第1回:親の薬が5種類を超えたら、かかりつけ薬剤師に相談する準備をしたい シリーズ12「こんな人は、かかりつけ薬剤師を“本気で”探したほうがいい」 #1121
親の薬の袋を開けたら、錠剤やカプセルのシートが何枚も並んでいて、数えると5種類を超えていた──そんなタイミングが来たら、それは「そろそろ、かかりつけ薬剤師に相談する準備をした方がいいよ」というサインです。本人は「先生が出してくれているから大丈夫」と言うかもしれませんが、5種類を超えるということは、複数の病気を抱え、複数の診療科にかかっている可能性が高くなった、ということでもあります。
高齢者では、複数の病気を抱え、複数の診療科に通っていることが当たり前のようになってきます。内科で血圧とコレステロールの薬、整形外科で痛み止め、眼科で緑内障の点眼、泌尿器科で過活動膀胱の薬、心療内科で睡眠薬……それぞれの医師が「自分の専門の病気」を一生懸命治そうとすると、そのたびに薬が1つ、また1つと増えていきます。こうして知らないうちに多剤併用(ポリファーマシー)になり、ふらつき、転倒、眠気、食欲低下、もの忘れなど、「年齢のせい」と片づけられがちな症状が、実は薬の相互作用や副作用の影響だったということもあります。
ここで大事なのは、「薬が増えた=すぐに危ない」ではなく、「薬が増えてきたら、そろそろプロに見てもらう時期」という感覚を持つことです。5種類であっても、その薬すべてに理由があり、医師や薬剤師が定期的に見直している状態なら、それは適切に管理されたポリファーマシーです。一方で、一つ一つの薬について「何のための薬か」「いつから飲んでいるのか」「いつまで飲む予定なのか」が誰にも明確に説明できなくなっていたら、そのときは整理が必要なサインです。
5種類を超えたときに、まず考えてほしいのは次の2点です。
親の体調が悪いから薬が増えているのか
薬が増えているせいで親の体調が悪くなっていないか
この2つは、全く逆向きの因果関係ですが、どちらの可能性もあります。たとえば、ふらつきが出たときに「高齢だからバランスが悪くなった」と考えて転倒予防の薬や筋力低下を補う薬を足すこともありますが、実際には「今飲んでいる睡眠薬や血圧の薬の影響でふらついている」という可能性もあるのです。
その判断を、かかりつけ薬剤師と一緒にしていくことで、「本当に必要な薬」と「そろそろ見直してもいい薬」が少しずつ見えてきます。親の薬が5種類を超えたら、それは「そろそろ、薬の専門家の出番だ」というタイミングだと受け止めてください。子ども世代ができることは、「お父さん、一度薬剤師さんに見てもらわない?」と、やさしく声をかけることです。
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※ここで書かれている内容は、一般的な情報提供および一部の事例紹介を目的としたものであり、特定の病気や治療についての診断や処方を直接指示するものではありません。お薬の中止・変更を含む具体的な治療方針の決定は、この記事のみを根拠に自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師などの医療専門職とご相談ください。(2026年2月)
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