負けの矛盾4。
市場は10年以上、右肩上がりだ。 それでも、退場する人はいる。
中学生の頃、担任が言った。
「牛乳を飲めば、身長が高くなる。」
私は牛乳が嫌いだったし、 担任は私を嫌っていた。
なぜなら、私はクラスで一番背が高かったから。
私という存在そのものが、 担任の理論の反証だった。
本来なら、拒絶ではなく問い直しが必要だった。
「なぜ飲まないのに伸びるのか?」
その一歩さえ踏み出せば、 父親も背が高いという単純な帰結に辿り着く。
要因は牛乳ではなく、遺伝だ。
退場する投資家は、 この“問い直し”をしない。
負けた理由を外側に求め、 物語を守るために現実をねじ曲げる。
牛乳を信じ続けた担任と同じ構造だ。
負けは、ただの結果ではなく、 前提を更新するための素材だ。
それを拒む人は、 負けを「前提の書き換え」ではなく「固執」に変えてしまう。
そして、静かに市場から消えていく。
人は、前提を守るために未来を犠牲にする。
負けを受け取れないという、 ただそれだけのことが、
未来の形をそっと変えていく。
