黄金色の贈り物
夕暮れの小道は、黄金色のシロップに浸されている。
「とうふ店」の白い袋をぶら下げた、小さな足取り。
お使いが終われば、家に帰る。
でも、その前に、いつもの寄り道。
「山田商店」の軒先で、割烹着のおじいちゃんが笑った。
その手には、ガラス瓶に入ったカラフルな虹。
「今日もえらかったね。これは、お日様からのおまけじゃよ」
差し出された瓶を受け取る時、小さな指が、おじいちゃんの温かい節に触れた。
瓶の中のビー玉は、夕日を吸って、
昔、誰かが忘れていった、遠い夏の記憶のようにきらめいている。
その輝きは、この瞬間が永遠ではないことを知っているように、
あまりにも綺麗で、少しだけ、胸が痛い。
自転車の横で、三毛猫が夕日を追いかけている。
遠くで座る老夫婦の会話は、
風に溶けて、誰の耳にも届かないまま消えていく。
みんな、この温かい時間の一部。
みんな、過ぎ去っていくもの。
「ありがとう、おじいちゃん」
はにかむ笑顔で、瓶を胸に抱く。
小さな贈り物の中には、
おじいちゃんの優しい嘘と、
いつか大人になって思い出す、
もう戻らない、この黄金色の夕暮れが詰まっている。
おじいちゃんが、小さくなるまで、手を振った。
おじいちゃんの時間は、もう、ゆっくりと沈んでいく。
彼女の時間は、これから、もっと輝きだすけれど、
この瓶の中の虹は、ずっと、
ここにある、優しくて切ない温もりを、
守り続けてくれるだろう。
一歩、また一歩。
夕日を背に、彼女は家路を急ぐ。
黄金色の影を、長く、長く、引きずりながら。
胸の瓶が、チリン、と鳴った。

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