世界の終わりをみた猫
その猫は、名前を持たなかった。ただの「猫」であり、この忘れ去られた王国の守り手でもあった。
かつて、この地は生命力に溢れ、人々の笑い声が絶えなかった。しかし、王が禁忌の魔法に手を染めたことで、世界は均衡を崩し始めた。空は毒々しい紫色に染まり、大地は地割れを起こして溶岩を噴き出した。人々は逃げ惑い、やがて誰もいなくなった。
猫は一人、荒れ果てた王宮を見下ろす岩場に残った。彼はかつて、王の愛猫として可愛がられていた。しかし、王が狂気に取り憑かれた後、彼は忘れ去られた。それでも、彼はこの地を去ることができなかった。ここが彼の家であり、彼が知る唯一の世界だったからだ。
ある日、空から巨大な隕石が降り注ぎ始めた。隕石は次々と王宮に衝突し、轟音と共に爆発した。空は真っ赤に燃え上がり、まるで世界そのものが叫んでいるようだった。
猫は静かに、その光景を見つめていた。彼の小さな背中には、かつて王がくれた青いマントが風に揺れていた。彼の傍らには、古びたランタンが淡い光を放っていた。
「これが、世界の終わりか」
猫は心の中で呟いた。彼は恐怖も悲しみも感じなかった。ただ、深い寂しさと、終わりの訪れに対する奇妙な安堵感だけがあった。
彼は目を閉じ、かつての平和な日々の記憶を呼び起こした。王の優しい声、暖かな日差し、花の香り。それらの記憶は、今の彼にとって唯一の慰めだった。
隕石の衝突が激しさを増し、王宮は完全に崩壊した。炎は猫のすぐ近くまで迫っていたが、彼は動かなかった。
「これで、すべてが終わる」
猫は静かに息を引き取った。彼の魂は、燃え盛る世界から解き放たれ、静かな眠りへとついた。

みかんさん、宜しくお願いします🙇⤵️
柊紅葉さん、記事紹介ありがとうございますm(_ _)m🙏
西野光照さん、マガジン収録ありがとうございますm(_ _)m
YasuhitoMorimotoさん、記事をマガジン収録して下さりありがとうございましたm(_ _)m
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