【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第五部ー176
《あらすじ》
架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。
noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。
*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
「賽銭泥棒?」
「神様? 冥王と同じ? 」
「そう。冥王のお友達です。よろしくね~」
毘沙門天は牧野を離すと腰をかがめて安達を見た。
「なんだよ~毘沙門天て。俺はそんな友達はいねえ」
牧野は慌てて離れると新田の後ろに隠れた。
「牧野君の話を私がしたら、
会いたいというので来てもらったんですよ」
牧野は気味悪そうに距離を取ってキッチンに走っていった。
「酷いなぁ~」
毘沙門天は気にもせずそういうと冥王の方へ戻っていった。
「あっ、そうだ。
昼食に牛丼を買ってきたんですけど、
毘沙門天様もお食べになりますか? 」
「牛丼? 食べる食べる~」
「じゃあ、今お茶を淹れますね」
向井はそういい新田とキッチンに歩いていった。
安達は固まったように、
じ~~~~~~っと見ているので冥王が手招きした。
「大丈夫ですよ。怖くないです」
「怖いってなんですか」
毘沙門天の文句に、
「ここには君のような荒っぽいものはいないんですよ。
私のような落ち着いた大人が多いんです」
冥王がふふんと自慢げに言った。
安達は冥王の隣に行くと、
マントに隠れるように毘沙門天を見ていた。
「毘沙門天てさ。
牧野君が好きな戦国武将の天下取りゲーム。
あれにも出てくるだろ? 」
新田がお茶を用意しながら話した。
「出てこない………あっ、上杉謙信!! 」
牧野は声をあげると毘沙門天の前まで走っていった。
「オンベイシラマンダヤソワカ!! 」
牧野が楽しそうに言うのを、
「おお~ここでマントラが聞けるとは」
毘沙門天が豪快に笑った。
「で、これって何さ」
牧野の言葉に、
「えっ? 」
毘沙門天が素っ頓狂な声を出した。
「牧野君。マントラはね。
毘沙門天様の教えが詰まった有難い言葉なんですよ。
心が落ち着くまで唱えて毘沙門天様に感謝をしないと」
向井はそういうとお茶を持ってきてテーブルに置いた。
「へえ~これ唱えると、いいことあるの? 」
牧野は牛丼の蓋を取ると箸を持った。
「いただきます」
と食べ始めるのを見て、
呆気に取られていた見ていた毘沙門天が腹を抱えて笑い出した。
「ねっ? 牧野君は面白い子でしょ? 」
冥王もそういうと牛丼を食べ始めた。
「牧野君、知ってますか? 毘沙門天はね、
金運の神様でもあるんですよ」
「だからみんなは毘沙門天にお願い………
違った、感謝するのか。
で、みんなはお金、儲かってるの? 」
「ん~どうだろうね~ 」
毘沙門天は牛丼を頬張りながら、
「神様は基本なにもしません」
と笑った。
「それじゃ、ホントの賽銭ドロボーじゃん」
牧野が不満そうに毘沙門天を見た。
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