「辞めます」は突然ではない~退職を決めるまでに、必ず小さな変化がある~
「○○さん、退職するそうです。」
管理職として、これほど困る報告はありません。
しかも、
「え?昨日まで普通に仕事していたよね?」
と思ってしまう。
仕事もしていた
遅刻もなかった
大きな不満を言っていたわけでもない。
それなのに突然、
「辞めます」と言われる。
でも、本当に突然だったのでしょうか。
実は多くの場合
退職という行動の前に、本人の中では小さな変化が始まっています
管理職が見逃しているだけなのです。
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最初に変わるのは「仕事」ではなく「気持ち」
退職を考え始めたからといって、いきなり仕事をしなくなるわけではありません。
むしろ最初は普通に仕事をします。
言われたこともやる。
遅刻もしない。
ミスもしない。
だから管理職は、
「問題ない。」
と思ってしまいます。
でも、よく見ると少しずつ変化しています。
以前は、
「これってどうしたらいいですか?」
と聞いてきた。
それが、
「分からないけど、自分でやります。」
になる。
以前は、
「ここ、こうしたらもっと良くなると思います。」
と言っていた。
それが、
「まあ、いいんじゃないですか。」
になる。
ここが重要です。
最初に消えるのは、仕事への意欲ではなく「期待」なのです
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① 質問が減る
新人や若手が質問しなくなると、
「仕事を覚えたんだな。」
と思うかもしれません。
もちろん、本当に成長した場合もあります。
でも、
以前はよく質問していた人が急に質問しなくなった。
この場合は注意が必要です。
なぜなら、
「聞いても意味がない。」
と思っている可能性があるからです。
質問する。
↓
否定される。
↓
もう一度質問する。
↓
また否定される。
これを繰り返すと、
「自分で考えよう」ではなく、
「聞かないようにしよう」
となります。
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② 提案しなくなる
これはさらに分かりやすいサインです。
以前は、
「この作業、もっと早くできませんか?」
「このやり方に変えたらどうですか?」
と提案していた。
それが、
「言われたことだけやります」
になっていく。
これは、
やる気がなくなっただけではありません。
「自分が頑張っても職場は変わらない」
と感じ始めている可能性があります。
人は、
「何を言っても変わらない。」
と思った瞬間から改善することを諦めます。
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③ 「大丈夫です」が増える
管理職にとってかなり見逃しやすい言葉です。
「最近どう?」
「大丈夫です。」
「何か困ってる?」
「大丈夫です。」
「仕事は順調?」
「大丈夫です。」
もちろん、本当に大丈夫な場合もあります。
でも、
以前は色々話していた人が何を聞いても
「大丈夫です。」
になったら、一度立ち止まってください。
もしかすると、
「これ以上話しても仕方ない」
という意味かもしれません。
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④ 雑談がなくなる
仕事の話はする。
必要な報告もする。
でも、雑談がなくなった。
これも見逃されやすい変化です。
人は心理的な距離が近い相手とは、
仕事以外の話もします。
「昨日休みだったんですけど」
「最近ちょっと忙しくて」
「子どもがこんなこと言ってまして」
こうした何気ない会話が減っていく。
これは、
職場との心理的な距離が広がっているサインかもしれません。
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⑤ 「この会社でどうなりたい?」に答えられなくなる
これが一番大きな変化かもしれません。
以前なら、
「もっと仕事を覚えたい」
「○○の仕事をやってみたい」
「将来は班長になりたい。」
と言っていた。
ところが
「特にないです」
「分からないです」
「別に……」
となる。
これは単なる将来設計の問題ではありません。
「この会社に自分の未来を重ねられなくなっている」
可能性があります。
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「辞めたい」と言われてからでは遅い
退職を申し出た後に
「何が不満だったの?」と聞いても、
本音が全部出てくるとは限りません。
もう本人の中では
かなり前から考えているからです。
だから管理職が見るべきなのは
退職届ではありません。
退職届が出る前の変化です
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じゃあ、どうすればいいのか?
大切なのは
「辞めないでくれ」
と引き止めることではありません。
それでは問題の先送りになってしまいます。
まず
本人が今、職場をどう見ているのかを知ること
例えば、
「最近、仕事をしていて面白いと思うことある?」
「逆に、やりにくいと感じていることは?」
「これからやってみたい仕事ってある?」
と聞いてみる。
そして
答えを急いで評価しない。
「それは違う」
「考えすぎじゃない?」
と否定しない。
まず
「そう感じているんだね」
と受け止める。
そこから
「じゃあ、どうしたら少し良くできそう?」
と一緒に考える。
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退職を防ぐことだけが目的ではない
ここは大切です。
管理職が
「辞めさせないこと」だけを目標にすると、
部下の不満を押さえ込む方向に進んでしまいます。
本当に大切なのは、
「この職場で働き続ける意味を感じられる状態」を作ること
そのためには、
・成長できる
・意見を言える
・相談できる
・努力を見てもらえる
・自分の仕事が誰かの役に立っている
こうした実感が必要です。
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「辞めます」は突然ではない
退職だけを見ると突然に見えます。
でも、その前には、
質問が減る
↓
提案が減る
↓
雑談が減る
↓
期待を口にしなくなる
↓
「大丈夫です」が増える
↓
そして、
「辞めます」となる。
もちろん、すべての退職がこのパターンではありません。
家庭の事情やキャリアチェンジなど、本人や職場ではコントロールできない理由もあります。
だからこそ
すべての変化を「退職サイン」と決めつける必要はありません
ただ、
「最近、少し変わったな」と感じたときに
一度話を聞いてみる。
それだけでも違います。
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最後に
管理職が見るべきなのは、
「辞めた人の人数」だけではありません。
辞める前に、その人の何が変わっていたのか
そこを見る。
そして、
「最近、どう?」
と聞くだけではなく
「最近、仕事をしていてどう感じてる?」
と一歩踏み込んで聞いてみる。
退職を防ぐためではありません。
その人が今、
何を感じ、
何に困り、
何を諦めかけているのかを知るためです。
「辞めます」と言われてから慌てて向き合うのでは遅い。
人が辞める前には、必ずとは言えなくても、小さな変化が起きていることがある。
その変化に気づける管理職になること。
それが、
「辞める人を減らす管理」ではなく、
「辞めたくなる理由を減らす管理」
につながっていくのだと思います。
