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掌編夜話集 ep2|笑い声が重なる夜

夜、老舗Barオシャンティに、ふたつの笑い声が重なった。
カウンターの端で、常連のサラリーマン二人が並んで座っている。

「お前さ、また弁当忘れたんだって?」
「いやぁ、気づいたら机の上に置きっぱなしでさ」
「奥さん怒ったろ」
「怒られたよ。でも“夕飯に回すからいいわよ”って」

ジェイコブはニコニコしながら、二人のグラスにそっとおかわりを注ぐ。

「いい奥さんじゃないかぁ」
「ほんとだよなぁ」
「俺なんか弁当箱洗わないだけで怒られるのに」 
「それは怒られるだろ」
「だよなぁ」

くだらない話なのに、店の空気がふわっと温かくなる。

「ジェイコブ、聞いてるか?」
「ええ、聞いてますよぉ。仲良しでいいですねぇ」 「仲良しじゃねぇよ」
「いや仲良しだろ」 また笑い声が弾けた。

帰り際、二人は肩を並べて店を出ていく。 ジェイコブはその背中を見送りながら、 磨いていたグラスを胸の前でくるっと回した。

「……いい夜ですねぇ」

店の照明が、少しだけ柔らかく見えた。


ep3
閉店間際の客
ep1
いつもの夜

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産まないことに迷いがある人へ。 本特集は、産む/産まないを“個人の問題”ではなく、制度・資本・倫理の構造として読み解き、罪悪感の根を静かにほどく全5話です。医療・国家・人口政策・倫理・沈黙・非存在を横断し、「産まない」という選択が最も誠実な抵抗であることが見えてきます。 さらに、非出生主義の最短ガイド、文化・物語・音楽・AIポエムの連載、巻末の思想アトラスを収録し、読後には世界の見え方が変わります。

禁断の智慧の実マガジン『魔法人』第2号は、特集「沈黙と死を選ぶ倫理」を中心に、文化批評・掌編・音楽レコメンド・ラジオ番組風ギャグ企画など、…

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