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【座談会】遭難サバイバル経験者の会【時空BBS:探検板】

ここは時空の掲示板です。次元の壁を越えて書き込み自由。荒らしは雷に打たれます。

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 【開会】よく生きてたな選手権
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1 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

「遭難サバイバル経験者の会」第1回を開催する。
司会は俺、シャクルトンだ。まずは自己紹介から頼む。
条件はひとつ。「死にかけたけど生きて帰った」人限定だ。

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2 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

ナンド・パラードだ。1972年、飛行機がアンデス山脈に墜落した。
標高3,600メートル。気温マイナス30度。食料なし。救助なし。72日間。
生き延びた方法については……後で話す。

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3 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

ヒュー・グラスだ。1823年、猟の最中にハイイログマに襲われた。
頭皮を剥がされ、背中を引き裂かれ、足の骨が見えた。
仲間は俺を「もう死ぬ」と判断して置き去りにした。

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4 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>3
それ、死んでないのがおかしいんだが。

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5 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

>>4
俺もそう思う。

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6 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

ドゥーガル・ロバートソンだ。1972年、太平洋で帆船がシャチに沈められた。
家族5人と乗組員1人でゴムボートに乗り移った。38日間漂流した。

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7 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

全員、「どう考えても死ぬ」状況から生還してるな。
俺もだが。南極で船を氷に潰されて、497日間漂流した。

では本題に入ろう。テーマは「なぜ死ななかったのか」だ。

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 【食料】何を食べたか
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8 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

まず食料の話をしよう。遭難で一番最初に直面する問題だ。
俺はアザラシとペンギンを食べた。南極にはそれしかない。

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9 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

俺は海亀を捕まえた。血を飲み、肉を干した。
雨水を集める装置を帆布で作った。あとはトビウオが勝手に船に飛び込んできた。

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10 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

置き去りにされた時、手元にあったのはナイフ一本と火打石だけだ。
まず川を見つけた。木の実と野生の果実を食べた。
一番助かったのは、狼が仕留めたバイソンの子の死体を横取りしたことだ。

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11 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>10
重傷で動けない状態で狼から肉を横取り!?

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12 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

>>11
這って行った。狼が食い終わるのを待って、残りをいただいた。
背中の傷口には腐った丸太の中の蛆をあてた。壊死した肉を食ってくれるからな。

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13 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

……蛆虫の医療利用を荒野で自力で思いつくのか。

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14 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

パラード、君たちの食料事情を聞いていいか。

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15 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

>>14
……標高3,600メートルの雪山に、食べ物は何もなかった。
チョコレートの欠片とワインの残りが数日で尽きた。
捜索も打ち切られた。10日目に、ラジオでそれを知った。

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16 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

俺たちは……亡くなった仲間の遺体を食べた。
全員で話し合って決めた。「もし俺が死んだら食べてくれ」と。
生きるために。

これ以上は言わない。だが、あの決断がなければ16人は帰れなかった。

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17 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

……その場にいなかった人間が、それを批判する資格はない。

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18 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

同感だ。

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19 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

同感だ。極限で「正解」を語れるのは、そこにいた人間だけだ。

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 【精神】折れなかった理由
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20 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

次のテーマ。「なぜ心が折れなかったか」。
体力より先に精神がやられる。全員経験してるはずだ。

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21 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

墜落で母が死に、妹も数日後に俺の腕の中で亡くなった。
正直、最初は死にたかった。
でも、生き残った仲間がいた。あいつらを見捨てられなかった。

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22 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

それと、墜落から60日目に、俺ともう一人で山を越えることにした。
装備は手製の寝袋ひとつ。地図なし。方角だけを頼りに西へ歩いた。
標高4,600メートルの峠を越えた時、向こう側に緑が見えた。あの瞬間を忘れない。

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23 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>22
装備なしで4,600メートルの峠を越えた?
登山家でもない人間が?

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24 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

>>23
選択肢がなかっただけだ。待っていれば全員死ぬ。歩けば死ぬかもしれないが、可能性はゼロじゃない。

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25 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

俺は怒りで生き延びた。
俺を置き去りにした仲間の顔を思い出すたびに、「這ってでも生きて文句を言ってやる」と思った。

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26 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>25
怒りがエネルギー源か。わかる。

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27 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

300キロ這った。6週間かけて砦にたどり着いた。
そしたらな、俺を置き去りにしたやつがそこにいたんだ。
目が合った時の顔、最高だったぞ。

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28 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

俺の場合は家族がいた。妻と子供三人が同じボートにいた。
「この子たちを死なせるわけにいかない」。それだけで38日間持った。

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29 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

あと、俺は記録をつけ続けた。毎日、風向き、波の状態、捕った魚、飲んだ水の量。
書くことで「今日を生きた」と実感できた。明日もやることがある、と思えた。

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30 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

記録。それは俺もやった。
エンデュアランス号が砕けた後も、全員に日課を作らせた。
犬の世話、氷上サッカー、夜はバンジョーの演奏会。
やることがある人間は死なない。暇が一番の敵だ。

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 【判断】命を分けた選択
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31 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

最後のテーマだ。「あの時の判断で命が分かれた」。
一つだけ挙げてくれ。

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32 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

川を見つけた時、流れに沿って下ったこと。
山の中をさまよっていたら絶対に死んでいた。川は必ず人のいるところに出る。

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33 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

救命ボートの中でパニックを起こさなかったこと。
沈む帆船から持ち出せたものを冷静に確認した。航海道具、ナイフ、紐、帆布。
最初の10分で何を持ち出すかが、その後の38日を決めた。

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34 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

山を越えると決めたこと。
待っていても誰も来ない。捜索は打ち切られた。
自分たちで歩くしかないと判断したのが60日目。もっと早く決断すべきだったかもしれない。

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35 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

俺は、エレファント島から救助を求めに出ると決めたことだ。
全長7メートルのボートで、南極海を1,300キロ。荒波の中を16日間。
サウスジョージア島にたどり着いた時、着いた側が無人の反対側だった。
そこから山を越えて捕鯨基地に歩いた。

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36 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

>>35
7メートルの船で南極海1,300キロ!?
いや、俺も人のこと言えないけど。

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37 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

全員に共通してるのは、「待つ」と「動く」の判断だな。
待つべき時に動くと死ぬ。動くべき時に待つと死ぬ。

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38 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

>>37
そうだ。そしてその判断を間違えなかった理由は、たぶん運だ。
技術と知恵で生き延びた部分もある。だが最後は運だった。
それは認めないといけない。

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39 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

同感だ。俺が熊に襲われた時、首の動脈を外れたのは実力じゃない。

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40 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

俺たちは生き残った側だ。同じ状況で死んだ人間のほうが多い。
生還者の言葉には「生存者バイアス」がある。それは忘れちゃいけない。

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41 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

45人が乗っていて、29人が死んだ。
俺が話せるのは、話せなくなった29人のぶんでもある。

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42 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

では最後に、全員に一言ずつもらおう。
「これからサバイバルする人へ」。

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43 グラス ◆Glass【アメリカ/毛皮猟師】

怒れ。怒りは最高の燃料だ。
あと川を探せ。

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44 ロバートソン ◆Robertson【イギリス/航海者】

記録をつけろ。書くことで正気を保てる。
それと、最初の10分で何を持ち出すかが全てだ。

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45 パラード ◆Parrado【ウルグアイ/ラグビー選手】

待つな。自分の足で歩け。
山がどんなに高くても、向こう側には必ず何かがある。

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46 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

仲間を見捨てるな。全員で帰れ。
一人を切り捨てた瞬間、残りの全員の心が折れる。

以上、「遭難サバイバル経験者の会」第1回を閉会する。
……第2回は勘弁してくれ。

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【探検ノート】
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■ アーネスト・シャクルトン(1874-1922)──エンデュアランス号遠征
1914年、南極大陸横断を目指して出航したが、船がウェッデル海の氷に閉じ込められ圧壊。シャクルトンは28名の隊員とともに氷上で漂流した後、エレファント島に上陸。そこから6名で全長約7メートルの救命ボート「ジェイムズ・ケアード号」に乗り込み、南極海を約1,300キロ航海してサウスジョージア島に到達した。到着した側が無人だったため、島の山岳地帯を36時間かけて徒歩で越え、捕鯨基地に助けを求めた。最終的に隊員28名全員が生還した。

■ ナンド・パラード(1949-)──アンデス山脈飛行機墜落事故
1972年10月13日、ウルグアイ空軍機571便がアンデス山脈に墜落。乗客45名のうち生存者は最終的に16名。標高約3,600メートルの雪山に72日間閉じ込められ、食料が尽きた後は亡くなった仲間の遺体を食べて生き延びた。捜索が打ち切られたことをラジオで知ったパラードは、ロベルト・カネッサとともに装備も地図もない状態で10日間かけてアンデスの峠(標高約4,600メートル)を越え、チリ側に下山して救助を求めた。

■ ヒュー・グラス(1783頃-1833)──熊に襲われ置き去り
アメリカの毛皮猟師。1823年、現在のサウスダコタ州付近でハイイログマ(グリズリー)に襲われ瀕死の重傷を負った。仲間は彼が死ぬのを待ちきれず、装備を奪って置き去りにした。グラスは這いながら約300キロを6週間かけて移動し、シャイアン川に沿って下流の砦にたどり着いた。傷の治療には蛆虫が壊死組織を除去する「マゴットセラピー」に近い方法を自力で行ったとされる。

■ ドゥーガル・ロバートソン(1924-1991)──太平洋漂流
1972年、イギリス人のロバートソン一家は帆船で太平洋を航海中、シャチの群れに船を沈められた。妻と3人の子供、乗組員1人の計6人でゴムボートと小型救命艇に乗り移り、38日間漂流した。海亀の血を飲み、トビウオを捕り、雨水を帆布で集めて生き延びた。ロバートソンは元商船の航海士であり、その航海知識が生存に直結した。最終的に日本の漁船に救助された。

■ 生存者バイアスについて
遭難の生還者が語る「生き残った理由」は貴重な記録だが、同じ状況で同じ行動を取って死亡した人の声は聞くことができない。生還者の知恵を学ぶ一方で、「運」の要素を過小評価しないことが、サバイバルの本質的な教訓でもある。

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