見出し画像

オリジナル漫画「scope」原作-52

【暗堂篇】VS武器密輸組織(紫)第5話


レミィ 「 こんなにも何重も予防線張って、安全な場所から堂々と悪事を働かせるとは、ホント世の中腐ってるわね。 」

ゲンジ 「 おう、そうだな。だからこそ、オレらの任務が重要って事だ。今は、監査に注力するが、いずれ… ん? 裏に引っ込むのか? < ジジッ > おいっ ソウジ、中の様子は分かるか? 」

VIPルーム外の仲間に連絡を取っているようだ。

ソウジ 「 やってはおるが、外部電波を完全にシャットアウトされておってな… しゃあない、やり方を替えるとしよう。 ほれっ 行ってこい 」

< Chuu Chuu > ソウジの元から、数匹のネズミが放たれた。小刻みに走って行き、排水溝や壁の隙間など、あらゆる手段で館内への侵入を試みる。ゲンジらが監視対象としていた、館内最後部にいた4人の人影は、バーヘッドがいる控室へと姿を消して行った。果たして彼らは“黄泉の市”の主催者であるバーヘッドを、裏で操る黒幕的存在なのだろうか?

瞬斗 「 …いきなり、9,600万だと !? 真面目に税金納めてるのが、バカらしくなって来るよな。 」

条 「 ここでの収益がまた別の悪事に使われると思うと、反吐が出るぜ。 …どっかで断ち切らねぇと、腐った世の中が無限ループされるだけだ。 」

以臓 「 今、ここで断ち切るか? 」

条 「 やるか? ニヤっ…と言いたいところだが、時期尚早だ。裏は必ず裏で繋がってる。目指す場所さえブレなければ、今やらずとも結果は同じになるはずだ、問題ねぇ。さぁ、焦らず情報収集を徹底するぞ。 」

瞬斗  「 …ふっ なんならオレ1人でやってやってもイイんだぜ。 」

条 「 そうか? んじゃ頼む。 」 死んだ魚の目をしている①

以臓  「 任せたぞ。 」 死んだ魚の目をしている②

舞 「 ガンバレ。 」 死んだ魚の目をしている③

瞬斗  「 いや いやっ 止めろやー!! オレ様は、人類の奇跡的存在なんだぞ! 」

館内のざわつきが止まないうちに、次から次へと闇のアイテムが出品されて行く。さすが今世紀最大級の闇市、しかもVIP専用のオークションとなれば、嗜好の逸品ばかりだ。興奮しつつも全てのアイテムを舐めるように記録していく、舞。瞬きのし過ぎで、若干目が充血して来たようだ。

MC 「 こちらの、人差し指用火炎放射器 “フィンガーファイヤー” 1億2,000万メロにて、落札っ!!ここで小休憩に入りますー 再開は… 」

条 「 大丈夫か?? 相当目が充血してるようだが。 」

舞 「 ふぅー …全部欲しい! すごい技術のオンパレードだよ。でもさぁ 世界の科学の進歩には、皮肉にも闇の違法実験が、ある種重要なファクターになってるのかもねぇ。 道徳に反した、まさにタブー領域。 …でも、何でもアリはアタシは嫌いだな。 」

瞬斗 「 おっ ビュッフェあるぜ、しかも高級なモンばっかだ。 酒まであるぜ… 」

条 「 リスクは伴うが、この休憩中に参加者にコンタクト取ってみるか? 特殊拳銃について何か知ってるかもしれん。 」


< 場面転換して、謎の研究所 >

< バッ バッ > 全裸で手術台に横たわる男に、四方から強めのライトが当てられる。静かに目を瞑っている長髪の男 …連れ去られた暗堂だ。しばらくして、気を失っていた暗堂が、ライトの眩しさで目を覚ます。

暗堂  「 むむぅ  朝か??  …ここはどこだ? !? くっ 身動きが出来ん… 」
カーボン製のベルトにて、ガッチリと手足を拘束されている。

監視室から目が覚めた暗堂が確認されると、スピーカーから発せられた何者かの声が、室内へと鳴り響く。

謎  「 やっと気付いたかね? 君は選ばれたのだ。…人類のアップデートに貢献出来るのかもしれんのだぞ。 光栄に思いたまえ。 」

暗堂 「 は?? …夢なのか? 何を開口一番壮大な話してるんだ?まずは、この状態にまで至った経緯を教えろ。 」

謎 「 何も覚えとらんのかね? まぁ、ずっと気絶していたのだから、無理も無いか。だが、もはや知る必要もあるまい。 」

暗堂  「 なんだか 博士みてぇな話し方しやがって。 誰だ、貴様は? 」

謎  「 私が誰かは言う事が出来ん。だが せっかくだ、冥途の土産に教えてやろう。ここはある研究所、今からお前に希望の手術を施す。 」

暗堂 「 手術だと? オレはどこも体は悪くねぇぞ。むむぅ …察するに、これが噂に聞く、違法の人体実験ってヤツか? 」

謎 「 おいおい、聞こえが悪いな。人類の未来のための、希望の手術だと言っているだろう。 」

暗堂 「 ふーん。 じゃ とっととやれよ! こっちは暇じぇねぇんだ、早く黄泉の市に戻って爆買いするしねぇと。 」

謎 「 随分と潔いな。大体の被験者は泣き叫び、助けを請うものだが。 」

暗堂 「 …ちょっと前の事 思い出したよ、闇に手を出した自分が悪い。自業自得ってヤツだ、ジタバタしても仕方ねぇだろ? 」

謎 「 分かった。では始めるとしよう。安心しろ、是か非かでしかないのでな… 一瞬で終わる。 」

< ウィーン > 手術台に向かって複数のアーム付きのマシーンが近付いて来た。人間が操作しているかどうかは定かでは無いが、AI搭載の手術ロボのようだ。今では人間よりも正確な手術が可能との事で、その大半の手術をロボットが担っている。手際よく、極細の注射器を暗堂の腕に注し麻酔完了だ。

<バリバリバリッ…> 眠った暗堂に覆いかぶさるようにアームを伸ばし、蓄電しているように激しい電気を発している。

< ズガガガガガン!!> 次の瞬間、手術音とは程遠い爆発音と共に、全ての工程が終了したようだ。ブスブスと煙を上げている暗堂の身体。

謎 「 うむ、やはり適合しなかったか。これで何体目だ?おいっ こいつも捨てておけ。 」白目を剥きピクリとも動かない姿を確認する。

< ガチャッ > 手術台が斜めにガタっと傾き、開いた床穴から頭から落とされる、暗堂。< ドシャン > 落とされた暗堂の身体からは、明らかに機械音がした。周りには、手術に失敗したであろう人体が転がっていた。 見開いた目のまま、力無く横たわる暗堂。 まるで電池が切れたロボットのようだ。

< キュイーン… > どこからともなく、PCの起動音のような機械音がかすかに聞こえて来る。 音を辿ると、どうやら、暗堂の身体から音が発せられているようだ。変わらず、目を見開いたまま、力無く横たわっている暗堂。 …遠い記憶の中で、イジメられていた幼少期の事が走馬灯のように思い出される。

24時間、リアルでもネットでも休みなく誹謗中傷を受け続け、苦悩する日々を送る 暗堂。部屋の隅っこで、体育座りをして途方に暮れている。延々に続く、罵詈雑言という名の新種の劇薬を纏った集中爆撃。消耗しきった精神が小さく消えて行くと思いきや、意に反し、やがて怒りの感情が沸き上がって来る。“オレが何か悪い事でもしたのかよ?” “髪が長くて、目つきが悪くて、何が悪い” “悪気が無いは言い訳にならねぇぞ”  …“力だ、…力が欲しい!!”

ぬぉぉぉぉぉぁぁぁぁあああああああああああ!!!!

< キュイーーン キュイーーン キュイーーン… キュルルルルル!! > 徐々に大きくなっていく起動音。暗堂の瞳の奥に、わずかな光が灯りはじめる。

< ピンポンパンポン >

リブート完了音が鳴り響いた次の瞬間、ムクっと暗堂が立ち上がった。 不思議そうに自分の両手を見つめている。

暗堂 「 …んん? 何か変な感じだな。オレ、どこで何してたんだ?? 違法の人体実験を受けた?? 頭がフラフラするな… 」

辺り周辺を見渡すと… そこは、人間そっくりの無数のロボットが乱雑に捨てられた無人島 「スクラップ島」であった。ある未知の海域に、無数の人形やロボットが捨てられた不気味な島が存在する、と言った都市伝説があった。人形の供養のため、はたまたロボの不法投棄、いつの間にか人形が勝手に溜まって行く…など様々な噂話が存在する島だが、まさにここが、そのスクラップ島である。 無人島のため、不気味な視線こそ感じるが、稼働しているのは暗堂1人であった。

暗堂  「 つくづく気味が悪い島だな…  取りあえず、何か着るモンねぇかな。ん? 何か身体がやけに重てぇし、関節音もおかしいぜ。 」

< ウィン ウィン >身体を動かす度に鳴る、微かな機械音。 < ズンッ ズンッ >歩く度に踏み付ける地面が、重みで若干めり込んでいる。 違和感を覚えつつ、海岸沿いの鋭い岩壁の上を歩いている内に、ふとバランスを崩してしまう。<ガラガラガラっ ダンッ!> 5mほど下に転げ落ち、岩場に叩きつけられてしまった。

暗堂  「 …あれれっ? 頭はフラフラするが、身体は全然痛くねぇぞ!? マジか。 」

自身の身体をおもむろに触って確認すると、まるで最上級の鋼鉄のように滑らかでガチガチに固い。 見た目は人間と同様皮膚も存在するが、とにかく鉄の塊のように頑丈で、重厚感ありまくりだ。 試しに転がっている岩にデコピンをしてみると、ライフルで撃たれたスイカのように粉々に砕け散った。

暗堂  「 え?え? まさかこれって…? デヒャッ ヒャッ ヒャッ!! オレ自身が “力”になっちまうとはな… り、理想過ぎぃぃぃぃぃいいいいいい!! 」

ニヤニヤしながら恍惚の表情で絶叫する、暗堂。 半裸に近い恰好だ。 誰もいない無人島だからギリ許されるが、繁華街でやったら即実刑の所業である。生粋の武器マニアで、もはや変態の領域にまで達している暗堂は、その異常な探求心によって、闇に介入するほどの情報通でもある。キーワードを思い浮かべ、点と点を線で結んでみる。 「人身売買」「謎の研究所」 「違法手術」 「鋼鉄のような身体」…自身の身体に施された“何か”を確信したようである。

暗堂  「 …武器に特化したトランスヒューマニズム。 究極の答えがここにある?  はっ!? そう言えばあいつ、あの時の… 許さんぞぉ!! 」

< カチッ >
かかとに付いている蓋が開き、ジェットが噴射する。

< シュゴゴゴゴゴォオオ!!! >
勢い良く空へと飛び上がると、今度は両脇の蓋が開き、激しくなびく腋毛と共に、さらなるジェットが加速される。 瞬く間に遥か彼方へと飛んで行ってしまった暗堂。 サイボーグとアンドロイドの良い部分を掛け合わせた、未来の超人類、“サイボロイド”

怒りと共に覚醒した暗堂が、復讐と爆買いを目的に、再び黄泉の市を目指す。

休憩中のオークション会場にて、コソコソと不穏な動きを見せている面々。今回は4人バラバラの行動で、各々が情報収集をしているようだ。参加者の全てが曰く付きの人間で自身の存在を知られたくない輩のため、いけ好かない気遣いにてプライバシーを配慮し、館内は薄暗いままだ。

瞬斗  「 ことごとく美味ぇなぁ、ジイちゃんにも食わせてやりてぇぜ。 」
むしゃむしゃと高級ビュッフェを食い漁っているだけで、完全にさぼっている。

舞 「 これって、猛禽類の特徴を使ったレンズって知ってました? え?  そうなんですか! うんうん、もっと聞かせて… 」

条 「 ヲタクの今日の狙いは何なんだ? ほぅ オレはマシンガン狙ってるぜ。ところで、歳を取らない少女の話って何か知ってるか?… 」

以臓 「 忍者関連の闇アイテムが欲しくてな。…それより、パンケーキは好きか? 」


< 場面転換して、主催者控室 >

仮面を被った4人の人物と、バーヘッド、ゲリーポスター、武器売買系闇企業(紫)の構成員が数名が室内にいる。 オークション会場で振る舞われているビュッフェ以上の最高級料理と、年代物の酒が置かれている。抜き打ちで現れた権力者をもてなしているようだ。異様な緊張感が漂っている。

バーヘッド 「 これはこれは、まさか直々にいらっしゃるとは、さすがに驚きますよ。安心してください、売り上げはこれ以上ないぐらい、順調ですから! 」

謎男  「 そうか、それは良い話だな。 」

バーヘッド 「 き、今日は、その他 何かご用件でもあったのですか?? 」

謎男 「 ボチボチ選挙が控えておるのでな。 政治活動の一環とでも言っておくか。!? 」 < バンッ! >

高級料理の匂いに誘われたのか、部屋の隅にネズミが一匹紛れ込んでいた。躊躇無くそのネズミに向けて瞬時に発砲する謎男。すると、被弾したネズミが機械音と共に爆発した。見た目は完全に野生のネズミであったが、なんとそれは…精巧に作られたロボットネズミであった。

謎男 「 こいつ以外にもデカいネズミが紛れ込んでいるようだなぁ。警戒レベルを上げておけ。よしっ 後は任せたぞ、引き上げるとしよう。 」

バーヘッド 「 !? は、はい。承知しました。おいっ! お見送りだ! 」

ゲリーポスター 「 はっ! 」

何をしに来たのか? 全く分からないまま、闇の重鎮たちはその場を去って行った。 バーヘッドのリアクションを見る限りでは、相当レアなケースであったのだろう。当然、今回訪問した4人全員の顔も名前も知り得ない。

バーヘッド 「 …行ったか? こんなサプライズ、本当に勘弁して欲しいぜ。 身体が持たねぇわ 」

ゲリーポスター 「 地方の少年野球の試合に、ふらっとメジャーリーガーがやって来て、1打席だけ入ってすぐ帰ってった…ぐらいのインパクトでしたねぇ。 」

バーヘッド 「 何だか分からねぇが、悪人なら分かる“圧”が尋常じゃなかったな。。 このイベントの収益回収したら引退するかな… 」


< 場面転換して、ゲンジサイド >

休憩中にオークション会場を出て、ソウジと合流していたゲンジら3名。橋のたもとに、対面販売が可能な背の高いキッチンカーが駐車されている。

「CLOSED」の看板がぶら下がっており、準備中のようだ。 この車、外装はフェイクで、車内は特殊な機材がふんだんに盛り込まれた、ゴリゴリの偵察車である。


レミィ 「 てかさぁ このご時世に、ネズミって違和感あるんじゃないの? 中々見ないと思うけど… 」

ソウジ 「 そうか?だが、ワシの自慢の偵察機だからな、舐めてもらっては困る。本物のネズミでさえ騙され …ぐはっ 早々にやられおった! クッソー 」

< ボンッ! ジジジー… > ヘッドホンを付けて盗聴を目論んでいたソウジだが、控室に入った途端、ネズミロボガ破壊された際の爆発音が鳴り響いた。

レミィ 「 ほらーっ 駆除されちゃった… 偵察機にしては、色んな意味で目立ちすぎね。 」

ゲンジ 「 …まっ そんなもんだろ? だが、布石は打ったぜ。 今後、何かしらの間接的な影響がどう出るか、楽しみだな。 大胆不敵に見せかけて、かなり警戒心が強いヤツらだ。 もうオークション会場には戻っては来ないだろう。…んでわ、用が無くなったから、オレたちも行くぞ。」

C-tech 「 オークション、もう少し見たかったけどネー ラジャー! 出発するヨ 」


<ブロロロロォ~>

どことなく平和な排気音を垂れ流して人工島を後にする、ゲンジたち。 彼らが追うターゲットも、彼ら自身もまた、謎に包まれたままである。


< 場面転換して、闇のオークション会場 >

引き続き情報収集をする条たちであったが、間もなく休憩時間が終わろうとしていた。観客席の人影と、ざわつきが再び大きくなって来た。館内放送にて間もなくオークション再開のアナウンスが流れる。

条 「 チッ タイムオーバーか。 ろくな情報が得られなかったぜ。 」

スポットライトの明りが強まると、中央から助手と見られる美女たちを引き連れたMCが、リフトアップして来た。< ウィーン >

舞 「 わわっ もう始まっちゃうねぇ。情報収集の件は、また後にしよっ! さてさて、どんな目玉が登場するかねぇー 楽しみぃーー!! 」

瞬斗・以蔵 「 OK 」

MC 「 えぇ、うおほんっ おほんっ!マシントラブルもあり、大変お待たせ致しましたー!! ただいまより、後半戦開始しますー!! 」

観衆 「 …うぉぉぉぉおおおおおおお!!!おらっ!!もったいぶってんじゃねぇぞぉおおお!!!ゴゴゴゴゴゴォォォオオ!! 」

< ザワ!ザワ!ザワ! >

前半戦に比べ、会場のテンションが明らかに高い。今までも選りすぐりの闇アイテムが出品されていたが、やはり後半にはそれを軽く凌駕する、目玉アイテムが出品される事が分かっているようだ。 今まで資金を温存していた、汚獣たちの目つきが変わる。


( つづく )



この記事が参加している募集