説明するほど伝わらない。文章のアドバイスが俳優の伸び代に【永久保存版】
沖縄で俳優として活動しています。
いっちーこと伊藤駿一です。
説明するほど伝わらない。文章のアドバイスが俳優の伸び代に
最近、「広報」というものに向き合っています。
僕が参加している「地域を応援する演劇」という活動があります。沖縄のお店や場所、そこにいる人たちを、舞台で応援する取り組みです。その活動の中で、広報部の役割をもらいました。
最初の課題は、「子どもの居場所 にぬふぁぶし」という子ども食堂の紹介文でした。毎週金曜日の夕方だけ、子どもたちが集まって、あったかいごはんを食べて過ごす場所です。
僕なりに、けっこう頑張って書きました。最初の一行で「なんだろう?」と思ってもらえるように、とか。読み終わった人が、誰かに教えたくなるように、とか。自分なりの工夫も入れたつもりでした。
そうしたら、チームで広報を見てくれている人から、こんなアドバイスが返ってきました。
「広報は『解説』じゃなくて、『人の感情を揺らすこと』として考えてみてほしい」
例えば、映画の予告編。「ふーん」で終わってしまったら、大多数の人にとっては、自分とは関係のない作品になってしまう。でも、感情を揺らすことができれば、「見たい」「応援したい」に変わる。「なんだか面白そう」「次が気になる」。ただ読んで終わり、じゃないものを届けたい。そういう話でした。
読んだ瞬間、なるほど、と思いました。
最初に来たのは「伸び代だ」という感覚だった
正直に言うと、これはダメ出しに聞こえてもおかしくない言葉です。「あなたの文章は、解説止まりだよ」と言われたようなものですから。
でも、僕が最初に感じたのは、落ち込みじゃありませんでした。
「まだまだ伸び代があるな」
それが第一感情でした。これからの活動に、絶対に活かせる。そう思って、むしろ前のめりになりました。
なんでそう思えたんだろう、と後から考えました。たぶん、その指摘が、僕が一番大事にしている場所に、まっすぐ触れたからだと思います。
演じる時と、文章を書く時は、違う。最初はそう思った
僕は俳優です。
人の感情を揺らすこと。舞台の上では、それをやろうとしている。なのに、文章になった瞬間、「解説」になっていた。
この事実が、面白かった。
最初に思ったのは、「演じる時と、文章を書く時は、別物だ」ということでした。
演じる時は、まず自分の心が動いていることが大前提です。心が動いていないお芝居は、どれだけ技術があっても伝わらない。
でも文章は、文字だけです。表情も、声も、間も、目線も使えない。全部が「文字」に圧縮される。その制約の中で、どう表現するか。これは演技とは少し違う話に思えました。
でも、掘っていくと、本質は同じだった
考えているうちに、だんだん見え方が変わってきました。
本当に違うのは「出力」、つまりアウトプットの形だけなんじゃないか、と。
演劇を習う中で、教わったことがあります。演技には「客観」と「主観」の両方が必要だ、ということです。
役を準備する段階では、客観が要ります。どう見えるか、どう組み立てるか。冷静に設計する。
でも、いざ演じている瞬間は、主観100%で生きていい。というより、その瞬間に客観が、いわば雑念のような形で入ってくると、求められている次元には行けないんです。どれだけ主観のまま居続けられるか。そこがすごく大事だと教わりました。
文章も、たぶん同じでした。
設計(客観)して、書く。でも、書く中身は、自分が本当に心を動かされたこと(主観)。順番に積んでいけば、矛盾しないんです。
設計することと、生きること。この二つは、両立できる。
さらに、こんな仮説も浮かんだ
もう一歩進んで、こう思いました。
準備は客観、本番は主観、と時間で分けるんじゃなくて。主観も客観も、同時に100%。両方を最大限に保てる状態が、本当はいちばんいいんじゃないか。
演じながら、どこか醒めている。醒めながら、没頭している。
まだ僕自身、その景色には届いていません。でも、そこに伸び代があるような気がしています。これはまだ、ただの仮説ですけど。
結局、伝えるって何なんだろう
演劇を習う中で教わった、いちばん大事なこと。
それは、「自分の真実を使う」ということです。
借り物の感情じゃなく、自分が本当に感じたことを土台にする。作りものの涙じゃなく、自分の中の、本当に揺れた部分から始める。それが、人の心を動かす。
広報で言われた「感情を揺らす」も、たぶん同じことなんだと思います。
読む人を揺らすには、まず書いている自分が、本当に揺れた場所を書くしかない。
文章の技術は、正直、まだまだこれからです。でも、一つだけ確信があります。
「自分にしか書けない体験、経験、学び」は、間違いなく武器になる。
あとは、それをどう活かしていくか。そこが、これからの課題です。
これは、たぶんあなたにも言えること
ここまで俳優と広報の話をしてきましたが、これは僕だけの話じゃない気がします。
仕事でプレゼンをする人。SNSで発信している人。人前で話すのが、ちょっと苦手な人。
説明すればするほど、なぜか伝わらない気がする。そんな時があると思います。
それはたぶん、情報が足りないんじゃないんです。むしろ逆で、情報を足すほど「解説」になっていく。抜けているのは、「自分が本当に動いた場所」なのかもしれません。
正しく説明することと、相手の心が動くこと。この二つは、別物です。説明だけ100点でも、相手は「ふーん」で終わってしまう。
だから、何かを伝えたい時は、ちょっとだけ立ち止まって、こう考えてみるといいのかもしれません。
「自分は、この話のどこで、本当に心が動いたんだっけ」
そこさえ掴めれば、たぶん設計は、あとからついてきます。
今、僕がやっていること
今、僕は「地域を応援する演劇」という活動の中で、広報の文章を書いています。応援したい場所を、どう伝えれば、人の心が動くのか。その試行錯誤の、ど真ん中にいます。
「解説」をやめて、「感情を揺らす」へ。
たぶんこれは、僕が舞台の上でずっとやろうとしてきたことと、地続きなんだと思います。出力の形が、身体から文字に変わっただけで。
まだ一発で上手くできなくていいんです。伸び代だと、思えたから。
読んでくださり、ありがとうございました。
最後まで読んでくれたあなたへ
カンヌへの道も、演劇で世界を平和にする仕組み作りも、気が遠くなるほど先の話です。これからも今日のような分厚い壁に、数え切れないほどぶつかるはずです。
だからこそ、あなたが最後に押してくれる「スキ」の一つひとつが、「この熱のまま、もっと遠くへ行け」と僕の背中を押す最大の原動力になります。
もしよければフォローして、この長い旅の「一番の目撃者」になってくれませんか。いつか必ず辿り着くその景色を、一緒に見たいです。
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【挑戦その1】「地域を応援する演劇」シリーズ、上演中
沖縄の食堂や自治会を舞台に、笑って、泣けて、ちょっと優しくなれる。そんな群像ハートフルコメディを連続で上演しています。地域の居場所やコミュニティを応援する取り組みでもあります。
直近の公演:『にぬふぁぶし』6月6日(土)上演
迷った時、上を見れば、いつもそこに光がある。
—— 金曜日の食堂で、子どもたちが見つけた居場所 ——
那覇の子どもの居場所「にぬふぁぶし」を舞台にした、01 ENTERTAINMENT、チーム恵比寿の俳優たちによる群像ハートフルコメディ。
ある金曜日の17:00〜19:30、居場所のない人たちが、沖縄のおばあの厳しくて温かい食卓で「帰る方角」を見つけていく物語です。
日時:2026年6月6日(土) 13:00開演 / 16:00開演(2ステージ)
※当初6月7日(日)で告知しておりましたが、6月6日(土)に変更となりました。以前の日程でご予定くださっていた方、あらためてご確認いただけたら嬉しいです。会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋)
上演時間:約70分
料金:大人2,000円 / 学生1,000円 / 小学生以下無料
主催:01 ENTERTAINMENT / チーム恵比寿
脚本:伊藤駿一・金井優
演出:西平寿久
▼ チケットのお申し込み・お問い合わせは下記のいずれかから
・Googleフォーム:https://forms.gle/52R7Zjs6CWisFGk86
・公式LINE:https://lin.ee/jbUrdeB


次回公演:『自治会パンデミック!』
「地域を応援する演劇」シリーズの次の公演です。1100世帯を抱える自治会で、実際に動くのはたった数人。崩れかけた自治会に、1人の若者が現れる——SNSやビジネスの力で改革が進む裏で、長年支えてきた人たちの「居場所」が消えていく。「数字か、つながりか」。対立する価値観の中で揺れる地域の、笑って泣ける群像劇です。
日時:2026年7月4日(土) 14:00開演 / 18:00開演、7月5日(日) 13:00開演 / 17:00開演(全4ステージ)
会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋2-23-26)
料金:一般2,000円 / 学割1,000円 / 小学生以下無料(当日券は一般・学割ともに +500円)
脚本:かないゆう
演出:西平寿久
主催:01 ENTERTAINMENT
メイン出演:チーム大黒天 / Special Thanks:チーム恵比寿、01 ENTERTAINMENT(土曜クラス)
▼ チケット予約・お問い合わせは公式LINEから


【挑戦その2】「出張一人芝居」はじめます!
沖縄本島内であれば、どこへでも行きます。
観客が何名でも構いません。「たった1人」からでも、見たいと手を挙げてくださる方がいれば、あなたのためだけに、指定された場所へ伺って全身全霊で演じます。
「いっちーの一人芝居を見てみたい」「うちの場所でちょっと演じてみてよ」と思ってくださる奇特で温かい方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
▼出張一人芝居の詳細や、企画に込めた想いはこちらから
▼出張一人芝居のご依頼・ご相談は公式LINEから(上のLINEリンクと同じです)
https://lin.ee/jbUrdeB
