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【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第五部ー179

《あらすじ》

架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。

noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。

*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。

八雲翔

「夜叉隊」

「天上界の方がここに来るのは、
やはり珍しいんですか? 」

「まあね。ここは死人の集まりだから、
穢れに弱い神は降りてこないね。
といってもここだって冥界だから、
穢れなんてないし綺麗なもんさ。
でも、身分の高い神々は汚れると思うんじゃないの」

妖鬼は面白そうに言うと笑った。

「そうはいっても、
ここに遊びに来る神もいるよ。
弁財天や持国天は時々冥王とお茶してるから」

「なんかいろんなものが混ざっていて、
俺が聞いたものとは全然違うので悩んじゃいますね」

「そう? 神という役職? があるだけで、
何にも変わらないわよ」

不思議そうな向井にトリアが笑った。

「それにね。俺も鬼だけど、
毘沙門天が連れてる夜叉隊はまた、全然違うから」

「そうなんですか? 」

向井の驚く顔に妖鬼は食事をしながら頷いた。

「特に羅刹天は地獄の鬼だからね~
怖いよ~」

「地獄の鬼? 」

安達が振り返って聞いた。

「悪い子はいないか~って、そりゃもう………」

「おいおい、その辺でやめてくれよ。
私の印象が悪くなる」

「お目覚めですか? 」

キッズルームから歩いてきた毘沙門天に向井が声をかけた。

「いや~気持ちよく寝ちゃった。
子供らはまだ寝てるけど」

「地獄の鬼の親分………」

安達は恐々と毘沙門天を見た。

「ほら、お前が変なこと吹き込むから」

毘沙門天は笑う妖鬼を睨むと、

「夜叉隊は鬼ですけど、
みんなを守ってくれるいい鬼なんだよ。守護神かな? 」

安達にそう説明した。

「人を食べる鬼もいるけど人を守る鬼もいるんだ」

「ふぅん………」

安達は理解したのかしないのか、

「ほら、続き行くぞ」

牧野の声にゲームに戻っていった。

「でも、人の善悪は難しいです。
その人にとって善でも別の人から見たら悪。
そういう事もありますからね」

「ふむ、向井君は実にいい。
冥王がそばに置きたがるはずだ」

毘沙門天は腕組して頷くと、

「さて、お姫様を迎えに行くとしますか」

と笑った。

「妖鬼、ちょっと子供たち見ててよ」

「えっ? 今ここに俺一人なんですけど」

「牧野達もいるでしょ」

「ええ~子供と変わんないじゃん」

トリアの話に面倒くさそうにする妖鬼を、
向井は笑いながら立ち上がった。

「あのね~俺らもガキじゃねえから、
チビの面倒くらい見れるよ」

横から牧野がふくれっ面で言った。

その時、
賽の河原より舟が到着したとのアナウンスが流れてきた。

向井が廊下を見るが誰も出てくる気配がない。

それぞれの仕事で手が離せないのだろう。

「安達君、牧野君連れて行って来てくれますか? 」

「分かった」

向井が言うと安達が頷いて立ち上がった。


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