「検査の数字」と“なんとなくの不調”のすき間
40〜50代で通院を続けていると、こんなやり取りが起こりがちです。
「検査の結果は、特に問題ありませんよ。」
「血圧もコレステロールも、よくコントロールできています。」
医師からそう言われると安心する一方で、
夕方になると、どうも体が重い
仕事終わりに、頭がぼんやりして集中できない
なんとなく気分が晴れず、やる気が出ない
といった“数字に出ない不調”だけが置き去りになってしまうことがあります。
1. 「数字で説明できること」が優先されやすい
診察室では、限られた時間のなかで、まず「命に関わるリスク」や「検査で客観的に説明できること」が優先されやすくなります。
血圧
コレステロール
血糖値
肝臓・腎臓の数値
こうした項目は、基準値と比べて上がった・下がったが分かりやすく、「薬を続けましょう」「少し増やしましょう」という判断につながりやすい指標です。
一方で、夕方のだるさや頭のぼんやり、気分の落ち込み、眠りの浅さなどは、検査の紙には数字としてはほとんど載ってきません。
そのため、
「検査は良好です」→「じゃあ薬はこのままで」
「不調はあるけれど、重大な病気ではなさそうなので様子を見ましょう」
という形で、“なんとなくの不調”が、薬の調整や見直しの議題に乗りにくくなってしまいます。
2. 不調を「年齢のせい」「ストレスのせい」にしがち
数字に出ない不調は、次のように片づけられやすくなります。
「年齢的にも、疲れやすくなってきますからね。」
「お仕事も忙しそうですし、ストレスも影響していると思います。」
もちろん、年齢やストレスが関係しているケースも実際に多くあります。
それでも、
いつ頃からその不調が出てきたのか
どの薬が始まった・増えたタイミングと重なっていないか
時間帯や曜日によって強さが変わるのか
といった点を丁寧に見ると、「薬の影響がゼロとは言い切れない」ことも少なくありません。
しかし、患者側からその情報を出さない限り、医師には「数字」と「主訴の一部」だけしか見えていません。
その結果、薬は「検査が安定しているから続行」という判断になり、だるさやぼんやりは「年齢・ストレス」としてやり過ごされがちです。
3. “すき間”を埋めるための、具体的な伝え方
この“すき間”を少しでも埋めるために、受診のときに意識しておきたいポイントがあります。
不調を「具体的な場面」とセットで伝える
例:「夕方の16〜18時くらいに、毎日のように頭がぼんやりしてパソコンに向かえなくなります。」
不調と薬の“時間の関係”をメモしておく
例:「朝の薬を飲んでから2〜3時間後に、眠気が強くなります。」
「病気の悪化か、薬の影響か、その両方かを一緒に考えてほしい」と言葉にする
例:「年齢や仕事のせいかもしれませんが、薬の影響もあり得るかどうか、一度見てもらえますか。」
こうした伝え方をすると、医師も「数字は良好だけれど、生活の質に影響している不調」がイメージしやすくなります。
そのうえで、
飲む時間をずらす
用量を少し下げてみる
別の種類の薬に変えてみる
といった選択肢が、初めて具体的な相談として出てきやすくなります。
第6回で伝えたいのは、「数字が良い=すべてOK」ではない、ということです。検査の紙には現れない“なんとなくの不調”こそ、将来のポリファーマシーを防ぐための大事なヒントになり得ます。
次の第7回では、さらにこの枠の外側にある「市販薬・サプリ」が、誰のレーダーにも載らないまま増えていきやすいしくみについて、整理していきます。
【次の回(第7回)へ続く】
【このシリーズ(シリーズ16)の最初(第1回)はこちら】
具体的な医師や薬剤師への質問例をまとめていきます。
正解はひとつではないので、この文言にこだわる必要はありません。
質問するひとつのきっかけにしていただければと思います。
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※ここで書かれている内容は、一般的な情報提供および一部の事例紹介を目的としたものであり、特定の病気や治療についての診断や処方を直接指示するものではありません。お薬の中止・変更を含む具体的な治療方針の決定は、この記事のみを根拠に自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師などの医療専門職とご相談ください。(2026年2月)
「検査の数字」と“なんとなくの不調”のすき間 シリーズ16「薬が増えやすく、減りにくい“しくみ”をやさしくほどく」第6回
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