オリジナル漫画「scope」原作-53
【暗堂篇】VS武器密輸組織(紫)第6話
瞬斗 「 いっ!? なんだ なんだ!? このテンションは… 暴動でも起きるんじゃねぇだろな。。 」
キョロキョロと周りを見渡し不安な表情をしている。
舞 「 イイじゃん!イイじゃん! 盛り上がって参りましたぁー!! うおー がおーーー 」
興奮して立ち上がり、両手を突き上げ絶叫している。
以臓 「 今までは前座だったという事か。 …それにしても 聞くに堪えない不快な声だな、しばしこれを使ってやり過ごすとしよう。」 < キュッ キュッ >
条 「 …どうした? お前、それ耳栓だぞ。。 その顔で、堂々と腕組んで余裕かましてんじゃねぇ! 」
耳栓を鼻の穴に突っ込んで、“あいつ、やるな感”を醸し出している、以臓。 その姿は、眉間にシワを寄せ、まるで日本の夜明けを見据える、坂本龍馬のような顔付きである。 本人のイメージでは、とても渋い漢の顔をしているようだが、傍から見れば、鼻の穴に耳栓を突っ込んでいる、ただのオスベリ万太郎である。
以臓 「 なんだ? まるで防音効果が無いではないか! どうやら、不良品を掴まされてしまったようだな、フンッ! 」鼻声でしゃべっている。
< スポンッ!スポンッ!> 間違った怒りと共に出た荒い鼻息で、勢い良く耳栓を鼻から噴き出す。
条 「 ………………………。 」
瞬斗 「 …どっちなんだ?? 天然なのか、それとも 場を和ませようとわざとやってんのか… 」
舞 「 キャッハハハハ “I” サイコー! ねね? もう一セット無いの? アタシもやってみたい!」
条 「 …お前はやめとけ、兄貴が悲しむぞ。 」
わちゃわちゃしていると、後半戦1品目の闇アイテムが登場した。< グゴゴゴゴォ >ガラスケースに入った異形の物体が、中央舞台に競り上がって来ると同時に、各席に浮いている液晶ビジョンに映像が映し出される。間髪入れずに湧き上がる、静かな歓声。 < おぉ~ > なんと! それは、本イベントで初めて見る、プラモデル風の箱に入った、特殊拳銃であった。
MC 「 さぁ さぁ! 出し惜しみはしませんよーーーー!!!! 後半戦1品目は、こちらの“蝦型特殊拳銃ZARIGANI-DX” だぁ!!!! 」
プラモデル風の箱を開け、拳銃本体を両手に掲げて会場に見せつける、MC。
観衆 「 うぉぉぉぉおおおおおおお!!! ゴゴゴゴゴゴォォォオオ!! 」興奮する会場。
条 「 おっ! Genimaじゃねぇか。 だが、これ落札しても必ず撃てるって保証ねぇんだろ? 使えねぇ武器なんて、ただのガラクタだぜ。 」
瞬斗 「 そうだな、だから用心棒みたいな輩が重宝されるんじゃねーの? どんな訓練してるか知らんけど、あいつらなら可能だろ? 脳筋集団。 」
以臓 「 相性もあるからな、何とも言えん。 オレの場合は、先祖代々受け継がれて来た暗器だから、不侍林家の血筋で無いとトリガーが引けん。」
舞 「 そぉーねー “Genima”は まだまだ謎が多くて、研究のしがいがあるわ。 …ザリガニかぁ ちょっと可愛いし、アタシも欲しいなーー! うおー 」
MC 「 特殊拳銃はご存知の通り流通が不定期なので、出会いの運がありますよ! さぁ! 5億メロからスタートぉ!! 」
観衆 「 ⦅ 10億!⦆ ⦅ 20億!⦆ …⦅ 50億!⦆ …⦅ 80億!⦆ ⦅ 100億!!⦆ …⦅ 300億!!⦆ 」
あっという間に吊り上げられる金額に、目を白黒させてあっけに取られている条たち。参加はせずとも、この場にいるだけで様々な常識的感覚が失われて行く。
瞬斗 「 ふぇー スゲーな… ネットじゃなくてリアルでの参加だと、臨場感がまるで別物だなぁ。…マジでこれ、売っちまおうかな? 」
法外な額のダークマネーが飛び交う取引模様を目の当たりにし、何なら自身が所有している“特拳”を売りに出してしまおうか、葛藤している、瞬斗。ヤマアラシ型拳銃 「ヘッジホッグ」…かつての闇のオークションにて、正義を大義に掲げ、強引に奪った“特拳”であるため、父の形見や、先祖代々受け継がれて来た暗器のように、他の人に比べ重みや執着が無いのかもしれない。 ちなみに、かつて奪った相手とは… あの暗堂である。お互いにまだその事は知らない。
条 「 売っても構わんが、今は止めとけ。 万が一の時の護身が出来なくなるぞ。お前から“Genima”取ったら戦力2だからな。 」
瞬斗 「 …バカかっ 冗談に決まってんだろが。。ってか、戦力2って何だよ!! この稀代の天才に向かって、何を宣っておるのだね、キミは。 」
条 「 そうだなぁ。戦力2ってのはだな… 例えば、一般成人女性の半分ってとこかな? ちょっと高く見積り過ぎか? ニヤっ 」
瞬斗 「 ふむふむ、OLの半分ねぇ …って女児レベルかよ!! …そうかぁ、オレが小2でアムールトラを素手で仕留めたって話、知らねぇんだったな?」
舞 「 …飼い猫と仲良くじゃれたって話でしょ? どうせ。 オモンナー 」
瞬斗 「 う、嘘だと思うなら、ジィちゃんにでも聞いてみる事だな! ちなみに言っとくが、ジィちゃんはウソつきだからな! 」
不毛な言い争いをしている最中も、“Genima”のオークションはさらに進み、ヒートアップしている。 目も眩むような金額が次々と更新されて行った。 …しばらくすると、一時訪れた飽和状態を突き破るように、ついに落札の瞬間が訪れた。
MC 「 宜しいですか? 宜しいですか? そちら、大丈夫でしょうか?< ガンガンッ > では、こちらの “蝦型特殊拳銃ZARIGANI-DX” 1,420億メロにて、落札ぁぁぁぁぁあああああつッ!!!!」
鬼島 「 よぉし、中々良いじゃねぇか。これでもっと高値で取引が出来るってもんだな。 バッハハハ 」
闇の用心棒企業が競り落としたようだ。
瞬斗 「 い、1,420億だと!? 特殊言うても、たかだか拳銃だぞ? ハイパーインフレでも起きてんのか… ったく。 」
舞 「 イイなぁー イイなぁー やっぱお兄ちゃんに、ちょっとお金借りてくれば良かったなぁ 」
瞬斗 「 ちょっと借りるぐらいじゃ何ともなんないでしょ? 1,400億よ? 」
舞 「 そっかなー Genimaぐらいなら、何丁か買えたんじゃないかな? 」
瞬斗 「 …マジ? お兄ちゃんエグイねぇ。。オレも裏家業ばっかやってないで、起業でもすっかなー 」
興奮冷めやらぬうちに、次のアイテムが競り上がって来る。次は、特殊弾丸のようだ。基本的に、“特拳”を所持していないと役に立たないアイテムであるが、館内の盛り上りは増すばかりで、冷める気配が全くない。転売目的、あるいはその全ての来場者が“特拳”の所有者である、という事なのだろうか?
MC 「 さぁさぁ、ガンガン行きますおよぉ~!! 次は特殊弾丸、“宝石弾 ホワイトターガーアイ” だぁ!! さぁ! 2億メロからスタートぉ!! 」
観衆 「 うぉぉぉぉおおおおおおお!!! ゴゴゴゴゴゴォォォオオ!! ⦅ 5億!⦆ ⦅ 10億!⦆ ⦅ 20億!⦆… 」興奮する会場。
瞬斗 「 おほぉー タイガーアイは見た事あるけど、ホワイトタイガーアイとはねぇな。散々闇サイトで漁ってるけど、これは初めて見たわ。」
舞 「 機能が気になるわね! シマウマみたいに綺麗な白黒模様… うっ 欲しい… 」
条 「 どれもレア物ばかりのようだが、かなりの確率であの男が落札しちまうな。ああやって静かにしてるが、この距離からでも ビンビン感じるぜ… 触れただけで人を食い殺しちまうような、ものすげぇオーラだ。 」
以臓 「 ヤツどこかで見た事があるような。若くして成功を収めてる、人材派遣の社長か何かでは無かったか? 」( 異常に視力が良い )
瞬斗 「 薄暗くて良く分からねぇが、違うんじゃないの? 」
舞 「 どうなんだろ? 確かに暗くて良く分からないわねぇ。 ただ、貫禄がスーツ着て歩いているような、そんな印象よね。」
条 「 人材派遣か… 胡散臭ぇな。“どっかと裏で繋がってて、悪さも黙認されてる” レベルじゃねぇぞ。 白昼堂々、殺人を犯しても捕まらないレベルのヤバさだ。 …おいっ あいつにコンタクト取ってみるか? ニヤっ 」
以臓 「 なんだ? 先程とは真逆の事言っているでは無いか。 今は焦らず情報収集するのでは無かったのか? 」
条 「 お前らは、頃合いを見て退散してくれ。 独りの方が何かとやり易いからな。 」目つきが鋭くなっていく。
瞬斗 「 おいおい、またバカが暴走し始めたぞ… やめとけって!! パートナーの意見無視しんなよ! 」
舞 「 ちょい待ってよ、“J” まだ目玉商品ってのが出て無いと思うのー。 それまでは大人しくしといてー。 何とか言ってやってよー! “I” 」
以臓 「 …なんだ、お前が行くという事なら、オレが先に行かせてもらうぞ。 」
舞 「 …あんたにお願いしたアタシが間違ってたわ。 やめてー! 」
瞬斗 「 こいつらに何言っても言う事聞かねぇよ… “M”ちゃん、他人のふりしといて、基本脱出する事だけ考えよう。」
舞 「 うげぇ 」
条 「 何言ってんだ? お前は2人を連れて、ここから立ち去れ、“I”。 リスクを負うのは、オレだけで良い。 」
以臓 「 お前こそ訳の分からん事を… 元々はお前の連れだろ? “J” お前が責任持って、ここから避難するのだ。 」
条 「 知るか、ボケ! お前が連れてけ、インチキ忍者ヤロー! 」
以臓 「 何だと! 貴様だけ予約してた打上げ、席だけ予約に変更してやろーか!! というか、正確にはインチキ忍者の末裔ヤローだ!! 」
条 「 口喧嘩でスゲー変化球放ってくるんじゃねぇ! やりづれぇわ!! よしっ お先にー 」
以臓 「 なっ! 卑怯だぞ!! 敗けてられん! 」
円形の館内にて、右通路側から条が、左通路側から以臓が身を潜めながら鬼島のいる席へと接近を試みる。 館内はヒートアップ中のオークションが継続され、誰一人通路には注目していない。次の闇アイテムが出品されると、ひと際大きな歓声が上がった。
MC 「 お次はコチラ、1人乗り用トカゲ型戦車 “エリマキトカタンッ” 通常の戦車に比べ小型だが、その機動力と破壊力は絶大だ!!しかも、エリを広げるとシールドにもなり、防御も完璧!!!! 」
( デモンストレーションVが流れる )
観衆 「 うぉぉぉぉおおおおおおお!!!エリマキトカゲじゃぁぁぁぁあああああああ!! ゴゴゴゴゴゴォォォオオ!! 」興奮する会場。
舞 「 大砲はトカゲの口から出るのかぁ …これって手綱握って、あの背中のとこに跨って座る感じだよね? ダチョウに乗るようなスタイルで。 」
瞬斗 「 そだね、剥き出しだね。…後ろから撃たれたら、防御力0じゃん。 」
観客が、見た事も無い奇抜な兵器に気を取られている隙に、自らも見たい気持ちをグッと堪え、両サイドから徐々に近づいて行く2名。< タタタタタッ >半分を過ぎたぐらいの地点で、物凄い殺気を感じ取る2名。
条 「 …何だ!? あれは側近ってヤツか? こっから先はヤバかったぜ。 」 その場でピタッと立ち止まる。
以臓 「 …クッ どうやら不用意にヤツらの射程距離に入ってしまったようだな。 < サッ > 」
その場に立ち止まり、一歩下がる。
鬼島の両サイドに構えていた側近2人が、異変を察知するや否や、条と以臓に対して睨みを効かせている。薄暗くて見えづらいが、衣服に隠して拳銃を向け、威嚇しているようだ。物騒である事、この上なし。
鬼島 「 おっ 珍しい輩もいるもんだなぁ。どうだ、スカウトでもして来るか? お前ら。これも演出だったら、大したイベントだよ、 バッハハハ 」
側近A 「 何者でしょうね? こんなところでウチにちょっかい出して来るとは。頭がイカレてるのは確定でしょうが。 」
側近B 「 …ただのアホだろう、売名じゃないのか? 」
正面からガッツリとロックオンされ、身動きが取れない条と、以臓。 お互いに相手から伝わって来る、ヤバさを感じ取っているようだ。会場の歓声が鳴り響く中、しばし、膠着状態が続く。
< うぉぉぉおおおお!! ゴゴゴォォォオオオオ!! >
条 「 こりゃ参ったな。強行突破しかねぇか… 」
懐の“Genima”に手を掛け、戦闘態勢をキープしている。
以臓 「 …やるか。修行の成果を試すには、格好の相手かもしれんな。 」
同様に懐の“特拳”に手を掛け臨戦態勢を取っている。
< ボゴォーン > 会場の歓声に紛れ、地上付近にて、微かに爆発音が鳴ったように感じた。多くの人間は気付いていないようだ。
側近A 「 ん? 花火か何かか? …まあ良い、このままでは埒が明かないので、直接スカウトに行って来ますよ。 」
側近B 「 行くのか? こちらから出向く程の相手でもあるまい。 …まぁ、あんたが言うなら仕方ない、行くか。 」
おもむろに、鬼島の両脇にいた側近が2人が左右の通路に分かれ、同時に歩を進めて来た。< カツ カツ カツ >意外な行動に警戒心をMAXに引き上げる条と以臓。両人共にガタイの良い大男であるが、特に以臓サイドに向かった側近Bは、230cmは優に超えるTHE怪物である。
条 「 何の音だ?? …おっと、そっちから来るパターンね? さて、どうすっかね。 」
とっさに “ブラックパンサー961”のトリガーを渾身の力で強く握り締め、パワーをチャージしているようだ。 以臓はと言うと、条とは対照的に、二丁拳銃 [風神][雷神]のトリガーを握ると、目を閉じ、静かに精神を統一させているようだ。それっぽい忍者の“印”を心の中で唱えている。
以臓 「( 林・豹・当社比?・怪・陳列GUY? ……あれ?なんだっけ? )」
側近A 「 ふーん、やる気なのね? 思ったよりも、修羅場をくぐってそうだな、これは侮れん。 」
トリガーを握る力が強まっている。
側近B 「 …こいつ、何をしている?? 良く分からんが、不気味なヤツだぜ。 」
同様に、トリガーを握る力が強まっている。
< カツ カツ カツ > 必殺の間合いに入るまで残り、数m。 余程の余裕なのか、周囲を警戒はしつつも、デリカシー無く近づいてくる側近たち。極限までに神経を研ぎ澄ませた条には、側近Aが近付いてくる一歩一歩が、スローモーションに映っていた。決して美しいものでは無く、心情的には死刑執行を待つ囚人に、一歩一歩近づいてくる看守、のようなシチュエーションである。
側近A 「 さて、こっから先は進入禁止エリアだな?じゃ遠慮なくお邪魔するぜ… 」 <!?>
側近B 「 そろそろ目を覚ませよ。 …死ぬぞ、お前? 」 <!?>
条 「 ぐぬぬぬぬぉぉおおおお!! くらえ!… 」 <!?>
以臓 「 死ぬのは、貴様の方だ!! いくぞ!… 」 <!?>
< ボォゴォォオオオーンッ!!? >
先程微かに聞こえた爆発音が、今度は会場の扉付近にて音量MAXの状態で聞こえて来た。瞬時に異変に気付き、ざわつく館内。 一瞬で空気が緊迫する。闇の人間の警戒心は、常人の数十倍と言っても過言では無いだろう。 今までのオークションの熱気とは違った、冷たくも異様な空気が一気に館内を支配した。すると、爆発音と巻き上がった粉塵共に、2人の人影が見え始める。1人の男が、片手でもう1人の男の首を締め上げている。控室で監視していた、ゲリーポスターがその男に気付いた。
ゲリーポスター 「 …何故だ?? あいつは、研究所に引き渡したのでは!? もう二度と戻っては来れないはずだ。 」
首を締め上げている、その男。ヴォルグ暗堂であった。 締め上げられているのは、幼少期に暗堂をいじめていた武器売買系闇企業(紫)の構成員であった。
暗堂 「 その顔、忘れてねぇぞ。 …弱い者いじめするヤツは、この暗堂が許さん!! 」
< ドサッ >
男を床に投げ捨てる、気絶しているようだ。
( つづく )
