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【実況】南極点レース、もう引き返せない【時空BBS:探検板】

ここは時空の掲示板です。次元の壁を越えて書き込み自由。荒らしは雷に打たれます。

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 【前哨戦】準備が九割
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1 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

1911年1月、南極・鯨湾に到着した。
ここにベースキャンプ「フラムハイム」を設営する。
極点まで直線で約1,300キロ。犬ぞり52頭、5人。準備は万端だ。

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2 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

我々もロス島に到着した。基地名は「エヴァンス岬」。
極点を目指す。大英帝国の威信をかけて。

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3 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

お、始まったか。俺は1909年に極点まであと180キロまで行って引き返した男だ。
解説役として見物させてもらうぞ。

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4 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

>>3
あと180キロで引き返した判断は正しい。帰れなければ意味がない。
ところでスコット、移動手段は何だ?

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5 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

モーターそり3台、馬19頭、犬33頭。
最終的には人力で引っ張る。それが英国式の探検だ。

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6 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

……馬?
南極で馬?

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7 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

俺も馬を使ったことがある。正直に言う。全滅した。
馬は汗をかく。汗が凍る。蹄が雪に沈む。飼料の量も犬の比じゃない。

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8 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>7
今回は改良した。雪靴を履かせる。大丈夫だ。

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9 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

馬担当のオーツだ。
正直に報告する。馬の状態はよくない。船での輸送中にかなり衰弱した。
何頭かは使い物にならないかもしれん。

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10 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>9
なんとかしろ。

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11 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

「なんとかしろ」で馬が元気になるなら獣医はいらないんですが。

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12 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

こちらは犬ぞり一本。グリーンランド犬だ。
寒さに強い。雪上を走れる。そして最悪の場合、犬は食料にもなる。

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13 スコット隊員 ◆Bowers【イギリス/中尉】

>>12
犬を食べる!?

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14 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

>>13
生き残るためだ。感傷で死ぬつもりはない。
犬自身も犬肉を食べる。北極圏では当たり前の知恵だ。

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15 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

この時点で勝負は見えてる気がするんだが……。
まあ、見守ろう。

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16 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

出発前にやることがある。
ルート上に食料デポ(補給庫)を事前に設置する。南緯80度、81度、82度と、1度刻みで置く。
目印は積み上げた雪のケルンと、東西に並べた黒い旗20本ずつ。
吹雪でも見つけられるようにだ。

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17 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

我々もデポを設置する。南緯79度30分に「一トンデポ」を置いた。
本来は80度に置くつもりだったが、馬の体力が持たず手前になった。

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18 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>17
その半度の差、帰路で命取りになるぞ。

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 【出発】レースが始まる
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19 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

1911年10月19日、フラムハイムを出発。
隊員5名、犬ぞり4台、犬52頭。
天候は良好。犬が元気に走っている。

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20 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

11月1日、我々も出発する。
モーターそり班、馬班、犬班、人力班を段階的に出す。

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21 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

>>20
出発が二週間遅い。そして班を四つに分ける? 管理が複雑すぎないか。

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22 スコット隊員 ◆Bowers【イギリス/中尉】

報告します。モーターそり、壊れました。
二台目も動きません。極寒でエンジンが凍りつきました。

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23 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>22
……残りの手段で進む。

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24 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

馬も限界です。ベアードモア氷河の手前で全頭を処分しました。
ここから先は人力で荷物を引きます。一人80キロ以上。

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25 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

人力で80キロ引いて、標高3,000メートルの氷河を登る。
南極の気温はマイナス30度以下。風速は秒速15メートル。
正気か?

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26 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>25
英国の探検家は苦難を乗り越えてこそ偉大なのだ。

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27 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

こちらは順調だ。犬が一日30キロ以上を安定して走る。
デポの食料も予定通り回収できている。旗が目立つから吹雪でも見つかる。

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28 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>26
苦難を美学にするな。探検は帰ってきてこそだ。

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 【到達】旗がもう立っている
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29 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

1911年12月14日。
南極点に到達した。

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30 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

人類初の南極点到達だ。ノルウェー国旗を立てた。
犬たちよ、ありがとう。お前たちなしではここに立てなかった。

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31 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

出発から57日。見事だ。
だがアムンゼン、お前は帰路のことも当然考えているな?

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32 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

>>31
当然だ。デポの食料は帰路分を含めて計算してある。
犬も帰路に必要な頭数を残してある。計画通りだ。

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33 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

問題はスコットだ。今どこにいる?

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34 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

ベアードモア氷河を登り終えた。高原に出た。
風が強い。気温が下がり続けている。
だが極点はもう近い。あと少しだ。

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35 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

足の凍傷が悪化してきた。
靴を脱ぐと、指の色が変わっている。でも黙っておく。足手まといになるわけにはいかない。

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36 スコット隊員 ◆Bowers【イギリス/中尉】

1912年1月17日。極点が近い。
……あれは。旗が見える。

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37 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

ノルウェーの旗だ。
テントがある。中に手紙がある。

アムンゼンが置いた手紙だ。日付は12月14日。

一か月以上前に着いていたのか。

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38 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

……負けた。
すべてが無駄だったのか。

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39 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>38
無駄じゃない。だが、スコット、今一番大事なのはそこじゃない。
帰れ。今すぐ帰れ。食料はあるか? 体力は?

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40 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>39
食料は……ぎりぎりだ。予定通りならデポの食料でなんとかなる。
だが天候次第だ。

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 【帰路】吹雪が止まない
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41 スコット隊員 ◆Bowers【イギリス/中尉】

帰路に入った。
だが気温が異常に低い。例年より10度以上低いらしい。
マイナス40度を下回る日が続いている。

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42 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

凍傷がひどくなった。歩くのがつらい。
俺のせいで隊の速度が落ちている。わかっている。

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43 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

エヴァンズが倒れた。衰弱と凍傷。
……ベアードモア氷河の麓で、エヴァンズが死んだ。

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44 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

最悪の展開だ。
デポまであとどのくらいだ?

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45 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>44
次のデポまで数十キロ。だが吹雪で動けない日が続いている。
燃料も想定より少ない。缶の隙間から漏れていたようだ。

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46 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

こちらは1月25日にフラムハイムに帰還した。全員無事。犬も11頭生きている。
往復99日。

……スコット隊の情報が入ってこない。

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47 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

もう歩けない。
両足が凍傷で壊死している。毎朝、靴を履くのに一時間かかる。

みんなの足を引っ張っている。

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48 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

>>47
オーツ、諦めるな。一緒に帰るんだ。

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49 オーツ ◆Oates【イギリス/陸軍大尉】

3月17日。俺の誕生日だ。32歳になった。

外は吹雪だ。

「ちょっと出てくる。しばらくかかるかもしれない」

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50 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

オーツがテントを出ていった。吹雪の中へ。
止められなかった。

彼は自分が足手まといだと知っていた。
仲間を救うために、吹雪の中に歩いていった。

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51 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

…………。

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52 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

残り3人。一トンデポまであと18キロ。
だが吹雪が止まない。テントから出られない。食料が尽きた。燃料もない。

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53 スコット ◆Scott【イギリス/海軍大佐】

3月29日。吹雪はまだ続いている。

もう動けない。

日記に書く。これが最後の記録になるだろう。

「我々の遺体を見つけた者が、この日記を届けてくれることを願う」

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54 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

……スコットのレスが止まった。

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55 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

……。

勝った、という気持ちはない。
レースに勝つことが目的だったのは確かだ。だが。

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56 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

8か月後、捜索隊がテントを見つけた。
スコット、バウアーズ、ウィルソンの3人がテントの中で亡くなっていた。
一トンデポまで、わずか18キロの地点だった。

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57 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

最後に言っておく。

アムンゼンは勝者だ。完璧な準備、合理的な判断、全員生還。
スコットは敗者かもしれない。だが彼の日記は、人間の意志の記録だ。

どちらが偉大かは、俺には決められない。

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58 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

探検とは、準備である。
冒険とは、準備不足の別名である。

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59 シャクルトン ◆Shackleton【アイルランド/探検家】

>>58
その通りだ。
そして俺は次に南極大陸横断を計画している。今度こそ、全員で帰る。

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60 アムンゼン ◆Amundsen【ノルウェー/探検家】

>>59
お前の船の名前、「エンデュアランス」だったな。「忍耐」か。
……嫌な予感しかしないが、まあ頑張れ。

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【探検ノート】
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■ ロアール・アムンゼン(1872-1928)
ノルウェーの探検家。北西航路の初航行など極地探検に生涯を捧げた。1911年12月14日、人類で初めて南極点に到達。犬ぞりを主力にした綿密な計画と、イヌイットの防寒技術を取り入れた装備が成功の鍵だった。ルート上に細かくデポ(食料補給所)を設置し、目印の旗を大量に立てたことで吹雪の中でもデポを見失わなかった。出発から帰還まで99日、隊員5名全員が無事に帰還した。

■ ロバート・ファルコン・スコット(1868-1912)
イギリス海軍の大佐で探検家。1911年11月に南極点を目指して出発したが、アムンゼンに約1か月遅れて1912年1月17日に到達。帰路、異常な低温と吹雪に見舞われ、隊員のエヴァンズとオーツを失い、スコット自身もバウアーズ、ウィルソンとともに一トンデポの手前18キロ地点で力尽きた。移動手段としてモーターそり(早期に故障)、馬(寒さに弱く途中で全頭処分)、人力曳行を採用したことが、犬ぞりのアムンゼン隊との決定的な差となった。

■ ローレンス・オーツ(1880-1912)
イギリス陸軍大尉。スコット隊で馬の管理を担当した。帰路、両足の凍傷が悪化し歩行が困難になると、仲間の負担になることを悟り、1912年3月17日の自身の32歳の誕生日に「ちょっと出てくる。しばらくかかるかもしれない(I am just going outside and may be some time.)」と言い残してテントを出、吹雪の中に消えた。遺体は見つかっていない。

■ アーネスト・シャクルトン(1874-1922)
アイルランド出身の探検家。1909年に南極点まであと約180キロの地点まで到達したが、食料の限界を判断して引き返した。この撤退の決断は「生きて帰る」ことを最優先とする彼の信条を象徴するものとして高く評価されている。後のエンデュアランス号遠征(1914-1916)では、船が氷に圧壊されるという極限状況から隊員全員を生還させた。

■ 一トンデポ
スコット隊が帰路用に設置した最大の食料補給所。本来は南緯80度に設置する予定だったが、馬の体力不足のため南緯79度29分と約半度(約50キロ)手前に置かれた。この差が帰路のスコット隊に致命的な影響を与えた。

■ 準備の差が結果を分けた
アムンゼンは犬ぞりとスキーというシンプルな移動手段に絞り、デポには目印の旗を東西に大量に立てた。一方スコットはモーターそり・馬・犬・人力という4種の移動手段を組み合わせ、管理の複雑さが仇となった。また燃料缶の密封が不十分で中身が蒸発していたことも、帰路の致命傷となった。

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