民主主義の現在 中国、ロシアによる戦略的腐敗 The Rise of Strategic Corruption(Philip Zelikow, Eric Edelman, Kristofer Harrison, and Celeste Ward Gventer、July/August 2020、Foreign Affairs)

The Rise of Strategic Corruption(Philip Zelikow, Eric Edelman, Kristofer Harrison, and Celeste Ward Gventer、July/August 2020、Foreign Affairs)
https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2020-06-09/rise-strategic-corruption

収賄などの腐敗が国家戦略のレベルにまでスケールアップしている現状についての論考。ロシアと中国の事例を中心に紹介。少しだけトルコの事例にも触れている。
民主主義国が開かれており、自由であるために、どこでも収賄のためのエージェントを雇うことが可能になっており、この脆弱性を突いてロシアや中国は国際政治にまで影響をおよぼすようになってきている。

戦略的腐敗の効果は大きく3つ。
 ・誤った選択を行うことによる悪い結果をもたらす
 ・国際的な影響力を拡大するための手段として戦略的に利用され
 ・中国やロシアが金によって直接アメリカなどの政治や組織に干渉することを可能にする
そしてこれらによって国民の政治や経済システムへの信頼が失われる。

過去にあった「Bureaucratic corruption」(官僚の腐敗)「Grand corruption」(大規模な腐敗)とは重要な点で異なる。「Bureaucratic corruption」は入札や検査をパスするために行われる収賄で、「Grand corruption」はビジネスリーダーや犯罪者あるいは両方が、優越的な地位や利権を得るために行う収賄で、金融、通信、エネルギーなどの分野でよく見られる。彼らの目的は基本的に金である。これに対して、現在の戦略的腐敗は国家戦略の一環として用いられる。
1970年代から1980年代にかけての世界的な金融規制緩和が進み、国をまたぐ資金移動が容易や投資が用になったことがこの変化の引き金となった。。特にアメリカにおいては透明性を担保するための国内法が不十分で、アメリカには外国の組織が関与する取引が指数関数的に増加した。同時にアメリカで対象になる人々(政治コンサルタント、元公務員など)の楽して金儲けできるチャンスが広がった。

トランプ陣営と密接にからんでいたウクライナのスキャンダルはアメリカの政治が内部から腐っており、金でどうにでもなること、西側の政治が偽善にすぎないことを知らしめた。このスキャンダルは一般の認識よりも複雑で広範だった。
中国の事例としてエネルギーコングロマリットCEFCが世界を股にかけて汚職をばらまいたことを紹介している。しかもこの活動は一帯一路や諜報機関と密接にかかわっており、国は腐敗を広げることを一帯一路拡大の手段のひとつにしていた。また、プロキシを通じてオーストラリアの上院候補に寄付を行うなど組織的な活動を行っていた。まさに戦略的腐敗の拡散だ。

対策としては規制と法律、関係機関の監視強化としている。

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