時空のゆがみ、第二章「ゴリラ社・説」、毎週ショートショートnote裏お題
こちらは、時空のゆがみ 第一章「りんご右折」の続編になっております。
第一章の方から読んでいただけると幸いです。
目を覚ました男は、無機質な天井を見上げていた。
「……起きたか」
低く響く声がした。男が振り向くと、そこにはゴリラがいた。
「お前が原因で時空の裂け目が生じた。お前が右折したからだ。AIコアは『底なし沼』に沈んだのが原因だ」
「俺にどうしろと?」
「やり直して左折してもらう。それができなければ、この未来は消滅する」
ゴリラは背後にある金属製のパネルを叩いた。壁が開き、そこから巨大な機械装置がせり出してきた。
「ゴリラ社の『クロノ・エンジン』。時空を超える唯一の手段だ」
「ゴリラ社?」
「この未来はゴリラ社によって統治されている。我々はAIの進化の果てに誕生した存在だ。最初のAIが人類を滅ぼし、次にAIが自己進化を果たし、その果てに我々が生まれた」
「待って!」
部屋の影から別のゴリラが現れた。
「私は別の未来から来たゴリラよ。あなたが右折した未来がこれ。左折した未来も存在するの。右折した未来は崩壊しつつある。あなたが左折した、私が住んでいる未来は繁栄している。あなたが左折すれば私たちの未来が滅ぶ」
男は、右折を選ぶか、左折を選ぶかを悩みながら、クロノ・エンジンで自分の時代に返り、結局、何もしなかった。どっちに曲がろうと未来はゴリラのもので人類は滅びるのだ。
(490字)
