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種を数える夜──今年最後の、静かな灯り


こんにちは、ゆきのです。


12月30日の夜。

カレンダーの最後のページをめくると、そこには何も書かれていない白い余白がある。


部屋の明かりを少しだけ落として、窓の外を眺める。

冷たい空気が窓ガラスを白く曇らせている。

「何も書けなかった一年だったかもしれない」

そう呟いたとき、胸の奥で小さな声が響いた。

でも――本当にそうだろうか?
 


真夜中のコンビニで、拾った最初の種


今年の冬の始まりの頃でした。
真夜中のコンビニで、カップスープを両手で包んだあの夜のことです。

「ああ、温かい」

そう感じた瞬間の、小さな救い。

翌朝にはもう忘れて、また変わらない日常が始まりました。


でも、違った。

秋になってから気づいたことがあります。
今の私は、寒い日に迷わず温かいお茶を淹れる。
暖房をつけることを、「甘え」だと思わなくなった。

誰も気づかないような、本当に小さな変化。
でも、確かな変化でした。


あの夜の温もりが、心の土の中で静かに根を張り始めていたのかもしれない。

精神保健福祉士さんとの面談で、そのことを話したことがありました。
 


「受け取ったぬくもりは、すぐに消えたりしませんよ。確かめなくても、余熱はちゃんと残っているものです」
 


その言葉を聞いたとき、「種」という言葉が、ふと降りてきました。

種は、急がない。
土の中で冬を越し、誰にも見えない場所で静かに根を張っている。
そして心に小さな余白ができたとき、ふと誰かの優しさに触れたとき、そっと芽を出す。
 


今年、私が拾った種を数えてみる


12月30日の夜。
窓の外の冷たい空気を感じながら、目を閉じてみました。

「今年、温もりを感じた瞬間は?」


少しずつ、記憶の中から小さな光が浮かんでくる。

朝、淹れたコーヒーの香り。

雨の日、誰かが差し出してくれた傘。

「お疲れさま」という、何気ない言葉。

ふと空を見上げたとき、雲の隙間から差し込んだ光。


ひとつ、ふたつ、みっつ……

数えてみると、意外と多い。


「今年、何もできなかった」と思っていたけれど。小さな温もりは、確かにあった。

その一つひとつが、心に降りた種だとしたら。
 


種は、評価されない


この種は、誰にも褒められません。
「今年の成果」として、どこかに書けるものでもない。


でも種は、評価されるために拾うものじゃない。

ただ、心の土に降りる。それだけ。


そしてその種が、いつか。
あなたを少しだけ温かくする何かになるのか、それとも土の中でそのまま冬を越し続けるのか、それは誰にもわからない。
種が決めることです。


「来年こそは」と思うと、少し苦しくなる夜もあります。
でも、種を抱いて冬を越す。
それだけでいい夜もある。


今夜はただ、今年拾った種が「ここにある」と気づけたなら、それで十分だと思うのです。
 



窓の外に、朝が来る

そして、窓の外を見る。

もうすぐ、朝が来る。
冷たい空気の向こうに、空が少しずつ白んでいく。

深く息を吸う。吐く。

冬の朝の、静かな光。

窓ガラスの曇りが、少しだけ薄くなっていた。

「ああ、今年も種を拾っていたな」

そう、小さく呟いた。
 



もし今、「今年も何もできなかった」と感じているなら。

少しだけ、目を閉じてみてください。

今年、心が「ああ、少し温かい」と感じた瞬間を、そっと思い出してみてください。

飲み物の香りでも、誰かの一言でも、空の色でも。
 

ひとつ、ふたつ、みっつ……

心の中で、そっと数えてみる。


その一つひとつが、あなたが今年拾った種だったのかもしれません。

今は、まだ芽を出していないかもしれない。でも、確かにそこにある。
土の中で、静かに冬を越している。
 



今夜、カレンダーの最後のページをめくったとき。
そこに何も書いていなくても、大丈夫。

あなたの心の土には、小さな種が降りている。
誰にも見えない、小さな種。
でも、確かにそこにある。

それを、そっと抱いて。

芽が出なくても、種のままで、あなたは美しい。


良いお年をお迎えください。


ゆきの



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