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「雪間の草の春」を見せばや

本日の山歩きは陣ヶ峯(323m)。県内でも豪雪地帯である最上地方にひっそり構える低山である。

実はここ、昨秋に訪れた際、「スノーシューで来たら面白いかも」と目をつけていた場所だ。いわば、温めていた一枚の切り札。

ところがこの冬、日程と天気が見事にすれ違い続け、気がつけばもう三月。切り札を使う機会をずるずると逃し続けてしまったジャマイカ┐('~`;)┌。

こうなるともう理屈ではない。一度「行く」と決めた以上、行かないという選択肢は僕の頭から消滅してしまう。

しょうもないお子ちゃま気質という気もしないでもないが……まあ、そのあたりは目をつぶっていただきたい。


とはいえ三月だ。さすがに雪も消えているだろう。
スノーシューは無理でも、早春の花でも愛でながら、のんびり歩くのも悪くない…
そんな軽い気持ちで向かったのだが。

……ところがどっこい。

しばらく登っていくと、だんだんと雪が見えだし、しまいにはしっかり雪。遠慮のかけらもないぞ、おい。

いやはや、山は人の思惑など軽くいなしてくるね。
でも、それでこそ山だ。こちらの都合どおりにいく山歩きなんぞ、どこか味気ないじゃんね。

こちらも丸腰ではないぞ。こういうこともあろうかとワカンを背負ってきた自分を、珍しく褒めてやりたい(^^)✌️。

体育館の駐車場から歩き出すと、山頂手前までは幅広で実に気持ちのいい道が続く。片道3km、適度なアップダウン。
雪を踏みしめるリズムが心地よい。

ずっとつづく尾根道
明け方の放射冷却で薄氷もできてた

途中までは今朝の冷え込みでツボ足でもOKだったが、日が昇るに従って雪もだんだん緩んできた。

さっそくワカンを取り付け、ザックザックと歩いていくと、マンサクが黄色い花をほころばせていた。

ふと足元に目を落とすと、雪の解けた土の上にキクバオウレン。小さな白い花が、雪の気配を押しのけるように咲いている。

冬と春が、同じ場所でさりげなく同居している風景はもはや

花をのみ待つらむ人に山里の
         雪間の春の草を見せばや

               (藤原隆家)

といった風情。
これこそ利休の理想とする侘の世界だ。


山頂直下の細道に取り付く。
さすがにこの細道には雪がない。ワカンを外して最後の登りを一気に詰めると山頂だ。

山頂は雪がほとんど消えていた。眼下に新庄市内が広がっている。

ポカポカの日差しに包まれながら、山頂のベンチでお昼を食べる。遠くに靄に包まれるように鳥海山が見えていた。

どこかの大統領が身勝手に戦火を広げ、その余波がこちとらの日常にも及んでいる……そんな現実さえ、ここではフッと忘れてしまうほど、ゆるやかに、のどかに時間が流れていく。

雪の山歩き と、春の花
どちらか一つでも御の字なのに、まさかの二本立てとは、今日はなかなか贅沢な一日であった。

クロモジ
ホオノキ
ヤマウルシ
コシアブラ
ハシバミ
シュンラン

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<おまけ>

ここでおさらいしておこう、
キクバオウレンは三出複葉だよ。
そして、常緑の草本なので、厳密に言うと
スプリングエフェメラルの仲間じゃないからね。