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【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第五部ー177

《あらすじ》

架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。

noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。

*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。

八雲翔

「毘沙門天とチビ」

「あはははは。牧野君は本当に面白いな~」

「泥棒………神様は泥棒………? 」

箸を銜えたまま、
安達が毘沙門天と冥王を交互に見た。

「安達君が誤解するような話はやめてください。
私まで泥棒になってしまいます」

冥王が否定した。

「毘沙門天様は牧野君をからかっただけです」

向井は安心させるように安達を見るとあきれ顔で笑った。

休憩室が賑やかだからか、
チビを連れた弥生とアートンがやってきた。

見たことのない男の姿に、
チビ達は弥生とアートンの後ろに隠れた。

多くの大人に囲まれているからか、
あまり人見知りをしないチビ達も、
際立つ印象の毘沙門天に驚いたようだった。

その後ろからトリアとシェデムもやってくると、

「何か買ってきたの? いい匂い~」

と牛丼を見つけ笑顔でキッチンに向かった。

「ほら、あんたたちも食べたら? 」

トリアが手招きするとチビ達も走っていった。

「毘沙門天? 」

アートンの驚く顔に横にいた弥生もビックリした。

「久しぶり~君も天上界に来ないからさ~
たまには冥王と一緒に来てよ。
そっちの美人さんは? 」

毘沙門天はアートンに手を振ると弥生の方を見た。

「三ツ矢弥生です」

弥生は驚きを隠せないまま頭を下げた。

「弥生ちゃんとアートンさんも牛丼食べませんか? 」

向井はそういうと立ち上がりカウンターに行った。

「三鬼たちは一個食べられないから一個を三人分に分けて」

向井はそういうとチビ達の食器を取り出した。

弥生も来て手伝うと、
向井とアートンが邪魔をするチビを抱き上げ、
ソファーに連れて行った。

「ここはいいな~楽しそうで」

毘沙門天が残りの牛丼をかきこんだ。

「うちはさ~
じいさんばあさんしかいないから静かなもんよ」

お茶を飲んでそういうと、
向井とアートンにしがみ付いているチビをニコニコ笑いながら見た。

「これはだれじゃ? 」

呉葉が胡坐をかいて座る向井に乗ると顔を見た。

「この人は冥王のお友達です」

「おともだち? 」

こんも膝に乗ると聞いた。

「そうだよ~」

そういうと二人が抱えている人形を見て、

「お揃いのお人形だ。可愛いね~」

と声をかけた。

「このこはプリン」

「わらわのはゼリーじゃ」

「美味しそうな名前だ」

毘沙門天が笑うと、チビ達もくすくす笑い出した。

三鬼はまだ疑り深い顔で、
アートンの膝に乗ったまま見ている。

毘沙門天は三鬼が抱えている恐竜のぬいぐるみを見て、

「それは………スピノサウルスだ」

その言葉に三鬼の顔が驚きに変わり、
次に興奮したように話し出した。

「ボクね~キョウリューずかんあるんだ。すごいの」

そういうとアートンの膝から飛び降りて、
毘沙門天の手を引いた。


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