逆モンティ・ホール問題――当ててはいけないゲーム
逆モンティ・ホール問題
――当ててはいけないゲーム
ある男がいた。
男は、爆弾を仕掛けた。
そして、その解除方法を知っているのは、男自身だけだった。
ある日、男は3本の配線を前にして、こう言った。
「この3本のうち、1本だけが正解だ」
ただし、普通のゲームとは違う。
正解を当ててはいけない。
正解を選べば、ゲームは失敗する。
男は続けた。
「君が最初に1本選べ」
あなたは3本のうち、1本を選んだ。
確率だけを考えれば、あなたが正解を選んでしまう確率は、
1/3。
残りの2本のどちらかが正解である確率は、
2/3。
ここまでは、普通のモンティ・ホール問題と同じだ。
しかし、男は爆弾の仕組みを知っている。
あなたが最初に選ばなかった2本を見て、こう言った。
「君が選ばなかった2本のうち、これは正解ではない」
そして、1本を除外した。
残ったのは、
あなたが最初に選んだ1本
と、
男が残したもう1本。
男は笑った。
「さあ、どうする?」
普通のモンティ・ホール問題なら、
「選び直したほうがいい」
と考える。
なぜなら、最初の選択が正解である確率は1/3。
最初に選ばなかった2本の集合が正解を含んでいる確率は2/3。
その集合からハズレが1つ除外された結果、残った1本に2/3が集まるからだ。
しかし、このゲームには一つ問題がある。
正解を選んではいけない。
つまり、目的が逆なのだ。
最初に選んだ1本が正解である確率は1/3。
残った1本が正解である確率は2/3。
ならば、
正解を避けたいなら、最初の選択を維持したほうがいい。
1/3の確率で正解を選んでしまう。
2/3の確率で、残った1本が正解になる。
つまり、
「当てたい」なら選び直す。
「当てたくない」なら選び直さない。
同じ3つの選択肢。
同じ確率。
同じ情報。
それでも、目的が反転すると、合理的な行動まで反転する。
これが、
「逆モンティ・ホール問題」
という思考実験である。
ただし、本当に面白いのはここからだ
モンティ・ホール問題では、
「どちらを選ぶべきか」
に目が向きやすい。
しかし、構造を見てみると、
最初から、
1つ
と
残り2つの集合
に分かれている。
最初に選んだものは1/3。
選ばなかったものの集合は2/3。
そこから情報によって1つが除外される。
この構造自体は変わっていない。
変わったのは、
「何を成功とするか」
だけである。
当たりを取りに行くのか。
当たりを避けるのか。
目的が変われば、同じ確率構造でも最適な行動は変わる。
つまり、
問題の構造だけでなく、目的関数まで見る必要がある。
これが、この「逆モンティ・ホール問題」の面白さなのかもしれない。
※これはモンティ・ホール問題を題材にした思考実験です。実際の危険物や配線を扱うことを想定したものではありません。
