第2回:親の「薬が増えすぎた状態」を、かかりつけ薬剤師と一緒にほどいていく シリーズ12「こんな人は、かかりつけ薬剤師を“本気で”探したほうがいい」 #1122
親の薬が5種類を超えていると分かったとき、「じゃあ、どれをやめればいいんですか?」と、いきなり主治医に聞くのは、なかなかハードルが高いものです。主治医の前に座ると、つい遠慮してしまったり、「今さら聞きにくい」と感じてしまったりすることもありますし、複数の診療科にかかっている場合、「どの先生にどの薬のことを聞けばいいのか」すら分からなくなっていることも少なくありません。
そこで頼りになるのが、かかりつけ薬剤師です。薬局には、医師とは別ルートで集まる情報があり、どの診療科から出た薬でも、処方された薬の一覧を横断的に見ることができます。 まず薬剤師に、「親の薬がこれだけ多くて心配なんです」と正直に伝え、「一緒に整理してもらえませんか?」とお願いしてみてください。
具体的には、次のような観点で、薬剤師と一緒にチェックしていきます。
同じような効果の薬が重なっていないか
(例:胃薬が複数、痛み止めが複数など)副作用が似ている薬がいくつも入っていないか
(例:眠気が出やすい薬が3つ、ふらつきの原因になる薬が4つなど)「今でも本当に必要なのか」があいまいな薬がないか
(例:5年前の手術後から飲み続けているが、理由が誰にも分からない薬)
そのうえで、「この薬とこの薬は、主治医に相談すると減らせる可能性があります」といった「相談のタネ」を整理してもらえると、診察室での会話も具体的になっていきます。薬剤師が事前に情報を整理してくれていれば、医師も「ああ、たしかにこれはもう要らないかもしれませんね」と判断しやすくなります。
ここで大切なのは、「医師の処方を勝手に否定する」のではなく、「現状を見える化したうえで、一緒に最適化を提案する」スタンスです。かかりつけ薬剤師は、その橋渡し役として、親世代、自分世代、子ども世代の三世代と医師との間に立ってくれます。
親の薬が増えすぎた状態は、一気にゼロにはできません。けれど、「少しずつほどいていく」ことで、親のふらつきや日常のしんどさが変わっていくことがあります。 薬が1つ減るだけでも、「朝起きたときの体の重さが違う」「階段の上り下りが少し楽になった」と感じることもあるのです。
親の薬が心配になったら、まずは「かかりつけ薬剤師と一緒に、今の薬を一枚の紙に並べてみる」ことから始めてください。見える化するだけでも、これまで見えなかったものが、少しずつはっきりしてきます。
【このシリーズの次の回(第3回)はこちら】
【このシリーズ(シリーズ12)の最初(第1回)はこちら】
「親の薬と医療の『質問ノート』」マガジン
忙しい外来でも伝わりやすいように、「一言で聞けるフレーズ」を書き出して持って行けるようにしました。
※ここで書かれている内容は、一般的な情報提供および一部の事例紹介を目的としたものであり、特定の病気や治療についての診断や処方を直接指示するものではありません。お薬の中止・変更を含む具体的な治療方針の決定は、この記事のみを根拠に自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師などの医療専門職とご相談ください。(2026年2月)
📖 このシリーズの全記事一覧はこちら → https://healthcare-arukikata.com/healtharuki-blog/zone-d/
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは記事の更新に全て使わせていただきます。