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氷河期世代AD、テレビの片隅で。#10「ヒッチハイクとマリファナおじさん、僕にはテレビしかない!」

海外ロケと言えばこんな事を思い出した。。。

大学生の頃、僕は海外が大好きだった。

英語は、全くできなかった。

それなのに、一人で海外へ行っていた。

今思うと、かなり無謀だったと思う。

ニュージーランドへ行った時は、飛行機の片道チケットだけ取った。

帰りはオープンチケット。

つまり、「いつ帰るか決めてない」というやつだ。

宿も決めていなかった。

とりあえず、スノーボード一式だけ持って出発した。

ほとんど、地元のスキー場へ行く感覚でニュージーランドへ行った。

今考えると、距離感がおかしい。

乗り継ぎの関係で、シンガポールに一週間ほど滞在した。

南国の街を、スノーボードを担いで歩いていた。

完全に季節感がおかしい日本人だったと思う。

宿は、一泊7ドルくらいの安宿だった。

5人共同部屋。

そこで中東系の男性と仲良くなった。

お互いほとんど英語ができなかった。

でもなぜか、一緒に街を歩き、一緒にご飯を食べていた。

若い頃の友情は、時々意味が分からない。

一週間後、ニュージーランドへ向かった。

目指したのは、ワナカという街だった。

スキー場のある、小さな街だ。

そこでも宿は決めていなかったので、とりあえずユースホステルへ行った。

そして結局、観光ビザいっぱいの三ヶ月近く泊まることになった。

毎日スノーボードだった。

朝起きて、ヒッチハイクでスキー場へ向かう。

当時、テレビでは猿岩石がヒッチハイク旅をしていた。

テレビっ子だった僕は、その影響を完全に受けていた。

たぶん僕の中で、

「海外=ヒッチハイク」

になっていたのだと思う。

当時、海外には
猿岩石もどきの日本人の
若者があふれていたと思う。

テレビの影響力は怖い。

ニュージーランドの人たちは、
みんな優しかった。

道に立っていると、だいたい誰かが止まってくれた。

でも、一度だけ少し怖かったことがある。

ヒッチハイクをしていると、ボコボコの車が近づいてきた。

正直、ちょっと嫌な予感がした。

すると車は、僕の目の前で止まった。

運転していたのは、40代くらいのおじさんだった。

「カモン!カモン!」

みたいな感じで、笑いながら僕を乗せてくれた。

車に乗ると、おじさんは何かを吸い始めた。

独特の匂いがした。

やたらテンションも高かった。

当時の僕はよく分からなかった。

でも後で考えると、

あれはたぶんマリファナだったのだと思う。

おじさんは、かなりハイテンション。

ずっと大笑いしている。

車もフラフラしていた。

僕は必死で、

「ストーップ!」

「カーブ!カーブ!」

とか言っていた。

でもおじさんは、そのたびに大笑いしていた。

たぶん、全然伝わっていなかった。

ガードレールなどない曲がりくねった山道、

なんとかスキー場へ着き、僕はその日普通に滑った。

そして帰り。

スキー場の駐車場で、またヒッチハイクをしていた。

すると後ろから、

「ハーイ!」

と声がした。

振り返ると、マリファナおじさんだった。

結局、帰りも送ってもらった。

「ストーップ!」

「ワハハハ!」

と言いながら。

でも不思議と、少し楽しかった。

若いというのは、時々、自分を無敵だと思ってしまう。


スイスへ行ったこともある。

スノーボード雑誌の企画みたいなものだった。

サースフェーという街だった。

そこは、途中までしか車が入れない。

山の街へは、鉄道で登っていく。

空気が、本当に綺麗だった。

そこでプロスノーボーダーたちと一緒に滑った。

長野オリンピックに出ていた人もいた。

滑りが、全然違った。

僕もそれなりに滑れると思っていた。

でも、レベルが違いすぎた。

「あ、これは無理だ」

と思った。

少しだけ、

「スノーボードを仕事にできるかも」

と思っていた時期もあった。

でもスイスで、自分の限界を知った。

そして、

「やっぱり、僕にはテレビの世界だ」

と思った。

今考えると、人生はよく分からない。

あの頃の僕は、まさか数年後、

ロケ車が来なくて殴られているなんて、
想像もしていなかった。

#氷河期世代 #実話
#創作大賞2026 #お仕事小説部門


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