見出し画像

第0回:医療の選択の“ツケ”を払うのは、10年後、20年後の本人と家族 シリーズ11 世の中には「良い薬」と「悪い薬」があること、知っていますか? #1110


「世の中には『良い薬』と『悪い薬』がある。」こう聞くと、少しドキッとするかもしれません。 けれどここで話したいのは、「この成分が悪い」「この会社の薬がダメ」という話ではありません。 同じ薬でも、「いつ」「どんな理由で」「どれくらい使うか」で、家族にとっての意味がまったく変わってしまう、という話です。

私の長男は2014年生まれです。 当時、小児科外来ではクラリスロマイシンをはじめとした抗生剤が、今よりずっと当たり前のように使われていました。 熱が出れば、咳が続けば、「とりあえず抗生剤も出しておきますね」と処方されることが珍しくない時代でした。
一方で次男は2022年生まれです。 同じ日本、同じ親なのに、小児科ではほとんど抗生剤を使っていません。 たった10年で、「子どもにどんな薬がどれだけ身体の中に入るか」という現実が、大きく変わってしまいました。

この違いは、親の育て方や子どもの性格ではなく、「その子がどんな医療の“時代”に生まれたか」の違いです。
そして、その時代の医療の選択の“ツケ”を払うのは、10年後、20年後の本人と家族です。 幼いころに何度も飲んだ抗生剤が、将来その薬を「効きにくい薬」に変えてしまっているかもしれない。そうだとしても、10年前に処方した医師が責任を取ってくれることは、まずありません。

これは、たくさんの薬を同時に飲む「ポリファーマシー」の問題ともつながります。 目の前の症状を抑えるために、いろいろな診療科の医師がそれぞれの薬を足していく。気がつけば、10種類以上の薬を毎日飲むことになっている。 それでも、その“ツケ”を体で受け止めるのは、やっぱり本人と家族です。

だからこそ、「専門家に全部お任せします」だけでは足りない時代になっています。 必要なのは、医師や薬剤師と同じ知識量ではなく、「この薬は本当に必要かな?」「減らせる薬はないかな?」ときちんと質問できる、ヘルスケアリテラシーです。 今の若い薬剤師さんたちは6年制教育で、本当にたくさん勉強しています。 こちらが質問を投げかければ、一緒に考え、調べてくれる人が増えてきています。

このシリーズ11では、「良い薬」と「悪い薬」を成分で分けるのではなく、「どんな使われ方をしたときに、家族にとって“良い薬”になるのか」を、一緒に考えていきます。 長男・次男の10年差、抗生剤の話、そしてポリファーマシーへの入口を通して、「自分と家族を守るために、薬とどう付き合うか」という視点を育てていくのが、このシリーズの目的です。

補足
飲み忘れをゼロにすることは難しいけれど、仕組みを整えることで“ツケ”を小さくすることはできます。我が家ではこんな工夫をしています。

【このシリーズの次の回(第1回)はこちら】

【前のシリーズ(シリーズ10)の最初(第1回)はこちら】

※ここで書かれている内容は、一般的な情報提供および一部の事例紹介を目的としたものであり、特定の病気や治療についての診断や処方を直接指示するものではありません。お薬の中止・変更を含む具体的な治療方針の決定は、この記事のみを根拠に自己判断で行わず、必ず主治医や薬剤師などの医療専門職とご相談ください。(2026年2月)

📖 このシリーズの全記事一覧はこちら → https://healthcare-arukikata.com/healtharuki-blog/zone-d/

いいなと思ったら応援しよう!

ヘルスケアリテラシー(1日1分で自分と家族の今と未来の健康を貯える) いただいたチップは記事の更新に全て使わせていただきます。