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JR西千葉駅|学生の多い街で、甘いコーヒーを飲む

総武線の津田沼行きに乗って、西千葉駅で降りた。
名前はとても分かりやすい。千葉駅の西にある西千葉駅。
でも、「千葉ってどこか」と聞かれると、少しだけ言葉に詰まる。
分かっているようで、輪郭がはっきりしない場所。そんな感覚が、この駅にはある。

午後二時。
ホームには学生が多い。大学生が中心だけれど、中高生も、小学生も混ざっている。
声は聞こえるけれど、言葉としては聞こえてこない。
意味のある会話ではなく、ただの「音」として流れていく声。
活気はあるのに、騒がしさではない。
街が動いているというより、人だけが流れている感じがする。

改札を出て、階段を上る。
小さなバスターミナルがある。
バス停には広告が並び、どこかで見たことのある風景が広がっている。
でも、バスはいない。
発着の気配もなく、エンジン音もない。
ただ、止まるための場所だけが、そこにある。

千葉大学のキャンパスはすぐ近くにあるはずなのに、そちらには向かわない。
行く理由がないわけではないけれど、行かない理由も特にない。
駅の中に戻り、コンコースの薬局に入る。

冷蔵ケースの前で少し迷って、ペットボトルのコーヒーを手に取る。
久しぶりに、甘いやつ。
レジを抜けて、キャップをひねると、
カリカリッと、軽快な音がする。
その音だけで、少し気持ちが明るくなる。

一口飲む。
甘さが、はっきりと分かる。
身体の中に、静かに広がっていく感じがする。
元気になった、というほど大げさではないけれど、
少しだけ、回復したような感覚。

周囲の風景は何も変わらない。
学生の声は相変わらず「音」として流れているし、
バスターミナルにはバスはいない。
街は動いているのに、目的地の気配はない。

でも、甘いコーヒーを飲んだ自分だけが、少しだけ変わった。
それだけで、今日は十分だった。

西千葉駅は、分かりやすい名前の駅で、
分かりにくい輪郭の街だ。
何かがあるわけでもなく、
何かが起きるわけでもない。

ただ、学生の多い街で、
甘いコーヒーを飲む午後が、静かに流れていく。


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