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【企業経営理論】男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法


男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律) は、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇を確保し、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図るための措置等を推進することを目的として制定された法律です。

1972年に「勤労婦人福祉法」として制定され、1985年に大幅改正、名称も現在のものに変更されました。その後も改正を重ね、現代社会に即した内容となっています。




法律の目的 (第1条)

第一条 この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000141983.pdf




基本理念 (第2条)

第二条 この法律においては、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあつては母性を尊重 されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。
2 事業主並びに国及び地方公共団体は、前項に規定する基本的理念に従つて、労働者の職業生活の充実が図られ るように努めなければならない。

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労働者は、職業生活の全期間を通じて、その職業生活を充実したものにすることができるような職業生活の設計を行う必要があること、そして男女ともに自らの意思によって職業生活を営み、または営もうとする場合には、性別にかかわらず、職業生活を充実したものにすることができるようにすることが必要であること、さらに女性労働者にあっては、母性を尊重されるとともに、このような職業生活を充実したものにすることができるようにすることが必要とされています。これらの状況を踏まえ、男女雇用機会均等法は、男女の均等取扱い等を確保すること及び女性労働者の妊娠又は出産に係る事由を理由とする不利益取扱いを禁止することを基本理念としています。




募集・採用における男女差別の禁止 (第5条)

第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

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事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければなりません。性別を理由とした差別的な取り扱いは禁止されています。例えば、求人広告で「男性歓迎」などと記載すること、女性の応募者を書類選考で一律に不採用とすることなどは違法となります。




配置・昇進・降格・教育訓練・福利厚生・職種及び雇用形態の変更・退職勧奨・定年・解雇・労働契約の更新における男女差別の禁止(第6条)

第六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。  
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練  
二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの  
三 労働者の職種及び雇用形態の変更  
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新

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事業主は、労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格、教育訓練、一定の福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはいけません

例えば以下のようなものが該当します。
・昇進試験の受験資格を男性に限定する。
・女性を補助的な業務にのみ配置する。
・女性の定年年齢を男性より低く設定する。
・特定の福利厚生制度の利用を男性に限定する。
・女性労働者が一定の年齢に達した場合や、結婚・妊娠・出産した場合に退職を促す。
・人員整理の際、女性労働者を優先的に解雇する。




間接差別の禁止 (第7条)

第七条 事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であつて労働者の性別以外の事由を要 件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とす る差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質 に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実 施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。

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一見中立的に見える措置であっても、実質的に性別を理由とする差別となる可能性のある措置(間接差別)を講ずることは、原則として禁止されています。ただし、職務の性質等に照らして当該措置の実施が合理的に必要であると認められる場合等の事由があるときは禁止されません。厚生労働省令で定める措置は以下の3つです。

  • 募集または採用にあたり、労働者の身長、体重または体力を要件とするもの

  • 労働者の募集または採用、配置、昇進、職種変更にあたり、転居を伴う転勤(総合職における全国転勤など)に応じることができることを要件とするもの

  • 昇進にあたり、過去に転勤した経験があることを要件とするもの




婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止 (第9条)

第九条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはなら ない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九 号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことそ の他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解 雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、 事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

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  • 婚姻、妊娠、出産、産前産後休業の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止: 事業主は、女性労働者が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後休業を請求・取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはいけない。

  • 妊娠・出産等を理由とする解雇の無効: 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、原則として無効となります。ただし、事業主が、妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明した場合はこの限りではありません。

  • 妊娠中・出産後の健康管理に関する措置の義務化(母性健康管理措置)(第12条、13条): 事業主は、妊娠中・出産後の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければなりません。また、保健指導・健康診査の結果、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置が必要であると医師等から指導を受けた場合、その指導に基づき必要な措置を講じなければなりません。これには、妊娠中の通勤緩和、休憩に関する措置、症状等に対応する措置(作業の制限、休業等)が含まれます。

第十二条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和四十年法 律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるように しなければならない。
第十三条 事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができ るようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために 必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中 「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。

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職場におけるセクシュアルハラスメントの防止措置の義務化 (第11条、11条の2)

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がそ の労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、 当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じな ければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために 必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中 「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。

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  • 事業主にセクシュアルハラスメントの防止措置を義務づけ: 事業主は、職場における性的な言動により労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることのないよう、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

  • 事業主に妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置を義務づけ: 事業主は、職場における妊娠、出産等に関する言動により女性労働者の就業環境が害されることのないよう、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

これらの防止措置には、相談体制の整備、迅速かつ適切な事後対応、再発防止策の実施などが含まれます。




紛争解決の援助 (第17条、18条)

第十七条 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につ き援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いを してはならない。
第十八条 都道府県労働局長は、第十六条に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)につ いて、当該紛争の当事者(以下「関係当事者」という。)の双方又は一方から調停の申請があつた場合において 当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項 の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)に調停を行わせるものとする。
2 前条第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。

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労働者と事業主との間で紛争が生じた場合、当事者の一方または双方は、都道府県労働局長に対して紛争解決の援助を求めることができます。また、当事者の一方は、都道府県労働局長に紛争の解決のための調停の申請をすることができます。




罰則

報告の徴収、助言、指導、勧告に従わなかった場合、企業名が公表されることがあります。また、報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合は、過料に処されることがあります(第29条、第30条、第33条)。 一方で、解雇や不利益取扱いが男女雇用機会均等法に違反するとして直ちに刑罰の対象となるわけではありません。しかしながら、違反する解雇や不利益取扱いは民事上無効となる場合があり、企業にとっては損害賠償責任を負うなどのリスクが発生します。




近年の改正

男女雇用機会均等法は、社会の変化に応じて改正が重ねられています。近年の主な改正は以下のとおりです。

  • 2006年改正: 間接差別の禁止、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止の明確化、セクシュアルハラスメント防止対策の強化などが盛り込まれました。

  • 2020年改正: 派遣労働者に対するセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント防止対策について、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主に対しても必要な措置を講じることを義務づけられました。また、自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメント等を行った場合、事実関係の確認に協力するなどの対応が求められるようになりました。

  • 2022年改正: 不妊治療と仕事との両立支援の観点から、不妊治療のために労働者が受けられる環境整備について、事業主の努力義務が規定されました。




まとめ

男女雇用機会均等法は、雇用の分野における男女平等を実現するための重要な法律です。企業には、この法律を遵守し、性別に関わらず全ての労働者が能力を発揮できる職場環境を整備する責任があります。また、労働者自身も、この法律の内容を理解し、自らの権利を守ることが大切です。

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