オリジナル漫画「scope」原作-51
【暗堂篇】VS武器密輸組織(紫)第4話
ひと際オーラを放っている参加者に近づき、挨拶をして回る、バーヘッド。 ほとんどが顔見知りのお得意先様のようで、会場奥にあるVIPルームへのアテンドをしている。 また来場者は案内状と共に送られて来たピンバッチを付ける事が来場条件となっており、バッチは色分けされている模様。 顔見知りで無い客は、そのバッチの色を見て判断している。
条 「 何やら怪しいヤローが出て来たな。あいつが恐らく、主催者の武器売買系闇企業(紫)の人間だろう。 」
瞬斗 「 ビンゴだな。 …それと、あの先にあるVIPルームってとこで闇のオークションが開催されるようだぜ。 」 < ピピピッ >
手首に付けた超小型PCにて、闇サイトのリアルタイム情報を収集している。
舞 「 スゴー、さすが“KAGD”だねぇ。情報処理速度も半端ねぇー お兄ちゃんが一目置くわけだ。 」
瞬斗 「 その気になれば、会話の音声も拾えるぜ。 今回は準備してないから出来ないけど、対象者の行動パターンと会話を、ある程度収集・分析すると、以降、そいつの大よその行動が予測出来ちゃうんだな。 まぁ 目視でもある程度は可能だよ。 …しかも会場全体で可能だ。 ニィっ 」
以臓 「 何とも恐ろしいヤツだな… ただの虫歯菌では無かったのか?」
瞬斗 「 …お前の発言は予測できねぇよ! 」
条 「 なるほど、その闇のオークションってのに参加してぇな。 紛れ込めるか? 」
舞 「 絶対参加したーい!! てか、絶対するぅーーー!!!!! 」
瞬斗 「 そうだな、あのバッチを調達出来れば、潜り込めなくもないかな。オレの 痺毒弾(ナンブネス)で痺れさせてから奪うか? 」
以臓 「 まどろっこしい 」
条 「 キモイ 」
瞬斗 「 あ? んだとぉ!! …おいっ どこ行くんだよ?? キモイは違うだろ!! 」
目星のVIPバッチを付けている4人組を見つけ、不用意に近づいて行く2人。懐をチラッと見せ、ニヤニヤしながら裏口へと消えて行く。しばらくして、2人が何食わぬ顔をして出て来た。
条 「 ほらよっ 」 舞にバッチを投げる。
舞 「 さんきゅっ、“J” 」
以臓 「 では、行くか 」
瞬斗 「 …って、オレのはねぇんかよ! 」
以臓 「 何だ、いるのか? ほれっ 痺れさせて何とか言ってたでは無いか。」瞬斗にバッチを投げつける。
舞 「 それにしても、随分うまくやったよねー 2人とも。どうやったの? 」
条 「 あぁ チラッと特殊拳銃見せつけて、裏で安く買わねぇか?って掛け合っただけだよ。 後は力づくだ。 」
以臓 「 闇の人間にしては、随分と手ごたえが無かったな。 どこぞの富豪か何かか? 」
瞬斗 「 …虚偽に暴力に強奪って、お前らの方がヤベェやつじゃねぇか! 」
条 「 バぁーカ ここは治外法権なんだろ? そもそも、取り締まられる対象の悪人が、手厚く保護される法律なんて存在しねぇんだよ。ってか、お前だって拳銃所持してんじゃねぇか、しかもゴリゴリの非合法のヤツ。この足クサ・ゲス犯罪者が。」
瞬斗 「 ん?何を偉そうに( てか漏れなく悪口入ってんね ) …まぁ これは“M”ちゃんの護衛用だから、いいんだよ。 正当護衛ってヤツ? 」
以臓 「 ところで、虫歯菌ならではの デカいフォークみたいな武器は、一体どこに隠し持ってるんだ? 」
瞬斗 「 あぁ、あのデカいフォークみたいなヤツねぇ? …んなもん持ってねぇわ! 販売店教えろや! てかぁー 菌じゃねぇ、人だ!! はぁはぁ 」
舞 「 何にせよ、これで中に入れそうね! まぁ 競り落とすお金も無いし、オークションは基本傍観してて欲しいんだけど。 気になったのは、コンタクトカメラで全部記録するから情報収集はバッチリよ。<パシャリパシャリと瞬きしている> …後は、ある情報だけ何とかゲットしたいのよねぇー 」
条 「 …お前が一番競って出そうなんだが、大丈夫か。。 んで、何の情報が欲しいんだ? 」
舞 「 ズバリ、Genimaの構造について。少しだけでも分かれば、皆が持ってる拳銃もパワーアップが出来るハズなのよねぇー 」
以臓 「 !? 」
瞬斗 「 それは困難な話だと思うなぁー 特殊拳銃の開発者は、ある1人の激才らしいんだけど、オレ等でも全く情報持って無くてねぇ… 」
条 「 存在自体が都市伝説ってヤツか。まっ 考えて答えが出るってモンでもねぇ、取りあえず行ってみっか。 」
来場客から奪ったVIP用のピンバッチを付ける、一同。 ドクロを模したピンバッチで、左目が金に光っているのがVIPの証らしい。要は、普段から武器売買系闇企業(紫)から武器を購入している、優良顧客の証である。 VIPルームの前に、イカツイ黒服の男がチェック要員として立っている。特殊なゴーグルを付けており、来場者のピンバッチを目視して確認しているようだ。恐らくドクロの目の色が金色かどうかはミスリードで、チェックポイントが別にありそうだ。
そのため、色や形がそっくりな偽物のバッチを付けていても、すぐにバれてしまう。この二重トラップをクリアした、真のVIPだけが入室を許される。
条たちに関しては、強引に奪った相手のバッチが偽物でない限り、問題無く入室が可能となる。ぶっ倒して強奪した相手を信じるしかない、何とも不公平な運命共同体である。少し緊張した面持ちで入室を試みる。 …必要以上にギロギロと見られた気もするが、止められることも無く入室する事に成功した。
< ギギギィっ > 映画館のような防音扉を開けると、そこはすり鉢状にせり上がったコロシアムのような会場が広がっていた。中央にスポットライトが当たっている。

舞 「 わぁ 何だか年末の格闘技イベントみたいねー ワクワクするー! 」
条 「 極悪人どもが、揃ってルールを守ってオークションに参加するとはな。 何とも不気味な光景だぜ 」
観覧席を見渡し、ゾクゾクしている。
以臓 「 どうした?館内が暑いのか? 汗かいてるぞ、お前。 」
条 「 薄暗くて分からんが、色んな方向から“見られてる”感じがしてんならんぜ… 暑くねぇ、これは冷や汗だ。 」
瞬斗 「 カッハハ、ダセェな “J”。ヘタレスイッチが入って、いよいよ本領発揮か? どーんとしてろ、どーんと… 」
< バシュッ > 銃弾のようなものが、条と瞬斗の間に被弾した。 撃って来たであろう方向も、疑わしい人物も感知する事が出来ない。
瞬斗 「 ヒッ! なんだよ!誰か撃って来たんか!? 」
条 「 あぁ そのようだな。だが、狙いは完全にオレだ。似たような事が、過去何度かあった気がするぜ。 非現実的な場所から狙われてるような、異常な感覚… 勘でしかねぇが、恐らく館内の誰かじゃねぇ。むしろ知ってるヤツが怪しいかもな。 」
瞬斗 「 頭どうかしたのか? 館内の悪人に決まってんだろ、こんなイカレた事するの。 揶揄<カラカ>ってんのか、何なのか、冗談キツイぜ。 」
以臓 「 うむ、いずれにせよ、警戒を怠るな。 ここでは、何があっても不思議では無い。 しかも全て揉み消されるぞ、何も無かった、とな。 」
条 「 …未知なる射撃は、今日はもう無いと思う。 だが、誰かに見られてる嫌な感じは、全く無くならねぇな。 」
舞 「 …………………。 未知なる射撃か… 」
条 「 何か思い当たる節でもあるのか?“M”。現時点では証拠も無く、勘でしかものを言えねぇから信憑性もねぇが。 」
舞 「 お、お兄ちゃんに秘密にしておけって言われてる事があってね。こ、今度お兄ちゃんいる時に話すよ。 こっちも信憑性が全く無いんだ… 」
条 「 …そうか、何か分かったら教えてくれ。 」
館内にて、条たちと少し離れた距離にいる怪しい人影が3名。 薄暗くてほとんど分からないが、席には座らず、周りを警戒しているようにも見える。
謎の男 「 …にっひひ。 もう二度と会わないかと思ったが、また会ったなぁ、条。 おっ この前のおっさんじゃ無くて、頼もしそうな仲間がいるじゃねぇの 」
謎の女 「 あの失礼なヤツじゃん。全く初対面で大女呼ばわりされたの忘れないからねぇ。 」
謎の男 「 アレが、リーダーが言ってた友達ってヒトですかい? へぇ 強そうダ。一緒にいるオトコも強いナ。 何者なんだい? 」
ゲンジ 「 警察学校時代の同級生だよ、あいつ。当時は常にTOPを競い合ってたなぁ …まぁ 全てオレが勝ってたがねー にっひひ。 」
レミィ 「 あらっ 一部聞いてる話と違ってる気がするわね。鵜呑みにしちゃダメよ、“C” 」
C-tech 「 ボホホホホォ どうせ リーダー敗けてたんダロ? 」
ゲンジ 「 一度も敗けた事はねぇよー …んまぁ 終始互角だったかな? んーえぇー どうだったかな? 昔の事だ、良く覚えてねぇなぁー 」
視線の1つは、条の警察学校時代のライバル、堂烈 弦耳<ドウレツ ゲンジ> 率いる、謎の組織であった。 C-techと名乗る2m前後の大男もメンバーのようだ。 年は20代半ば程の見た目で、どことなくロボっぽいごついフォルムをしている。どうやら条では無く、別の対象を監視しているようだ。
C-tech 「 都合の悪いコトは記憶にねぇってか? まるで“政治家”みたいダネ、リーダー。 」
レミィ 「 うまい事言うじゃない、“C” ぷぷっ 」
ゲンジ 「 政治家かぁ。成りたくねぇ職業ランキングNo.1かもなぁ、 にっひひ。 さぁ 雑談はここまでだ、任務に集中するぞ! 」
レミィ 「 オーケー じゃ、集中しまーす 」
C-tech 「 ラジャー 」
< ザワザワザワ >
館内の人の気配がやたらと多くなって来た。 間もなく、選ばれしVIPたちで席が埋まる状況のようだ。しばらくすると、中央から机と共にある人物がリフトアップして来た。< ウィーン > 当たっていたスポットライトがさらに明るさを増し、その人物を照らす。
その男、武器売買系闇企業(紫)代表バーヘッドだ。 来場客へオークション開会のスピーチをはじめる。
バーヘッド 「 えぇ、皆さま。本日はお忙しいところお越しいただきまして、誠にありがとうございます。 また、いつも弊社を懇意にしていただきまして、ありがとうございます。重ね重ね、感謝申し上げます… 」
胡散臭いスピーチを退屈そうに聞いている、いかにも闇のVIPという風貌の大男。用心棒斡旋企業(ニューサンス)代表の 鬼島 墨< キジマ ボク >だ。
あらゆる闇企業と契約している彼は、界隈で非常に顔が広い。護衛は不要のようなオーラを放っている鬼島だが、帯同している側近も、またごつい大男たちだ。さらに会場には鬼島だけで無く、界隈で有名な闇の重鎮たちが複数と参加しているようだ。
瞬斗 「 ん? どうやらこの会場、相当ヤベェのが揃ってるみてぇだぞ… オレの他に、 ケツア… “KAGD”のメンバーも潜入してるみてぇだ。 」
条 「 …闇のVIPが揃ってんだ、そりゃ異常な感覚になるわな。 新種のアドレナリンみてぇなのが溢れて来たぜ。 」
以臓 「 確かにな。 世界一危険な夜のジャングルに、丸裸で置き去りにされたような感覚だ。 」
舞 「 へぇ そんな感じなのー? アタシはワクワクが止まらないよー 早く出て来ないかなぁー 闇のアイテムちゃん 」
瞬斗 「 うっ すこぶる息苦しいぜ… 来るんじゃ無かった… 早く出よーよー 」
当たりさわりの無い手短なスピーチが終わり、いよいよオークションが開始される。 MCに交代し控室へと帰って行く、バーヘッド。 大盛況につき、ニヤついた顔が止まる事は無い。
バーヘッド 「 …黄泉の大オークション、存分にお楽しみください。 それでは、スタートです! 」
MC 「 長らくお待たせしましたー! 今宵、国家レベルの資金が飛び交う最高の闇のアイテムが続々と… 一発目はこれだ!! 」
< グゴゴゴゴォ > ガラスケースに入った異形の物体が、中央舞台にせり上がって来ると同時に、各席に浮いている液晶ビジョンに映し出された。
MC 「 ミイラ化させた魔女の左腕に、あらゆる猛毒を繰り返し醸成させて完成した魔器。 “アナザーズハンド” 」
瞬斗 「 …初っ端から何なんだよ。 ババアのミイラ化した腕って、武器なのか? 」
舞 「 うっほーい ほしいー!!!! ね、ね? 買っていい? 」
条 「 …言わんこっちゃねぇ。あんま騒ぐんじゃねぇ、目立つだろうが。それに、自分で金ねぇって言ってたじゃねぇか、ったく。」
以臓 「 あんな孫の手みたいなモノ、何の役に立つというのだ? 木刀の方がマシなのではないか?」
舞 「 何言っちゃってんの! “I” …あれ1本さえあれば、使い方次第では、大都市を壊滅させる事だって出来ちゃう代物よ。」
以臓 「 何だと!? …見た目に反して末恐ろしいな 」
舞 「 まっ 所有者次第なんだけどさ。…例えばあの指先を、湖にチョンチョンっとつけるとするじゃない? 面積によると思うけど、大方24時間以内には死の湖と化すわね。 数十年は元に戻らないでしょう。」
条 「 毒兵器って事か。ヘタしたら使う側が即あの世行きだな。」
舞 「 その通りね。扱いが難しいから慣れて無いと素人には無理でしょうね。アタシなら小分けにして、あらゆる物質に融合させて、新たな毒具の開発をしたいわ。 融合は早々上手く行かないと思うけど。成功率0.3%ぐらいかな。もう少し発想を飛ばすと、念波に融合させて、思念で相手を毒殺とか出来たら面白いかもねー 非接触型の新しい暗殺術みたいな。 えへへへへ 」
以臓 「 あんた、どんな頭脳してるんだ!? …見た目に反して、末恐ろしいな 」
瞬斗 「 その、“魔女”ってのが本物なのか、ただのババアの異名なのか気になるけどね。もし過去に本物の魔女がいたとして、それら珍しい生き物や世界レベルの偉人ってのは、政府が死体を秘密裏に冷凍保存してるらしいからな。 」
条 「 冷凍保存ってのは、もはや都市伝説でもねぇだろ。 だが今回のはメスオランウータンの腕とかだろ、どうせ。 あまりにもうさんくせぇわ。 」
初っ端からベット額がガンガン上がって行く。出品する側も落札する側も傍聴する側も、ここに居る全ての人間は、規格外の闇の住人だ。汚れに汚れ切ったダークマネーが、次々と負のループの始発列車に乗り込んで行く。 非道なる石炭で、巡り巡ってひたすら悪の道を走り続ける。
MC 「 ささっ どうだー? 他に居ないですか? < ガンガンッ > では、こちらの “アナザーズハンド”、9,600万メロにて、落札っ!! 」
< ザワザワザワ > 破格とは言え、余りに高額な落札額に、館内がざわついている。そんな中、他とは違い、至極冷静な4人の影を監視しているゲンジたち。
ゲンジ 「 まったく、悪趣味な奴らだぜ。 金を金だと思ってないんじゃないの? …さてさて、連中の今回の目的は何だろね? 」
レミィ 「 基本的に主催者側の人間でしょ? 普通に考えたら、上納金のチェックとかなんじゃない? 」
C-tech 「 ついでに、スカウト的なニュアンスで会場に来てるとかは無いのカナ。だって競わせるんダロ? 」
ゲンジ 「 うむ。いずれにしても大胆不敵というか威風堂々と言うか。 こんな所に居る訳が無い人間ってのは、死角に入り込むのが実に狡猾で上手い。仮に居たとしても、認知している人間が皆無なので、何ともならない。 さらに、居たことが認知されようと、やりようはいくらでもあるしな。 」
( つづく )
