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読者は人間だけじゃない─AIが流通経路になった日/AI時代の読者開発

日経が報じたクラウドフレアの調査は、出版・メディア業界にとって単なるデータではなく時代の鏡ではないでしょうか。

「AI検索の台頭でサイト訪問が激減」

そこで本当に問われているのは
“誰が、どのように読者を獲得するのか”という根本的な「問い」なのです。

「読者の減少」ではなく「読者の定義そのものの変化」

「読者とは誰か?」という根本的な問いが変化している。

10年前、サイト訪問者1人を得るために必要だったクロール数は2ページ。いまやGoogleで14ページ、OpenAIで1700ページ、Anthropicでは約7万ページを超える。
AIが読む速度に対して、人間の訪問が減少している。

これは「PVが減った」という単純な問題ではありません。


これは、AIが新たな「読者」として登場したこと
であり、メディアが向き合うべきは「読者(トラフィック)の減少」ではなく、「読者の定義そのものの変化」なのです。
つまり「前提」が変化している事に焦点を当てねばなりません。

AIが要約し、理解し、引用する

この流れを「脅威」と見るか、「次の読者像」として設計し直すか。その選択が、メディアにとっての具体的な答えになります。

しかし、そのような解説は検索しても出てきません。
なぜか?
それは「メディアはメディアのこと(同業)を書くのは、難しいから。
これが業界の内側の論理であり現実です。

「AIを上手に使う事とは、人間が生み出す価値をAIに正しく評価させること」

その背景や根っこの部分をひも解いてみたいと思います。noteユーザーの方にも、コンテンツを書くときの参考になれば幸いです。



1. 読者は人間だけではなくなった

かつて「読者」とは、人間の目でページを読む存在でした。しかしいまや、ChatGPTやGeminiといったAIが、日々膨大なページを読み、要約し、再構成している。AIはもはや「文脈の読解者」であり、新しい読者の一形態なのです。

そしてAIが読むのは、文章ではなく「意味の構造」です。

「誰が」「なぜ」「どんな文脈で」書いたのか?
この情報が構造として埋め込まれた文章だけが、AIの記録に残る。(AIに記憶はありません記録されるだけです)

だからAIに語彙や文脈を「AIの視点」で教えなければならないのです。

そうしないと、既読スルーされてしまう笑
正しく認識されないのです。

つまりメディアの行うAI時代の新しい「読者開発」とは、AIにも正しく読まれ、文脈も把握される設計デザインを行うことなのです。

せっかくAIを使って記事を量産しても、AIが上手く読めてない状態なら効果は半減です。AIが大量生産している記事は増加してるからです。(記事が少ないよりはマシなんですけどね)

2024年11月には、ウェブ上で公開されているAI生成記事の量が人間が書いた記事の量を超えたことがわかります。2022年11月のChatGPTのリリースと同時に、AI生成記事が大幅に増加しました。わずか12か月で、AI生成記事は公開記事のほぼ半分(39%)を占めるようになりました。これは分析した生データ→コチラ

※しかしAIで書いた記事はSEO対策的には効果がなくて、その後は増加してないようです。やってるサイトは効果に限界を感じたのでしょう。

ちなみに、「AI編集アーキテクト」については、前回のnoteでも書きました。



2. 「SEOの終焉」ではなく「SEOの進化」へ

AI検索が台頭する中で、従来の「SEO」は転換点を迎えてます。しかし「終焉」ではありません。人間によるクリック行動は依然として存在していて、AIと人間の検索行動はしばらく併存します。GoogleのEEATへの対策は、まだ必要なのです。

したがってメディアは

① 人間向けSEO(従来型)
GoogleのE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)対策。
クリック行動を前提とした導線設計。

② AI向けAEO(AI Engine Optimization)
AIが理解できる構造化データ。
著者・出典・意図をメタデータとして明記してAIの「誤読」を防ぎ、より語彙を理解してもらう設計。

たとえばJSONで書いた構造化データ情報を連携させることで、AIが「誰が、いつ、何について書いたか」を把握できるようになります。日本語の業界用語や専門用語も理解してもらえるようになります。

SEOは終わらない。進化するだけ。
つまり「SEOの終わり」ではなく“SEOの第二章”としてのAEOがあるのです。

※実際に、書籍を出している「著名人との対談」等はEEATに有効なことが分かっています。書籍販売のPRにもこの手法は有効だと思います。

「嫉妬 エッセイスト」で検索



3. 「構造化」と「辞書化」──AIに「教える」準備をする

AI時代の読者開発とは「人間に読まれる文章」から「AIに学ばれる構造」への転換です。その鍵となるのが、構造化、つまりAIの辞書を作ること。

たとえば婦人公論.jpで連載された「嫉妬マニア」シリーズ。記事をテキストとして公開するだけでなく、

・感情タグ(嫉妬/承認欲求/比較)
・関係タグ(母/娘/職場)
などで内容を構造化データとして辞書化してます(現在さらに強化中)
それは「AIが人間の感情を理解するための辞書」のようなものです。
※AIの中身は統計学なのです(比喩です)

このような構造化を施す必要があります(Jason・イメージ・抜粋)

{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "Article",
  "headline": "嫉妬という感情の正体",
  "author": {
    "@type": "Person",
    "name": "齋藤ナミ",
    "jobTitle": "エッセイスト"
  },
  "about": ["嫉妬", "感情", "人間関係"],
  "emotionTags": ["嫉妬", "承認欲求", "比較"],
  "relationshipContext": ["母娘関係", "職場", "友人"]
}

だからメディアが行うべきは、単なる記事の発信だけではなくて

監修付きの「構造化データ」として「知を再編集」すること

なのです。
すなわちそれは、AIへの教育でもあります。
AIが「何を」「誰から」学ぶか?
その設計デザインをすることが、AI時代の編集者の役割に加わったのです。
これは、新しい仕事(職種)です。

「AI編集アーキテクト」

・AIが参照する情報を整理する
・AIの出力を監修する
・AI運用のポリシーをつくる

これは技術者でも、従来の編集者でもない。新しい職種です。
※AI先進企業では既にこのような人材採用が始まってます



4. 「広告モデル」+「AIライセンスモデル」へ

出版社の収益構造は、広告と販売が主な収益モデルです。しかしAI時代には、第三の柱として「AIライセンスモデル」を考える必要があります。

ニュースコープ社がOpenAIと締結した5年・2億5000万ドル規模の契約が、すでにこの方向を示してます。


AIがメディアのコンテンツを読むなら、その利用に対して対価を支払う。これは当たり前のことです。著者のためにもしっかりやらねばなりません。

記事から調べたのを例えると「原油」を売っている状態のようで、「ガソリン」や「ジェット燃料」のように「精製したデータ」ではないようです。(非公開なので不明)

【まとめ】主要なAI企業とのコンテンツ・ライセンス契約

これは、AIビックテックだけにライセンス販売するという狭い視野ではありません。ソブリンAIとしての国産AIや、企業AIにも、より専門用語のAI辞書が必要になると考えます。何故ならAI辞書にもアップデートが必要だからです。

メディアの実務的ステップは次の3つです。

  1. 公開情報と監修付きデータは分割(分離)する
    記事は誰でも読める形で公開して、構造化データはAPIなどを通じて限定提供する。(原油は公開、精製した高付加価値データは限定販売みたいな感じです)

  2. AI企業とは、契約・監査権を設定する
    どのモデルが、どの記事を、どのように、学習したかを追跡可能にすること。(AI印税の算出基準にもなる)

  3. 利用料モデルを導入
    トークン消費量や利用範囲に応じて、出版社や著者に還元される仕組みを整備する。

これは、「AIの読む行為」自体に「価値を設定する」ことです。
メディアがAIと向き合うとき、最初の交渉相手は検索エンジンの裏側のAIそのものになります。

AIは学習を終えたのではなくて、合成データによる学習を進めており、推論を強化してます。つまり自分中心で言語を理解しつつあります。(これにも限界があるようです)特に英語がその割合の9割以上を占めており、日本語や他の言語は置き去りにされてます。

※もう遅いとも言えますが、各メディアはAI企業と業界団体を通じた団体交渉や、クローラー拒否機能なども含めた、あの手この手な様々な手段が必要になるでしょう。


5. 「署名とログ」は技術ではなく契約の問題

AI時代における最大の問題は著作権。著者の存在がAIの中で“消える”ことが問題です。
AIが学習段階で内部に取り込んだデータは不可逆変換され、技術的に出典を追跡することは、現状ではほぼ不可能。

※「電子透かし」や学習データの利用履歴を記録する「データ来歴」 といった研究開発は進められており、将来的には技術的な解決策も模索されていますが、この状況に即対応できる技術はありません。

したがってメディアが取るべきは、技術的な解決ではなく、契約的(法的)な対応しかありません。

AI企業を著作権違反で訴えるだけでなく、

①:出典表記の義務
②:著者名・媒体名を明示する事
③:モデル学習ログの保存義務

などを法的に要求することが重要です。

「署名と来歴ログ」は技術の話ではなく、倫理と契約の設計の問題なのです。ここを間違えていると間違った方向に進みます。

AIに「著者の刻印」を残すためには、法と交渉力の両方が必要だと思います。そのためには優れた能力と体力と予算が必要です。



6. 「AI編集アーキテクト」──新しい職種の誕生

AI時代の編集者は、もはや「言葉を整える」だけでない事がご理解いただけたと思います。AIと人間の両方に読まれる構造を設計デザインして、文章の「意味」「背景」「意図」をデータとして翻訳する人が必要になります。

AI編集アーキテクト
の具体的な役割

・AIが参照する情報を構造化する
・AIの出力を監修し、誤情報を防ぐ
・AI運用のポリシーを策定する

これは技術者でも、従来の編集者でもなく
「AI編集アーキテクト」という新しい職種です

つまり人間の感情と言語の間に橋をかける役割が必要とされているのです。
「AI編集アーキテクト」(仮称)は、AI社会における「信頼の設計者」といえるでしょう。



7.AIを使うだけでなく「AIへ教える」へ

AI時代の読者開発とは、AIを使って記事を量産する事だけではありません。課題解決のDXの延長で使うだけでは、AI時代を荒波を泳ぐのは難しいでしょう。

AIに教えるメディアになるとは?

AIが学ぶに値する構造と倫理をどこまで設計できるか。
それがAI時代の「編集力」です

PV数を競う時代から、意味と記憶を資産化する時代へ。

前述した日経の記事中で、Cloudflare CEOが語った「独自性のあるコンテンツはAIというエンジンを動かす燃料」という言葉は、単なる比喩ではありません。

コンテンツの「知の構造」こそが、AI時代の最大の資産なのです。

「AIを上手に使う事とは、人間が生み出す価値をAIに正しく評価させること」

微力ながら皆様のこれからの情報アウトプットのお役に立てれば幸いです。


池松潤
https://lit.link/junikematsu


※AI時代の読者開発についてはこちら

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Jun Ikematsu / 池松潤 チップありがとうございます! よい日をお過ごしください。