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JR国立駅|静かな学生街で、何も考えない

国立駅の改札を出ると、
街は最初から整っている。

雑多さがない。
騒がしさもない。
音が少ない。

学生の姿はあるけれど、学生街の匂いはしない。
人は多いのに、ざわつかない。
誰かの声が目立つこともない。
空気が均一で、感情の起伏が生まれにくい街だと感じる。

冬の風がまっすぐに抜けていく。
道は広く、視界が開けている。
建物の高さも揃っていて、圧迫感がない。
不動産屋のガラス越しの光、
外観だけで成立しているようなイタリアンレストラン、
すべてが「きれいな配置」で並んでいる。

学生の街というより、
設計された街。

生活の匂いよりも、景観の完成度が先に立つ。
便利そうで、住みやすそうで、
でも、どこか距離がある。

そのまま歩いていると、
おしゃれなカフェが自然に視界に入る。

エスプレッソは似合わないと思って、
カフェオレにした。

それくらいが、ちょうどいい。

濃すぎず、薄すぎず、
主張もなく、記号にもならない味。

カップを持つと、
街の空気と温度だけが、静かに伝わってくる。

何かを考えるわけでもなく、
意味づけすることもなく、
評価することもなく、
ただ、そこに座っている。

窓の外では、
学生らしい人たちが静かに歩いている。
会話は聞こえない。
足音も目立たない。

街が整いすぎているせいか、
思考が立ち上がらない。

この街では、
考えなくても、時間が流れていく。

カフェオレの温度が、少しずつ下がる。
それだけが、時間の証拠みたいに残る。

良いとも、悪いとも思わない。
好きとも、嫌いとも言わない。

ただ、
何も考えなくていい場所として、
国立駅の午後は、静かに成立している。


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