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”圧倒的な個性”の交差点 〜 Identity Academyが拓く挑戦のエコシステム 〜

Identity Academy 10期生
シカゴ大学 データサイエンス修士 AI専攻 1年
中野龍征



こんにちは、Identity Academy 10期の中野龍征と申します。学部時代にVCの長期インターンで、資本が事業を動かす現場に触れ、金融に強い関心を持つようになりました。就職活動では外資系投資銀行からオファーをいただいていたものの、渡航制限の緩和を機にワシントン大学への交換留学、最終的にシリコンバレーのVCを選びました。

課外では、運営するYouTubeチャンネルのHead of Dataとして、データ分析・アルゴリズム設計、そして戦略の立案を担当しています。 現在は機械学習/AIを金融市場へ応用することに興味があり、シカゴ大学でAIを研究しています。

これまで様々なコミュニティに所属してきましたが、より多様でエネルギッシュな個に出会い、切磋琢磨できる環境を求めてIdentity Academyに参加しました。本日は、私がIAで過ごした4ヶ月間で得た学びや気づきについて、「コミュニティの希少性」という観点から、お話しできればと思います。まずは私のこれまでの人生、大切にしている価値観、そしてその根幹にある考え方についてご説明させてください。

目立ちたがり屋、勝ち依存症、ハマったらとことんハマる。

昔から周りが引くほどの目立ちたがり屋でした。幼稚園の演劇では、主役のライオン役だけでは満足できず、友人が演じる予定だったオオカミ役を「彼よりも上手に演じるから、私にやらせてくれ。」と駄々をこねて担任の先生を困らせたりしていました。

そのまま地元の公立小学校に入学しましたが、そこは全くの別世界でした。小学校の教室は、まだルッキズムや資本主義の影響が及んでいない、足が速いという分かりやすい「強さ」を持つ者が人気を集める世界。私は比較的速い方ではありましたが、ヒーロー(リレーの選手)になれるほどの俊足ではありませんでした。

そんな時、友達に誘われて出場したのが、地元のおもちゃ屋さんで開催されていたベイブレード大会です。ビギナーズラックで準優勝し、私は「試合に勝てば注目される」という快感を覚えました。

それ以降の小学生時代は、まさにベイブレード一色。気がついたら中学受験の塾をやめていて、毎日学校から帰るとベイブレードを調整(東急ハンズの工具売り場でベアリングや滑車油を購入し、コマの重心を特定して0.01mm単位でパーツをずらし計測することで、1分1秒でも長く回るコマを作ること。)し、週末に行われる大会で優勝するために全てのエネルギー、時間を惜しみなく注ぎました。

その執念は実を結び、全国大会や地域大会でも上位に入賞できるようになりました。しかし、私の誇りは順位そのものよりも、その過程にあります。周囲では、親が調整して子供が大会に出場するのが当たり前でしたが、私はパーツ選定、重心取り、微調整、計測、戦術決定、出場まで全て自分自身で行っていたため、「理論を構築し、それを実装することで、勝ちを設計できる。」という原体験になりました。

何より勝ちに対する執念、勝負勘が研ぎ澄まされたという点で、私の人生の原点とも言えます。仕事で忙しい中、毎週末の休みを返上して各地の大会に連れて行ってくれた親には感謝してもしきれない思いです。

そんな私が次にのめり込んだのが、ももいろクローバーZです。寝坊してトーストを咥えたまま見た朝のニュース番組の特集に衝撃を受けました。綺麗な衣装に包まれ、お淑やかなダンスや歌声を披露するそれまでのアイドル像とは対照的に、全身汗だくで過呼吸になりながら文字通り魂を燃やして全力でパフォーマンスしている姿に心を打たれたのを鮮明に覚えています。そして気がついたら、私はももいろクリスマス2012の会場さいたまスーパーアリーナで、黄色の法被に身を包み、両手にペンライトを持ち、「詩織!詩織!」と叫んでいました。それ以降、北は北海道、南は沖縄まで、時には学校の授業を休んでライブに通い詰めました。当時付き合っていた彼女には「私とももクロどっちを取るの?」と迫られ、「ごめん、さすがに玉井詩織。」と言ってしまいフラれたり、就活の面接でも「なぜ外銀を志望しているのか?」と言われた時に「玉井詩織と結婚したいからです!」とボケ倒し、滑り散らかしたといったエピソードがあるぐらいにはどハマりしていました。

このようにして私は、「目立ちたがり屋」「勝負事は絶対に勝つ」「ハマったら徹底的に極める」という、現在の自身のコアとなる性質を獲得していきました。

そんな感じで自由奔放に過ごしていた私に、人生を考えさせられる出来事が起こりました。大学2年生の時に、一緒に暮らしていた祖母が脳卒中で倒れてしまったのです。幸いにも彼女は無事で、今も元気に生きていますが、”死の概念”から隔離された現代社会で育った私にとっては、生命の儚さ、脆さ、不安定さを初めて実感させられた瞬間でした。この時、私は「与えられた命を無駄にせず、1分1秒を全力で生きよう。」と心に誓いました。

人生は短い。だからこそ、面白い「走馬灯」を。

私の根底には、意思決定をする上で強く意識している2つの問いがあります。ひとつは「自分の走馬灯(Life Review)を面白いものにできるか」。そしてもうひとつは「自分にしか歩めない唯一無二のストーリーであるか」です。

人生は長いのでしょうか、それとも短いのでしょうか。古代ギリシャのヒポクラテスは「芸術は長く、人生は短し」と述べ、スティーブ・ジョブズは「もし今日が人生最後の日だとしたら、今からやろうとしていることは、本当に自分がやりたいことだろうか?」と問いかけました。時代も場所も異なる二人の賢人が示唆するように、人の生は私たちが思う以上に短いようです。

死の直前に見ると言われる「走馬灯」は、いわば人生という物語のエンドロールです。米国の大学の研究によれば、その上映時間はわずか60秒ほど。1シーンが10秒だとしても、人生のハイライトは6つしかありません。皆さんは、人生の最後を飾るにふさわしいエキサイティングな光景に、これまでいくつ出会えたでしょうか。私自身、正直に振り返ってみると、まだ2つしか思い浮かびません。

心理学には、「ジャネーの法則」というものがあります。「生涯のある時期に感じる時間の心理的な長さは、その時点までの年齢の逆数に比例する」という法則で、それに基づけば、人生の折り返し地点は19.8歳だといいます。この法則に従えば、私は既に折り返し地点を過ぎていることになり、ペースが少し遅いようです。この世に生きた証を、私という人間の生き様を刻むには、残された時間はあまりにも短い。この有限性を自覚し、適度な焦りをエネルギーに変えながら、これからも一つひとつの意思決定を重ねていきたい。そしてその先に、社会や人類にとって少しでもポジティブな影響をもたらせたなら、これ以上嬉しいことはありません。

なぜ「守り」に入るのか? Chance, Chance, Chance, Chance.

IAスタジオには、「Risk, Risk, Chance, Risk」と描かれたANTI SOCIAL SOCIAL CLUB風のネオンサインがあります。おそらく「リスクを恐れず挑戦を重ねる者にこそ、チャンスが訪れる。」というメッセージなのでしょう。しかし、私にはこの「Risk」という言葉の意味が、イマイチ理解できません。これまでの人生で、何かを「リスク」だと意識したことは一度もないからです。私にとって、それは常に「Chance, Chance, Chance, Chance」でしたし、これからも変わることはないでしょう。

そもそも、人がリスクを取るのは、その先に見合うリターンを期待するからです。だとしたら、それは本質的に「チャンス」ではないでしょうか。なぜ表裏一体の事象が、対立概念のように語られるのか。おそらく、そこには「運」という不確定要素が介在するからでしょう。

しかし、運という変数の影響を最小化するために、コントロール可能な変数の係数を最大化すればどうでしょうか。私のコアバリューは、「More strategic, more spirited, and more successful.」という言葉に集約されます。より戦略的に考え、より魂を込めて努力することで、より大きな成功を掴む。人の3倍の時間、3倍の質で努力を重ねれば、単純計算でも9倍、約10倍の成果が得られる。非線形な成長を生み出す、単純にして極めて強力な原則です。

1に攻め、2に攻め、3に攻め。私は人生を通して、攻めの選択肢を取り続けます。この広大な宇宙と46億年の地球の歴史から見れば、私の意思決定が及ぼす影響など取るに足りません。100年もすれば、誰もが土に還る。人生とは、そういうゲームです。刻一刻とタイムリミットが迫る中で、なぜ守備的な選択肢を取る必要があるのでしょうか。攻めの選択肢を重ねても、どこまで遠くへ行けるかはわからない。それなら、守りに入って後悔するより、攻めた選択肢を正解にするべく魂を燃やす方が、ずっとずっと面白いストーリーになるはずです。

個の強さと多様なつながりが生む可能性。

「人間」という言葉は「人の間」と書きます。つまり人間とは、自分の身体や意識だけではなく、周囲の人や環境との関係までも含めて成り立つ存在ではないでしょうか。

では、自分をベクトルで表すとしたら、どのような向き・長さ・色になるでしょうか。向きはその人の専門領域や関心分野、長さは専門性の深さや影響力の大きさ、色は多様な価値観やバックグラウンドを象徴しています。これらの要素の組み合わせは無限であり、人の数だけベクトルがあります。

次に、自分を球体の中心に置き、友人や上司など、自分に関わる人をベクトルとして球の中心から外へと配置してみてください。その形は人によって異なります。ほぼ球形の人もいれば、大きく歪んだ形の人もいるでしょう。その球体の大きさ、形こそがその人の人脈であり、自身を取り巻く環境との繋がりという文脈での”個性”だと考えています。

森山先生、各務先生の共著書籍「アイデンティティのつくり方」に「100万人に1人の人材になるには」という考え方があります。100人に1人の専門性を3つ掛け合わせることで1/100³、つまり100万人に1人になれる。そして、その専門性が全く異なる領域であればあるほど、個性と差別化が強まるというものです。私はこの考え方を人間関係にも当てはめられると思います。

元サッカー日本代表の本田圭佑氏が語るように、「個」として強くなることは当然重要です。しかし人間が1人でできることには限界があり、他者と協働した方がより大きなインパクト・成果を生み出せるのも事実です。だからこそ、個人として努力を続けることを前提に、多様でエネルギッシュな人々とどれだけ濃くつながれるかが、自分と相手の可能性にレバレッジをかける鍵になると考えています。

“球体”を広げるIdentity Academyという場所。

Identity Academyは、この球体を拡張し、多様な個性と出会う機会を与えてくれる場です。

例えば

- 早稲田の政経を卒業後、金融に進むはずが寿司の専門学校へ入り直し、世界中の寿司屋を買収するファンドを構想している者。

- アメリカで生まれ、学部卒業までの15年間をフランス、スイスで過ごし、現在東京大学の博士課程でマイクロニードルを研究する傍ら、自身が経営するスタートアップで社会実装を志す者。

- ウクライナ=ロシア戦争が始まった当初ウクライナに住んでおり、ミサイルが飛び交う中避難生活をしていたという原体験から、防衛に特化したファンドを運用している杉原千畝の家系の者。

などなど

彼らは皆、それぞれの領域で新しい価値を生み出そうと挑戦しています。私自身これまで慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)や就活コミュニティ、ワシントン大学のFraternity、シリコンバレーの起業家コミュニティなど様々な場に身を置いてきましたが、Identity Academy には他にはない魅力があります。特に、互いの専門領域に対する知的好奇心や共感の強さは際立っており、純度の高い個性が意外な組み合わせのコラボレーションを生み出しています。(この文章も東京大学大学院で哲学を研究しながら、小説家としても活躍するIA10期の親友にアドバイスをもらいながら書いています笑)

学生時代に、多様で強い個が集まるコミュニティで時間や経験を共有することには計り知れない価値があります。学生時代に課題やプロジェクトに共に挑み、夜を徹して語り合った経験は、一生の財産になります。

Identity Academyでは、投資ポートフォリオゲームや企業へのデザイン思考型ビジネス提案などを通じ、こうした仲間と深くつながれる機会が用意されています。ただし、その可能性を最大化するには「所属しているだけ」では不十分です。IAでは週2回(月曜・木曜の各2時間)の講義があり、ほぼ毎回課題が課されます。どんなに忙しい時でも最低限のコミットメントを守り、課題に取り組み、講義で積極的に質問し、議論を深める姿勢が不可欠です。得られる成果や人との結びつきは、自らの関わり方によって決まります。

未来へ広がるエコシステム。

私自身、こうしたつながりは卒業後にも大きな可能性を秘めていると感じています。将来的に仲間たちは、それぞれのフィールドで確かな成果を上げ、社会の第一線で活躍していくはずです。その後、それぞれが異なる舞台で活躍するなかで再び道が重なり合い、思いがけない出会いやコラボレーションが生まれるとき、新たな可能性が広がり、次の挑戦へとつながっていくのではないでしょうか。

同時に、私は現在、Identity Academyというコミュニティに大きな転換点が訪れていると感じています。1〜5期は金融やコンサルに進む学生が多い印象でしたが、近年はエンジニア、博士課程の研究者、起業家など、これまでにない多様なバックグラウンドを持つ人材が急増しています。この変化は、IAをより多面的で創造的なネットワークへと成長させ、その中で一人ひとりが持つ価値をさらに引き出していく原動力となっています。

私は、IAの各期を一つの“球体”として捉えています。そして、それらが互いにぶつかり合うことで、化学反応が連鎖的に広がり、莫大なエネルギーが生まれる瞬間が訪れる。その瞬間を、この目で目撃できることが、何よりも楽しみです。だからこそ、卒業後も定期的な交流や世代を超えた連携を続け、IAというエコシステム全体の魅力を磨き上げていくことが重要だと考えています。

最後に。

このような唯一無二のコミュニティを創り、育て、日々導いてくださる森山さん、各務さん、加藤さん、松田さんをはじめとする講師の皆さま、そして共に切磋琢磨し合えるIA10期の仲間たちに、心から感謝しています。

ここで築いたつながりと経験は、必ず未来の挑戦の土台となり、世界にインパクトを与える原動力になると確信しています。

From IA to the World — 共に世界を盛り上げていきましょう。

中野龍征

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