見出し画像

完成。プロフェッショナル達との別れ / 中古マンション フルリノベ実況中継 Vol.21

ついに迎えた、引き渡しの当日。 新居には私たち夫婦と娘、リノベ業者、そして不動産会社の担当者さんが集まりました。

私たちを待っていたのは、仕上がった真新しい内装でした。

最後まで作業が残っていた、扉の設置や造作本棚も、見事に完成しています。 保護シートやテープは剥がされ、作業道具もすっかり姿を消していました。

この空間が、リノベーションの工事現場から、私たちの住まいへと生まれ変わったのだということが、肌で感じられました。

最初に押し寄せてきたのは、「ああ、本当に終わったんだ」という安堵。 そして次に、「ここで新しい生活が始まるんだ」という実感です。

ここにきてようやく、私は心から前向きな気持ちになることができたのでした。

プロからの惜しみない称賛

この日、現場で一番気持ちが高ぶっていたのは、間違いなく不動産屋の担当者さんだったと思います。

内装が仕上がっていく様子を日々確認していた私たち夫婦とは対照的に、彼女が最後にこの現場を訪れたのは、コンクリートがむき出しになった解体直後でした。

そのため、視覚的な変化のインパクトが一層大きく感じられたのでしょう。

「モデルルームみたいですね!」

部屋に入るなり、彼女からそんな言葉をもらいました。

そして、妻の理想が見事に形になったことについて、自分のことのように喜んでくれたのです。

生まれ変わったランドリールームや、壁を無くして大きな空間にしたワークルームといった間取りの変化はもちろん、コンセントの配置や、キッチン周辺の収納など細かいところまで。

​数多くの物件を見てきたプロの視点で絶賛してもらえたことは、私も素直に嬉しかったです。

理想の空間作りに情熱を注ぎ続けた妻の苦労が、しっかりと報われた瞬間だったと思います。

​寄り添ってくれた職人たち

​その後、リノベ業者と一緒に新居を一部屋ずつ回りました。

​彼らは単に完成の報告をするだけでなく、作業していて気づいた、「壊れやすそうなところ」や「将来的に変形する恐れがありそうなところ」まで丁寧に説明してくれました。

​その姿を見ながら、ふと内見でこの部屋を訪れた日のことを思い出しました。

つい数ヶ月前のことなのに、もう何年も前のように懐かしく感じられます。

あの時と同じ空間で、同じ業者と一緒にいる。なのに、目に見える質感も、肌で感じる空気も、何もかもが当時とはまったく違っていました。

​すべての部屋の確認を終えると、今後の手続きに関する説明がありました。

申請中の補助金や、残金の支払いについては、すべてオンラインで完結するようです。

つまり、引き渡し後の修繕対応などが必要にならない限り、リノベ業者とはこれが顔を合わせる最後の機会ということになります。

リノベ業者とは、途中、見積もりなどの事務的な部分で、お互いの認識がすれ違うこともありました。

けれど、現場の最前線で責任感を持ち、最後まで私たちの細かな要望に寄り添い続けてくれたことは間違いありません。

このときにはもう、「彼らに施工をお願いして本当によかった」と、私も心の底から感じていました。

思わず「またお会いできると良いですね」とお伝えしたところ、

「いやあ、私たちがまた会うということは、修繕が必要になったということですからね。会う機会がないほうが良いことなんですよ」という冗談が返ってきました。

こうした何気ない愛嬌あるやり取りができなくなると考えると、とても寂しい気持ちが込み上げてくるのでした。

​一枚の集合写真と別れ

実は、不動産会社の担当者さんとは、この後も何度かお会いする機会がありました。

引っ越しが完了してからも新居の様子を見に来てくれるなど、本当に最後まで、新生活の伴走者であり続けてくれたのです。近隣にオフィスがあることもあり、今後も街ですれ違ったり、顔を合わせる機会はありそうです。

一方で、リノベ業者の方々とは、本当に今日が最後のお別れになるかもしれません。

​そんな感傷に浸っていた時、妻が明るく言いました。

​「せっかくだから、最後にみんなで写真を撮りませんか?」

​これから私たちが生活の彩りを加えていく、まだ何の生活感もない真っ白な壁紙。

それを背景にして、私たち家族、不動産会社の担当者さん、そしてリノベ業者の担当者たちで並び、一枚の写真を撮りました。

​記念撮影を終えると、ほどなくして現場は解散となりました。リノベ業者も不動産屋の担当者さんも、それぞれの次の現場へと去っていきました。

こうして、多くの人が力を尽くしてくれた、リノベーション工事が幕を閉じたのでした。

もう一度やりたいか?への正直な答え

それから数日後。

あわただしい荷造りと引っ越し作業を経て、私たちの新しい生活が始まりました。

段ボールの片付けもようやく落ち着き、ふと一息ついたとき。 怒涛のように過ぎ去ったこの数ヶ月間の出来事が、頭の中を駆け巡りました。

ここまでの想定外の連続を経験した今なら、「手っ取り早くリノベ済みの物件を買う方がいい」と主張する人たちの気持ちが、痛いほどよくわかります。

そもそも、「中古マンションをリノベして理想の空間を作りたい!」という妻の強烈な熱意がなければ、築30年超の中古マンションを買ってフルリノベするなんて決断は絶対にできませんでした。

もし今、「もう一度、フルリノベをやりたいですか?」と聞かれたら。 私は返答に困ってしまいそうです。本当に疲れたのです。

それでも。数十年後、娘が独立して、私たち夫婦がもっとコンパクトな住まいに引っ越そうとなったら。

その時、妻が心から満足できる家は、市場にあるのでしょうか。

「コンパクトな部屋を買ってフルリノベする!」 妻がそう言い出したらどうしよう。 なんて、ずいぶん先の未来を妄想してしまいます。

そうしたら、きっと私は断れないかもなあ。 その時はまた、「ひょっとしたら楽しそう」なんて思いながら、同じ道を選んでしまうのかもしれません。

今後の更新予定

Vol.22:最終回。新しい家での暮らしの始まり

「家づくり」という人生最大のプロジェクト、ぜひお付き合いください!

いいなと思ったら応援しよう!