【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第五部ー182
《あらすじ》
架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。
noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。
*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
「チビのおもちゃおねだりは」
冥界に戻ると休憩室で、
お昼寝から目覚めたチビの声が聞こえてきた。
向井達が入っていくと、
「お帰り~」
シェデムが声をかけた。
「これ、お茶屋さん寄ったので冥王が好きなお抹茶大福です」
向井は和菓子の箱をテーブルに置いた。
「これ大好物なんですよ~有難う。で、どうでしたか? 」
冥王は嬉しそうに箱を開けると聞いた。
「毘沙門天様もあの土地はかなり辛そうで、
ミヒカさんを連れて早々に戻られました。
赤姫さんも自分の土地とはいえ、きついと言っていたので、
なにか方法があればいいんでしょうけど」
「ん~………開発室にもお願いしているんですけどね」
向井の話に冥王も唇を噛んだ。
キッズルームを見ると妖鬼がこんと呉葉の話を聞いている。
「それでな~ここにベッドがほしい」
「プリンのねるとこないの」
「天蓋ベッドじゃなきゃ、作ってやるよ」
「ならな、ハートがいっぱいがいい~」
「こんはおほしさま~」
「それをベッドのここにつけるのか? 」
二人がうんうんと頷く。
向井は近づくと声をかけた。
「どうしたんですか? 」
「こいつらが人形のベッドが欲しいんだと。
ほら、大きなドールハウスを作ってもらったからさ」
そういって、人形に合わせた大きな部屋のドールハウスを見せた。
「可愛いお部屋ですね。どうしたんですか? 」
「とあけにつくってもらった」
この所、別の場所で何か作業していると思ったら、
これを作っていたわけか。
向井は仕方がないなぁという表情で笑った。
「ちゃんとお礼を言いましたか? 」
「いったよ。やよいちゃんといっしょに、
つくってくださいっておねがいにいったもん」
こんと呉葉は胸を張って向井を見た。
恥ずかしがり屋だったこんもずいぶん成長したものだ。
向井は笑うと、
「そうですか」
とこんと呉葉の頭を撫でた。
「お洋服ダンスも妖鬼さんが作ったんですよね。
ハンガーもあっていいね」
「大変よ~こいつらのタンスも作って人形もタンスだろう」
妖鬼も笑った。
「でな~このこのぼうしとクツがほしい」
「ほしい」
二人が向井の顔をきらきらした目で見た。
そこへ弥生がやってきて、
「毘沙門天様がお土産を置いていかれたそうですよ」
と袋を持って入ってきた。
「お土産ですか? 」
冥王も驚いたように言った。
「死神課に預けたそうで、お茶だと言ってました」
弥生がそういってキッチンに袋を置くと、
「あっ、またおねだりしてるんでしょう」
とキッズルームにやってきた。
「してないもん」
「ほしいっていっただけじゃ」
弥生は困った顔で笑うと、
「この子たちは佐久間さんや源じいにも、
イベントで欲しいものを話してるのよ」
向井達の所にやってきた。
「イベント? 」
向井が聞き返す。
「そう。図書室で、
河原さんとティン君が話しているのを聞いて、
このお人形さんの作家さんも来るんですって。
それで、着せ替えグッズが欲しいらしいの」
「なるほど」
弥生の話に向井も笑った。
「げんじいとさくまはひとつだけなら、
かってくれるといったぞ」
「おやおや。みんな甘いですね~
それで俺からは靴と帽子が欲しいと」
向井が見下ろすと期待する目で見つめた。
「さて、どうしましょう。
源じいと佐久間さんには何をお願いしたんですか? 」
「あのな~げんじいはネックレスでさくまはバッグじゃ」
「お人形のセットでそんなものもあるんですか? 」
向井が驚いて弥生を見た。
「そうなんですよ。私と早紀ちゃんも写真を見て、
思わず可愛いって言っちゃうくらいだから、
子供にはたまらないんでしょうね」
「そうか。じゃあ、
俺が靴と帽子を買ってあげますから、
もう、誰にもおねだりしてはいけません。約束できますか? 」
「する」
二人はニコニコ笑うと向井と指切りした。
そして振り返ると、
「冥王もチビにねだられてもダメですよ」
「わ、分かってますよ」
怪しいなぁ~と思いながら、
一生懸命塗り絵をしている三鬼を見た。
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