オリジナル漫画「scope」原作-31
【飛山篇】VS臓器売買組織(黄)第1話
世の中には、非の打ちどころのない天才という者が存在する。生まれつきIQ1,800のその青年、飛山 翔<トビヤマ ショウ>だ。常に凡人の概念の外側の世界で、異形の椅子に腰掛けて来た彼は、ある種の孤独感を抱えていた。 大よそ、全ての未来を予想出来てしまう超絶独りサトリ世代の飛山であったが、彼もまた、闇の組織に両親を殺害された被害者であった。既に3,000年以上生きていると言っても過言では無い、豊富な経験値と共に、生温く退屈な現代社会のプールをすーっと 蹴伸びして進む。
【 --- 回想 --- 】 ※飛山、学生時代
女生徒 「 また、全教科 トビショー(飛翔)が TOPじゃーん…。 何食べたらそんなに頭良くなるの?? 霞でしょ 霞? 」
飛山「 ……またお前か? はぁ 」
潔癖症で特に興味の無い人に対し、心身ともに遠ざける一定の距離、“飛山ディスタンス”を取っている。
男子生徒 「 飛山は別格だけどさぁ。お前だって中々の非凡だぞ。近寄ってもあんま嫌がって無いじゃん?」
ちょっかいを出している女生徒に呼びかける。
女生徒 「 えっ?めっちゃ距離取られてんだけど。。 全然敵わない相手だと競る気も失せて来るんだよねぇ。 はぁ 帰りにコンビニ寄って霞でも買うかー 」
男子生徒 「 全然って事は無いんじゃないの? にしても、霞ってー 仙人か! わっはは 」
飛山が通うスクールは、全世界から招集された選りすぐりの天才しか入れない政府管轄の超エリート校であった。その超エリート校の中でも群を抜いて優秀であった飛山は、勉強にも友達にも興味が無く、退屈な毎日を過ごしていた。そんな素っ気ない態度を常態化してはいたが、幼くして両親を亡くした飛山は、実は家族の温かみに憧れていた。如何なる特殊な方程式を用いても割り出せない、そして決して体温計では測る事が出来ない、家族のぬくもりという温度を体感したかった。
< 数年前、とある研究所にて >
所長「 …のように、長年研究を繰り返してきたが、この度いよいよプロジェクトを本格始動させる運びとなった。 で、準備は良いな? 飛山くん。 」
飛山(父) 「 はい、この時を待ち望んでおりました! 人類の、科学の飛躍のため、喜んでお受けします!! 」
飛山(母) 「 もちろんです! このようなプロジェクトに参加させていただき、この上なく光栄でございます! 」
まだ飛山が生まれる前の若き日の両親だ。ある研究所にて、極秘の実験に参加する決意をしている様子。 若くして優秀な研究員であった両親は、その好奇心をエンジンに、率先して さまざまな最新技術の研究・実験に参加していた。その過程で、あるプロジェクトで一緒になった両親は意気投合し、結婚したのだった。
所長 「 良いか? いかに緻密なマシーンが完成されていようと、操縦する人間の肉体が適応していない限り、本プロジェクトは成功せんのだ。 」
飛山(父) 「 そうですね! 半年に渡り、食事も睡眠も本プロジェクト用に調整して来ました。後はこの身体に耐性を叩き込むのみです! 」
所長 「 うむ、よろしい。では、早速だが実験を始めよう。 各人準備をしてくれ。 」
少し浮いた空間に重心を保ちつつ、前後左右斜めに高速回転する球体のマシーン。真ん中に座席が1つ付いている。ジェットコースターの数倍はある、ごついセーフティーベルトが両肩を包み込む。隣り合わせに置かれた2基にアイコンタクトをして乗り込む両親。スイッチと共に滑らかにマシーンが回転を始めた。
飛山(父) 「 うッ これは絶叫マシーンの比では無いな… ぐぬぬぬぬぬぬぅぅう 」
飛山(母) 「 きゃッ… ぎににににににぃぃい 」
しばらく自動運転にて高速回転を続けるマシーン。 回り過ぎでねじ切れた三半規管が、ポロっと口から出て来そうな感覚。数時間後、回転が止められた。
所長 「 よし、初日はこんなものだろう。明日から徐々に回転数と乗車時間を増やして行くぞ。 ニヤリ 」
飛山(両) 「 は、はい…。 」
黒目がインチキ屋台のダーツの的のように、グルグルと回ったまま止まる気配が無い。フラフラ状態の2人。
過酷な実験が始まって数カ月が経った頃、飛山が誕生した。 心配させまいと、妊娠していた事を黙っていた母。 命の危険もあったが、運良く無事に出産する事が出来た。 母子の容態を心配しつつも、待望の第一子に一喜一憂している父。
所長 「 おいおい、なんで大事な事を黙っていた? お前らは、国を挙げての大事な命なのだぞ!! 無事であったから良かったものを… 」
飛山(母) 「 本当に、申し訳ございません。しかし、命に別状はありませんし、このまま続行させてください! 」
飛山(父) 「 …やめておいた方が良いんじゃないか? 」
飛山(母) 「 いいの! 私がここで辞退してしまったら、また1から実験をやり直す必要があるでしょ? それに大丈夫よ、私なら! 続行させて!!」
所長 「 あぁ、もちろん続行はしてもらうぞ。やっと少しトベるようになったでは無いか。現状、お前にしか出来んのだ!良いな! 」
飛山(父) 「 む、むむぅ …少しでも危険だと判断したら、すぐに辞めてもらうぞ! いいね? 」
飛山(母) 「 …分かったわ! 引き続き宜しくお願いします! 」
秘密裏に実行される実験の日々。早いもので3年が過ぎようとしていた。至極過酷な実験であったが、両親の逸脱した精神力と体力にて、何とかこなせている。実験の成果と引き換えに、パっと見の容姿は実年齢とはかけ離れて急激に老け込んでいるように見え、常に体調は悪そうだ。 何やら所長と揉めている様子。
飛山(父) 「 !? …何ですと? 話が全然違うでは無いですか!! 」
所長 「 勘違いするなよ、国を挙げた実験に、お前たちの意見など不要なのだ。 いいからヤれ! 」
飛山(母) 「 !? これが人類の、科学の飛躍のために!? …冗談はやめてください! 」
神への冒涜とも取れる、所長からの無茶な指示への抵抗を続け、さらに1年が経過したある日。 とある山中にて、救助ヘリが飛んでいる。< バタバタバタ > …飛山の両親と思しき遺体が発見された。司法解剖の結果、両親共に臓器が全て取り除かれていた。
当時のニュースでは、ハイキングを楽しんでいた夫婦が突如現れた熊に襲われ死亡、という不慮の事故として報道されていた。
両親の親戚に預けられていた飛山は、しばらく両親の怪死を伏せられたまま生活をしていた。ある日、あまりの長期に渡る仕事を不審に思った飛山少年(6歳)は、PCを勝手に操作し、国家警察の内部サイトに不正アクセスを試みる。いとも簡単に当時の両親の事件ファイルを見つけると、現場写真を開く。
…臓器が失われたあまりに生々しい両親の写真を、まるで学会で発表するベテラン医師のように冷静に確認している、飛山少年。
飛山 「 こんな綺麗な切り口 …熊が襲ったなんて大ウソじゃん。 刃物を用いた人間の仕業で間違いないよ。 この目は… 」
両親の死と同時に、不可解な状況を確認した飛山少年。 大人以上に頭脳明晰ではあるが、両親との思い出も微かにしかないが… 掛け替えの無い人の死を目の当たりにして、ぶるぶると震える身体。そして、どんどん涙があふれ出して来る。身体に生じる現象は分かっていても、込み上げて来る理解の出来ない感情に、ただただ号泣するしか無かった。この上なく悲しい気持ちと、沸々と遠くで湧き上がるやるせない怒りの感情。IQの高さとは無関係に、少年の心はぐちゃぐちゃに混乱した。卓越した把握能力の高さに対し、経験不足から成る処理能力の低さが大きな仇となり、混乱が精神をダイレクトに締め付けた。
( 現代に戻る。薄暗い部屋でPCを操作している、男の後ろ姿。 )
< カタカタカタ >
メガネを掛け、無表情でタイピングをしている、飛山だ。
飛山 「 え? 遺伝子操作系闇企業(緑)のアジトなんて園児でも分かるんじゃないの? ほいっ。 」
闇の情報を誰かに送っている模様。送り先は… なんとスナユキだ。軍人時代から密かに個人パートナー契約を結んでいた両者。そう、現在の飛山は、闇に精通している情報屋である。…正確に言うと、“情報屋も片手間でやっている”が正解だ。あらゆる企業の経営コンサルをしながら、アプリから新薬まで、幅広い分野における製品開発、そして最愛のペットであるハリネズミを愛玩する日々、実に多忙だ。数日前、事件が起こった。
秘書 「 先生、本日は後5件、アポイントがございますよ。 その後、How toオンライン除霊の書籍執筆を… 」TV電話している。
飛山 「 はい はい、分かってますよ。今日もデリバリー・ドローン(D&D)で シャインチーズ・ピザでも頼むかー ちょい飽きたな。 」
< ピピッ > 飛山の腕時計に連絡が入る。 <!?>
飛山 「 んーむ。こりゃ面倒だぞ。 槍手(秘書)さん、午後のアポ全部キャンセルしといてくれないかな? 大事な会議が入った。 」< ブツン >
槍手 「 …畏まりました。またお取引先が怒るわねぇ… ドタキャンのギネス記録申請でもしたらどうかしら? 」
暗い部屋にこもり、オンライン会議に参加している、飛山。 ボイチェン・キャンディを舐め、機械音の会話が飛び交っている。異様で物々しい雰囲気だ。無音でホバリングしている浮遊モニターは、全部で10台。投影者の声の大きさに反応して近づいたり遠ざかったりしている。モニターに映る人影は薄暗い部屋も相まって、顔を確認する事が出来ない。…否、顔を確認出来ない決定的な要因としては、全員が同じ怪しい仮面を被っているからだ。
その仮面、薄気味悪く微笑んでいるかのような表情に、見事に割れている尻のようなアゴ。 世界的に有名な神出鬼没のハッカー集団、「ケツアゴデス」である。
あらゆる顔を持つ飛山だが、彼もまた、何を隠そう「ケツアゴデス」のメンバーであった。 普段ドライな会議が、珍しく荒れている模様。

【 --- 場面転換して、条一狼サイド --- 】
遺伝子操作系闇企業(緑)との戦いを終え、自宅へと帰って来た条。屋上のプールサイドベッドで昼寝をした際に、お馴染みの悪夢にうなされてるようだ。幾度となく、ダイアナに銃殺される父親の豹尾。 ここまではいつもと同じだが、振り返って不敵にニヤッと笑ったダイアナの表情が、わずかではあるが、悲しそうな表情をしているように感じた。 が、恐らく気のせいだ。
< ガバッ! >
…悪夢にうなされていた条一狼が、目を覚ます。
条 「 はぁ はぁ はぁ… チッ ダイアナぁ、待ってろよ!! 」
球粒のような大きな汗を掻いている。
闇企業との戦いを経て、徐々に浮上して来た暗部=“研究所”について、あの手この手で調査を繰り返している。 そもそも闇企業が存在している領域である、DOSでさえ、民間人が立入るには至極危険な、インターネット上における治外法権エリアだが、研究所はさらにその奥深くに存在しているのだろうか?このDOSに関しては、その道の専門家である情報屋ですら全てを把握する事が出来ていない、まさに未知の領域である。
< ピピッ > 条の携帯に連絡が入る。
条 「 ん? 珍しいな、そっちから連絡して来るとは。 んで、どうした? アフター寝小便布団に、いよいよ宝の地図でも浮かび上がったか? ニヤっ 」
瞬斗 「 はぁ はぁ… うぉい! テメー!! 今どこだ? よく分かんないけど… 完全にハメられたんだよ!! 」
条 「 何だ、いきなり。バタバタしてると思ったら、ハメられただと? お前ごときをハメて何の価値があんだよ、どこぞの物好きな金持ちか? 」
瞬斗 「 アホ!! 冗談言ってる暇は無いんだよ!! いいか?良く聞け! …相手は“ケツアゴデス”だ。 」
条 「 !? おいおいおい、冗談は顔だけにしてくれよ。 …よう分からん集団だが、ヤベェだろ? そりゃ。 だが、何でお前を狙うんだ? 」
瞬斗 「 だーかーらー!! やべーって察しろやぁ!! オレを狙うも何も、そもそも、メンバー内でも互いの個人情報のやり取りは皆無なんだ。だがしかし、確実にオレを狙いに来てる… しかも かなりピンポイントで。」
条 「 それで全力で逃げ回ってたってわけか。ダサっ 」
瞬斗 「 うっせー!ボケェーー!! いいか? 今から送る情報を手掛かりに、ある人物に会って来て欲しい。 」
条 「 …あぁ。 断る。」
瞬斗 「 うぉーーーーい!! テメェ―に断ると言う選択肢は無ぇんだよ!! パートナーだろぉがぁあ!! 」
条 「 …面倒くせぇ。 寒ぃし。 」
瞬斗 「 って こいつ!! あのな、そいつは恐らく“闇”に繋がってるぞ!! きっと …いやっ 必ずだ! 」
条 「 ほぅ~ そりゃ聞き捨てならんな。言ってみろ。」
瞬斗 「 やっと聞く耳持ったか、クソヤロー!! …そいつは恐らく“ケツアゴデス”のメンバーだ。 だが、吉か凶かは正直分からない。だから行け!! 」
条 「 なるほど、お前にしては中々面白そうな案件持って来たじゃねぇか? おしっ 引き受けたぜ。 …で、動くの半年後でいいか? ニヤっ 」
瞬斗 「 …んもう、ハゲろ!! 末代まで!!っ 頼んだぞ、条!< バズバズバズ!> ウギャぁぁあああーーーーー!!!! 」
< ブチッ >
条 「 …ん?本当に狙われてんのか?まぁ あいつのズル賢さは一級品だから問題ねぇだろ。 さて、こっちは鬼が出るか蛇が出るか、楽しみだなぁ。< プププッ ガチャ > おー 久しぶりだな? ちょっとした人探しなんだが、手伝わねぇか? ニヤっ 」
誰かに連絡を取っている様子。
【--- 場面転換して、テーマパーク建設地 ---】
< カンカンカン、ガガガガガァ >
建設現場にて、トラックや重機が慌ただしく稼働している。人工的に作られた浮島に建設予定の、最新技術を駆使したテーマパーク。 工事中の看板には、繰り返し企業ロゴが印刷されている。誰しもが知る、世界的に有名な大企業 「MAYABITO」ホールディングスのロゴだ。 公にはしていないが、この企業の影のオーナーを務めているのが、飛山だ。
無論、テーマパークの総合プロデュースも担当している。 強い好奇心と探求心を併せ持ち、常に新しい何かを創り出す事をライフワークとしている飛山は、このテーマパークの完成を、純粋に楽しみにしている。
ディレクター 「 珍しい事もあるもんだなぁ、今日は飛山さん来ないのか? おーい、誰か知ってるか? 」 < 時計を見て約束時間を確認している >
スタッフ 「 はいー! 先程秘書の槍手さんから連絡が入りまして、別件で立て込んでいるようで今日は立ち会えないとの事ですー 」
ディレクター 「 おー そういう事か。でも今まで何があっても絶対一度は立寄ってたのにな。何か大事でもあったのかねぇ?? 」
スタッフ 「 今日の作業はどうします? 飛山さんの意見聞かずに進めて良いものなんでしょうかね? 」
ディレクター 「 …う~ん、止めておこう。何か考えがあるのかもしれん。制御システムの簡単なバグチェックだけしといてくれるかー? 」
スタッフ 「 わかりましたー 」
このアトラクションは、どうやら襲い掛かって来るゾンビを撃退するシューティングゲームのようだ。 超高速3Dプリンターの応用で、腐食ゴム製のリアルなゾンビを創り出し、胸に原動力ボールを埋め込むと… まるでガチのゾンビのようにゴム人形が暴れ出すというカラクリだ。 胸の原動力ボールを専用の光線銃で撃つとゾンビを撃退出来るらしい。目の前に設置されたセーフティゲートの有無や、HITした際にゴムゾンビを爆発させるか否かも選択できる仕様だ。決して子供向けでは無いが、きっとグロ楽しいに違いない。
( 飛山の部屋にて、オンライン会議中 )
浮遊モニターの光が、お面越しの飛山のメガネに反射されている。 沈黙を保ったまま状況を見ている様子。
飛山 「 ………………………。 」
ケツアゴメンバーA 「 単刀直入に言おう。メンバーの誰かが、国家警察に内部事情をリークしたようだ。 」
ケツアゴメンバーB 「 そんな事したところで、何の利点がある? 」
ケツアゴメンバーC 「 というか、そもそも 何でリークされた事を知っている? 」
ケツアゴメンバーD 「 とっくに忘れてるが、鉄則を破った奴がどうなるか、分かっているな? 」
ケツアゴメンバーE 「 何も発さない奴は、何の意図がある? 」
ケツアゴメンバーF 「 除名もクソも無いだろ? 」
ケツアゴメンバーG 「 それより、新種のウィルスちゃんの話しない? 」
ケツアゴメンバーH 「 お前だろ? 裏切り者 」
ケツアゴメンバーI 「 特製ガスが好みかな 」
ケツアゴメンバーJ 「 おい、鉄クズ!余命って知ってるか? 」
ケツアゴメンバーK 「 エンマ大王邸をハッキングしようぜ 」
飛山 「 誰が消えようが、何も変わらんさ 」
ケツアゴメンバーL 「 …(藍)確定 」
ケツアゴメンバーM 「 !? …… 誰だ? ウギャっ 」
< ザザー… >
何者かに襲われたと思しき人影が、1人モニターから姿を消した。
ケツアゴメンバーN 「 くだらん演技は拍子抜けだ 」
ケツアゴメンバーO 「 < プスー > おいおい、根回し早くないか? 」
< ザザー >
ガスを吸引して倒れ込んだと思しき人影が、1人モニターから姿を消した。
不定期に開催されるケツアゴデスのオンライン会議は、その実態が一切不明である。何人が参加している? モニターに映っている人影が本物なのか?
毎回同じ人物が参加しているのか、それとも頻繁に入れ替わっているのか?…など、謎しか存在しない。唯一、リーダー的発言をする人物が、毎度口火を切るという事は分かっている 今回問題となったのが、自らが自発的に情報漏えいを試みたという、心理的な側面にある。 第3者からのサイバー攻撃は日常茶飯事で、情報を抜き取られる事もしばしばあるが、そんな事はいくらでも手の打ちようがあるため、全く問題無い。
最も厄介なのは、人間の感情部分のエラー…そう、裏切り行為である。さらに今回は、その“裏切り行為自体”が何者かの陰謀によってでっち上げられたようである。
飛山 「 ………………………。 」
< バタン >
ペットのハリネズミを眺めながら、何か感慨深い表情で、無言のまま部屋を出て行った。
数日後の休日、高層タワーマンションの巨大なエレベーターが降りて来る。< ウィン > 扉が開くと、駐輪場を兼任する広大なエレベーターから、自転車に乗った飛山が現れた。そのままどこかへ向かうようだ。ワイヤレスイヤホンを耳にかけ、黙々と自転車を走らせる。しばらく走らせると目的に到着した。
賑わう繁華街の外れにある、小さな動物病院。 飛山の叔父夫婦が営む動物病院だ。幼少期預けられていた、いわば実家のようなものだ。
( つづく )
