である
「リハの言語」に翻訳して伝えること。

  • 「認知機能を下げている可能性がある」 ➡ 「セラピストの指示が入りやすくなる」

  • 「筋弛緩作用がある」 ➡ 「ふらつきが減り、立ち上がり訓練の安全性が増す」

  • 「下痢を引き起こしている」 ➡ 「トイレ時間を減らし、訓練時間をフル活用できる」

こんなふうに、
提案の語尾を
「だからFIMが改善する可能性がある」
という共通のメリットに繋げることで、
チームはあなたの提案を
「強力な援護射撃」として
受け取ってくれるようになるはずです。


これからの回復期薬剤師へ:あなたの勇気が未来を動かす

回復期病棟という場所は、
患者さんにとって「人生の再出発の場」です。

そこで交わされる一言一言、
そして私たちが検討する処方のひとつひとつが、
患者さんの退院後の生活を大きく左右します。

最後に、私から仲間の
薬剤師の皆さんに伝えたいことが2つあります。

1. 孤軍奮闘しなくていい

「リハ阻害因子を見つけなきゃ!」
と肩肘を張る必要はありません。

一番のヒントは、
現場のスタッフがふと漏らす
「?(違和感)」
の中にあります。

「なんか眠そうなんだよね」
「今日だけ膝が折れちゃって」

こうした小さな声を拾い、薬と繋ぎ合わせる。
それだけで、あなたは十分に
「FIMを動かす薬剤師」として機能しています。

2. 患者さんの未来を創る

病棟でのリハビリ期間は限られています。
しかし、私たちがこの期間にお薬を見直し、
副作用のリスクを減らすことは、
退院後の在宅生活における
「転倒予防」や「認知機能の維持」という、
一生モノのギフトを贈ることに他なりません。

「薬剤師がFIMを動かす」。

それは、点数という数字を追うことではなく、
患者さんが自分の足で歩き、
自分の手で生活を取り戻すプロセスを、
薬学の力で支え抜くこと
だと思っています。

あなたが勇気を持って
医師やチームに提案した一言が、
一人の患者さんの未来を
大きく動かすかもしれません。

このシリーズが、
回復期リハの現場で奮闘する皆さんの、
小さな一歩を後押しする
きっかけになれば幸いです。


セラピスト・看護師の皆さんへ:あなたの「気づき」が薬を変える

最後に。
この記事を読んでくださっている
セラピストや看護師の皆さんに、
お願いがあります。

リハビリ中に感じる「あれ?」という違和感。

「昨日はできていたのに、今日はなんだか様子が違う」
「一生懸命リハビリをしているのに、なかなか成果が出ない」

これらは、決してスタッフのスキル不足でも、
患者さんの意欲不足でもありません。

薬が、患者さんの本来の力を邪魔しているだけかもしれないのです。

薬剤師は、患者さんの「動作」や「生活の変化」を24時間ずっと見守ることはできません。

だからこそ、現場の最前線にいる皆さんの
「気づき」が、
薬を見直すための何よりの羅針盤になります。

「なんだか眠そうなんです」
「下痢のせいでリハビリが止まっています」
「膝折れが目立つ気がします」

どんなに些細なことでも構いません。
その一言を、ぜひ
病棟の薬剤師に届けてください。

薬の知識と、現場の観察眼。
それらが合わさったとき、停滞していたFIMは確実に動き出すと確信しています!

リハ職・看護師からのSOS ➡ 薬剤師の解決フロー

▶シリーズ全編はこちらから。




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