教育だけでは届かない!? CoIU・ZEN大学の果敢な経済支援策が示す、“新しい大学”の広め方
2026年度に新設を予定している大学は4校ありますが、そのなかで異彩を放っているのがコー・イノベーション大学(CoIU)ではないでしょうか。9月末に、このCoIUが受験にかかわる思い切った取り組みをすると発表しました。この取り組みもそうですし、CoIUの教育そのものもそうなのですが、大学教育が少しずつ変わってきているのかなと感じます。
一般選抜の受験料0円、CoIUの挑戦
では、まずCoIUが受験にかかわる、どんな取り組みをしたのか。こちらは、一般選抜の受験料を0円とし、総合型選抜・学校推薦型選抜でも2回目以降の受験料を0円にするというものです。
一般選抜と共通テスト利用入試を併願すると、共通テスト利用入試は無料になるなど、何らかの条件を満たしたら一部の入試の受験料が無料になるというのは、めずらしくありません。でも、一般選抜が条件なく無料というのはこれまで見たことがなく、かなり挑戦的です。しかも、定員割れが続いており苦肉の策として、こういう取り組みをはじめたのではなく、新設された年からはじめているんですね。
CoIUが、できるだけ門戸を広げようと動いたのは、従来の大学教育とはまったく異なる学びを展開しようとしているからでしょう。どのような学びかというと、自ら問いを立てて、さまざまな立場の人とともに課題解決に取り組むことを重視した学びです。これだけだと、どの大学も多かれ少なかれそうなのでは?と思ってしまいます。尖っているのは、2年次以降、サテライトキャンパスのある全国15か所のどこかのエリアに移住し、企業とともにこれを実践するんです。
オンライン教育が発展した、いまの時代だからこそできる学びのかたちです。また、AIが発展するこれからの時代を考えると、多様な人たちと共創・協働するというのは、人間だからこそできることであり、ますます必要になる力です。
一方、従来の大学とは異なる学びのスタイルを見て、キャンパスライフはどうなるんだろうとか、教員とのかかわりはどうなるのかとか、いろいろと不安もよぎります。
前例のないものは魅力的に見える反面、リスキーにも感じます。思い切って新しいことをはじめようとすると、いつもこのふたつの感情がわいてくるものです。そんななかでも、なんとかして受験生たちの背中を押したい……、そんな思いが、今回の果敢な決断につながったのだと感じました。
奨学金を大幅に拡充させるZEN大学
今回、CoIUの取り組みを取り上げたいと思ったのは、このニュースを見て数週間後にZEN大学の似たような取り組みを目にしたことも大きく関係しています。
どういった取り組みかというと、奨学金の枠を大幅に拡充させたというもの。ZEN大学は今年度に設立された大学で、開学と同時に最大500名を対象に、年間授業料・入学検定料・入学金を全学免除(合計44.6万円)する奨学金を開始しました。次年度この奨学金の枠を700名にまで広げ、さらに年間原則50万円 (※例外的に100万円もあり)給付 する奨学金を最大100名対象に行うと発表したのです。
ちなみにZEN大学は、N校を手がけるドワンゴと日本財団が連携してはじめた通信制大学で、こちらもすごくユニークな教育を展開しており、このnoteでも何度か取り上げているので、くわしくはそちらもご覧ください。
ZEN大学自体、新設の通信制大学であることを加味すると、十分すぎるほど知名度があるし、学生募集も順調です。さらに、すでに500名を対象にしたスケールの大きい奨学金をやっています。これ以上、奨学金を拡充する必要があるかというと、正直いってないように思うんです。でも、果敢にその枠を広げていったのはなぜか。これって先に触れたCoIUもしかりで、身を切ってでも新しい学びを社会に浸透させたい、その想いに他ならないのではないでしょうか。
ニューカマーたちが大学を変える?
新しい教育に取り組んでいきたい、これからの大学像を提示したい。こういった想いを実践していくのって、教育内容を刷新して必要な入学者を確保できたらそれでいい、というわけではないんだと、ZEN大学やCoIUの動きを見ていると感じます。
あの手この手で受験生の背中を押し、よりよい学生に入ってもらい、学生たちを育て上げ、社会に認められるまで教育成果を示し続ける必要があります。一人、二人、優秀な学生が出ればいいというのではありません。長期的に、定量的に、独自の教育成果を可視化しつつ、優秀な人材を輩出し続け、その事実を社会に認知してもらってこそなされます。これは非常に根気のいることであり、多角的な取り組みなしには達成できません。
とはいえ、そんな大きなチャレンジに、ZEN大学、CoIUという“尖り”のある大学が2年続けて生まれ、いま果敢に取り組んでいるのです。少子化で先行きが不安視される大学業界は、長らく「変わらなければ」と言われ続けてきました。これまでは既存の大学が改革を行って、この状況を変えていくのかなと想像していたのですが、もしかすると、こういったニューカマーたちが大学のあり方を変えていくのかもしれません。そんな予感を感じさせてくれる状況に、正直すごくワクワクしています。
