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満たす西と、受け入れる東 「 マズロー5と五徳」

「幸せって何だろう」、前回そんなお話をしました。

算命学には「福・禄・寿・官・印」という、人の幸せを五つで捉える考え方がありました。
五徳と呼ばれるものです。

せっかくの機会なので、この呪文みたいな「言葉」覚えてしまいましょう。
恥ずかしいので小声で「ふく・ろく・じゅ・かん・いん」の発声をお勧めいたします。
身体の巡りが整います。言霊です。


ところで、この「幸せとは何か」という問いには、西洋にも有名な答えがあります。

マズローの欲求五段階説です。
東洋的な思想(以下、東)の「五徳」と、西洋的な思想(以下、西)のマズロー。

並べてみたら、面白いことが見えます。
今日はそのお話を。


■ まずは、二つのおさらい

算命学の五徳を軽く振り返ると、

福 (心の安定)
禄 (食べていける力)
寿 (健康)
官 (名誉・立場)
印 (知恵)

この五つで、人の幸せを見ます。


いっぽうマズローは、人の欲求を五段のピラミッドで描きました。
下から順に、

生理的欲求 (食べる・眠る)
安全の欲求 (身の安全)
所属と愛の欲求 (仲間・家族)
承認欲求 (認められたい)
そして頂上の自己実現

さて、この二つを重ねてみます。


■ 重なるところ
下のほうは、驚くほどきれいに重なります。

食べる・眠るという生理的欲求は、そのまま「禄」。
身の安全や健康を求める安全の欲求は「寿」。
認められたいという承認欲求は「官」。

狙ったように一致します。

洋の東西を問わず、人が求めるものの土台は、そう変わらないのだと思います。


■ 少しずれるところ
でも、全部がぴったり来るわけではありません。

マズローには「所属と愛」、仲間や家族とつながっていたい、という段があります。
五徳には、これに当たるものがない。

五徳は、あくまで一人の内側の満ち欠けで組まれているからです。


では算命学は、人との縁を見ないのかというと、そうではありません。

家族や仲間とのつながりは、六親法や位相法という、占いの技法でみます。これはまた別の分野でじっくり扱います。
未来予測につながりますので、こちらお楽しみに。


五徳が内側の充足をみて、縁のことは別の窓からみる。
欠けているのではなく、役割を分けています。

逆に五徳の「印」、つまり知恵は、マズローのどの段にもうまく収まりません。
並べてみて、はじめてお互いの個性が浮かんでくる。そんな感じです。


■ いちばん大きな違い
そして、ここがいちばん面白いところ。

マズローの五段は、階段です。
下が満たされて、次の段へ。

そうやって積み上げて、頂上の自己実現を目指す。
全部満たされることが、理想のゴールです。


ところが算命学の五徳は、階段ではありません。
分量のバランスでした。
片方が膨れれば、片方が凹む。
全部そろうことは、まずないのです。

それどころか、算命学ではこう見ます。
「五徳が全部そろうと、燃え尽きて危ない」と。

つまり、マズローが「目指す頂上」を、算命学のほうは「危うい」と見るわけです。
向いている方向が、まるで逆です。


■ 満たす西と、受け入れる東

西のマズローは、満たすことを説きました。
積み上げて、上へ、上へ。

東の算命学は、欠けを受け入れることを説きます。
全部はそろわない。
そろえば、かえって危うい。
だから、ちょうどよく。


どちらが正しい、という話ではないと思います。
同じ「人の幸せ」という問いに、東と西が、それぞれ違う答えを出した。
ただ、それだけのことです。

でも、こんなふうにも思うのです。

何かが足りないと焦る日には、西の階段が背中を押してくれる。

逆に、うまくいかないことばかりで落ち込む日には、東の「欠けていて、いい」という声が、そっと肩をなでてくれる。


両方あって良いと思います。
どちらの目も持っていられたら、心はずいぶん軽くなる気がします。

この富士山のふもとで、のんびり暮らしていると、東の「欠けていて、いい」という考え方が、だんだん身にしみてきています。

自己実現や5徳の完成を見たとき、どうも足元から崩れる。
そんな人生経験からです。


全部そろえようと、栄光や名誉・地位など坂を駆け上がる時期も、人生には必要です。

でも、人生転落と思えるような大事なものを失っていった人生も、しみじみ幸せを認識できる自分とも出会える、そんな素敵な時期だとも思うのです。

これを喪失と言ってよいのでしょうか。
ゆっくり眺めていられるそんな時間も、また悪くない。
山の静けさが、そう教えてくれます。


■ おわりに
満たすことも、受け入れることも。
どちらも、人が幸せに向かおうとする、優しい知恵なんだと思います。

自分の凸凹を眺めながら、今日は西の目で、明日は東の目で。
そんなふうに、行き来してみてください。

失ったものも、得たものも、数える日があっても良いとおもいます。
そのぶん、どこかが満ちているのですから。


こちら「5徳」説明です。もし良ければこちらもご覧ください。

富士山麓より

ボンちゃん


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