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わかりにくい人は、関係が無いと思わせておきながら、関係が無くない話をする。

「…という訳で、プレゼンは無事終える事ができました。先方の反応も上々です」

マツシタ君が報告してるのは、昨日のプレゼンについてだ。その概要はわかったし、反応も良かったなら何よりだ。

「で、これは話が逸れるんですけど、このプレゼンの提案について、担当のカトウさんから改めて見積もりが欲しいとの依頼をいただきました」

このプレゼンの話しなら、別に話は逸れてないと思うが。どうにもマツシタ君は、意味のないフレーズを前置きするクセがある。

「そして、これは関係ない話しなんですけど、その見積もりをカトウさんに指示したのは、カトウさんの新しい上長の方らしいのです。なんでも社長のご子息らしく…」

いや、どう考えても『業務に関係ある』だろう。きっとマツシタ君は本当に何の意味もなく、様々な前置きフレーズを使っているに違いない。

「加えて、これもどうでもいい話なんですけど、そのご子息の結婚式が6月に控えているらしいのです。ひょっとしたら当社の社長にも披露宴の案内が届くかもしれないので、そのつもりでいて欲しいと…」

悪気はないと思うが、人様の結婚を『どうでもいい』とはあんまりだ。

「あとこれは、全然関係ない話なんですけど、そのご子息の結婚相手の女性は、どうやら広告会社にお勤めの様なのです。なんでも我々と同じデジタル広告を得意としてると…ご子息が見積を取ろうとする背景には、それがあるかも知れませんね…」

『全然』で強調したにも関らず、一貫して関係ない話でもなんでもない。口癖というものは、ここまで意味なく出てくるものなのか…

いやそんな事はどうてもいい。関係ないどころか、結構なピンチではないか。マツシタ君の前置きには本当に何の意味もないが、報告の内容自体は、今後の取引にあたって極めて重要だ。もっと続きを聞かせてもらおう。


その後も、マツシタ君の報告は続いたが、やはり全てが、普通に関係ある話しばかりだ。まあ、口癖というのはそう言うものだろう。目くじらを立てるほどの事ではない。

「あとこれは本当に、今度こそ本当に、全然関係ない話なんですけど…」

今度こそ?本人にも自覚があるという事か?
いよいよ本当に、関係のない話をするつもりなのだろうか…

「もうすぐ駅前に丸亀製麺ができるって知ってました?いや部長、丸亀製麺好きって言ってたじゃないですか…」

それは、大いに関係がある。



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