【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第六部ー185
《あらすじ》
架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。
noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。
*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
「妖怪にも反抗期?」
真紀子と向井も笑うと、
残りのトレイを持ってテーブルに歩いて行った。
大人たちがケーキを食べていると、
早紀と弥生がチビと一緒に入ってきた。
「あ~なんかたべてる」
チビが走ってきて、向井達に飛びついてきた。
「ちびちゃん達はプリンね」
真紀子は立ち上がると、
「弥生ちゃんと早紀ちゃんもティラミス食べる? 」
「食べる~」
二人も足早に来るとケーキを箱から出した。
騒ぐチビと一緒に、
早紀がプリンを乗せたトレイを持ってテーブルに来た。
「ほらちゃんと座って、こぼさないようにね」
「こぼさないよ~」
そういいながら食べ始めた。
「最近少し生意気なのよ」
早紀は大人たちの方へ来ると、
ティラミスのケーキ皿を手に取った。
「反抗期? 妖怪にもあるんですかね。
人間だとイヤイヤ期に当たりますけど」
向井も嬉しそうに食べるチビをちらりと見た。
「どうだろうね。
俺達はこの地に降りた時にはもうこの状態だったからな」
究鬼が言った。
「君らも知っていると思うけど、
俺達は意味を持って下界に落とされて、
分からないままに入力されたことをさせられていたそんな感じ?
冥王に会って、
自分で多くを考えて行動するようになったからな」
「人は不思議なことに何も考えていないようで、
脳はいつも何かを考えているんですよ。
君達もそのように思考を巡らせている。いい事ですよ」
「源じいはさ。いい校長先生だったんだろうな」
田所の言葉に源じいは笑った。
「そんな風に言ってもらえたら嬉しいですね」
「あいつらは俺達と違って、
自然妖怪の部類だと思うから、
親から生まれてはいるんだろうけど妖怪も生み捨て多いからね」
「そうなの? 」
究鬼の話に弥生が聞いた。
「妖怪の感情って人とかかわることでも変わってくるんだよ。
触れ合う人が誰だったかでも悪魔にも天使にもなる。
もともとどうしようもないのもいるけど、
それは人間だって同じでしょ」
「確かにそうですね」
向井も手にしたマグカップの中をじっと見つめた。
「そういう意味ではチビ達は人間に近い。
ここで育っているからさ。
虎獅狼達もそうだろう?
いいか悪いかなんて誰にも分んないしそれでいいんじゃないの?
ただ、それなりに力はあるから、
そこは気をつけたほうがいいけど、
向井さん達だって人間にはない力を冥王からもらってるでしょ。
だから反抗期が来たとしても問題ないよ」
究鬼はそれだけ言ってから、チビ達を見た。
クリスマスイブ当日―――
特別室からディナーとシャンパンを用意しろと言われ、
向井は面倒だが名店のディナーをテイクアウト予約し受け取りに行った。
街は悪霊が騒ぎを起こすこともなくイルミネーションの中、
楽しそうに歩く恋人や家族連れで溢れていた。
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