【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第六部ー184
《あらすじ》
架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。
noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。
*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
「究鬼の将棋」
クリスマス近くなり、
チビが新しい上下セットアップ姿でやってきた。
「おっ、可愛いですね~三人でお揃い? 」
死神課にいた向井を見つけると嬉しそうに見せてくれた。
後から早紀と真紀子が歩いてきた。
「子供服なんて友人の子供に編んであげて以来だから、
もう久しぶり過ぎて大変だったわ。
でも可愛いでしょう? 」
真紀子が笑いながら向井を見た。
セーターと帽子はお揃いで三鬼のには恐竜のワッペンがあり、
こんと呉葉にはレースの襟が付いている。
「これに合わせて、
三倉さんがスカートとパンツを作ってくれたの」
早紀が説明した。
淡いチェック柄で三人並ぶと妖怪アイドルみたいだ。
「でも、暑くない? 」
冥界の気温は適温湿度なので、
春夏秋冬はある程度感じられるものの、
ここにいる限りみんな着こむことはない。
「これね。イベントに行くときのお洋服なの。
冬だから寒いでしょ。
嬉しくてみんなに見せて歩いてるのよ」
早紀は笑うと、
「汚れたらイベントに行けなくなっちゃうよ。脱ぐよ~」
「きゃぁ~」
早紀ははしゃぐチビ達と一緒に走っていった。
「向井君も戻ってきたし、珈琲淹れましょうか」
真紀子はそういうと、二人は休憩室に向かった。
――――――――
休憩室には究鬼と夢鬼がいて、
源じいを相手に究鬼が将棋を指していた。
それを田所と夢鬼が真剣に見ている。
「お二人がいるのは珍しいですね」
向井が真紀子とキッチンに歩きながら言うと、
「源じいには負け越してるからね。
休憩室で休んでいると聞いて手合わせをお願いしてるんだ」
究鬼は考え込みながら、
「………もうだめか………参りました」
頭を下げて投了した。
「う~ん、中盤か………」
「究鬼さんはいいところまでいってたんですよ」
二人が話し合っているのを田所も見ながら指をさす。
「ここだよ」
感想戦をしている三人から離れて夢鬼がやってきた。
「僕には全然分かりません。
室長は将棋をしたくて、
研究室でも誰彼構わず指そうと言ってくるんですけど、
僕たちみんな将棋が苦手で、覚えられないんです」
「俺も将棋や囲碁は苦手で出来ませんよ。
出来ると言ったらオセロくらい? 」
向井は笑いながらマグカップを並べた。
「向井さんは何でもできると思ってた」
夢鬼の驚く顔に、
「何でもできたらスーパーマンですよ」
と笑った。
「はい、今日はスティック珈琲だけど、
そのかわりおやつは奮発して人気店のティラミス。
手芸店に行ってきたので買ってきちゃった」
真紀子は微笑むとトレイに乗せた。
「やった~
ここに来ると美味しいものがあるんだけど、
いつも食べ損ねちゃってさ」
夢鬼は嬉しそうに言うとトレイを運んでいった。
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