もの忘れ・ぼんやり感──『性格』だけでも『歳をとった』だけではないかもしれない変化
親と話していて、こんな場面はないでしょうか。
「さっき話したことをもう一度聞かれた」
「テレビを見ていても、どこか上の空な感じがする」
長く一緒にいるからこそ、「前からこういう性格だし」「歳をとったからね」と、自分を納得させてしまうことも多いかもしれません。
たしかに、年齢とともにもの忘れが増えるのは自然なことです。
一方で、「薬の数が増えた頃から」「新しい薬が加わってから」目立ち始めた“ぼんやり感”の中には、薬が関係しているケースもあります。
ここで大事なのは、「認知症かどうか」を家族が決めようとしないことです。
家族にできるのは、「前よりもこう変わった」という具体的な場面を、そっと拾い上げることです。
たとえば、こんなメモが役に立ちます。
いつから:睡眠薬が増えた頃から
どんなときに:朝起きてからしばらく、反応がゆっくりになった
どんな様子か:話しかけても、一拍おいてから返事が返ってくることが増えた
診察や薬局で話すときは、このメモを見ながら、次のような言い方にしてみてください。
「認知症なのか薬の影響なのか分からないのですが、この薬が増えた頃から、朝のぼんやりした感じが強くなったように見えます。」
もの忘れやぼんやり感のように、「性格かな」「歳だからかな」と自分を納得させてしまいやすい変化ほど、診察室でどんな一言から切り出せばいいか迷うことが多いと思います。
忙しい外来でも伝わりやすいように、「いつから・どんな場面で・どんなふうに変わったか」を一言でメモして持って行くための『親の薬と医療の「質問ノート」』マガジンもつくりました。
病院や薬局に行く前に一度のぞいて、「今日はこの一言だけ聞こう」というフレーズを決めてから出かけてみてください。
ここでも、「薬のせいです」と決めつける必要はありません。
「分からないんですが」「ように見えます」と添えれば、「歳のせい」と片づけられがちな変化も、専門家と一緒に考えるきっかけを作ることができます。
もの忘れやぼんやり感の話題は、どうしても重く感じられます。
だからこそ、「診断の名前」を決めることではなく、「最近こういう場面が増えた気がする」という日常の一コマから伝えていく。
その積み重ねが、親の認知機能を守ることにも、薬の見直しのきっかけにもつながっていきます。
【第4回に続く】
【このシリーズの最初(第1回)はこちら】
※ここで書かれている内容は、一般的な情報提供および一部の事例紹介を目的としたものであり、特定の病気や治療についての診断や処方を直接指示するものではありません。お薬の中止・変更を含む具体的な治療方針の決定は、この記事のみを根拠に自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師などの医療専門職とご相談ください。(2026年2月)
第3回:「もの忘れ・ぼんやり感──『性格』だけでも『歳をとった』だけではないかもしれない変化」 シリーズ14「薬が増えると、からだと生活に何が起きやすいのか」
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは記事の更新に全て使わせていただきます。