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ジェフリー・フェファー「『権力』を握る人の法則」

吐き気を感じながら、読みました。はじめに、の中に「あなたの最大の敵は自分自身である」とあります。まさにその通りです。
読み始めたのは3週間前。最初は、自分は取らない行動について書かれた本を読み進めていることに、自分は幅広く様々なことを理解できる、自分と考えが違うことについても、こうして冷静に聞くことができる、と妙な高揚感を覚えていました。
しかし、途中から、読みたいと思う気持ちがどんどん減っていきました。

痛いことを突かれていたからだと思います。

例えば、

実績だけで評価されると思い込んでいる

とか。そう、いつまでも学生みたいにそう思っていました。

しかも、心の奥底ではこれは自分が一番貢献度が大きいと思ったことも、種どころか、球根を植えて育てたのは自分だ、と思っていても、みんながいたから、〇〇のおかげだから、と言っていました。しかも不思議と、うまくいっている仕事は取り上げられ、自分は途中までしか関わることができず、最後をまとめるのは大抵他の人なのです。なので、自分の心に残る仕事の中で、実際自分がやったと言えるくらい、私が最後までできた仕事なんて、数えるほどしかありません。

インポスター症候群って自分みたいなことを言うんだ、などと考えていたこともありました。実際自信があるわけではありません。だから何かがうまくいった時に、色んな人が助けてくれたことを思い出すというのも本当のことです。

運悪くでも実際のところは、ここぞって時(特に組織の上の人に話をする時などには)声が小さくなってしまう性質なのですが。

この4月に私は昇進できませんでした。同じ時期に係長級に昇進したが昇進する中で、私は、遅れました。もちろん同じタイミングの人すべてが昇進したわけではないのですから、自分には昇進には不適格と評価されたことについて、素直に受け止めるべきだと頭では考えましたが、全く心穏やかではありませんでした。
それどころか、なぜ、と怒りの気持ちがとても大きくなっていました。

一方で、そこからいろいろ考えた中で、別に上の立場にならなくても、これまでも、自分がやるべきと思ったことは全て通してきました。言い換えれば、別に、昇進なんかしなくたって、仕事はできる、ほとんどのことを通すことができる、ということに気付いたのです。
また、本当に昇進したいのか、と考えると、そうでもないことに気付きました。
そして自分が何が一番やりたいか、にも気付いてしまいました。

それなのに、なぜこんなにもやもやするのか、それは、自分が一番やりたいと思っていることができなくても仕方がないと思って、日々おとなしく取り組んでいるのに、それなのに評価されないのか、という思いなのだ、ということが分かったのです。

即刻仕事をやめるべきだな、と思いました。
しかし、仕事上のやりたいことはまあまあ実現できているし、そもそも安定した給料というのは、なかなか簡単には手放せません。サンクコスト的なところもあるかもしれません。夫も稼いでいますが、まだまだ子育てにお金がかかる時期、ダブルインカムじゃなくなるのは怖い、などと言い訳をしつつ、どうにかこうにか気持ちを奮い立たせて、仕事をしています。

この本は、山口周「人生の経営戦略」の巻末の経営学独習ガイドブックに挙げられていた本の一つです。読み返すとこの時の読書感想文でも昇進できなかったもやもやを書いています。山口氏の書かれていることに感銘を受けたため、巻末の本をKindleでまとめ買いしました。

最初から、この本は合わないだろうな、と思いました。しかし、山口氏が読んだ方が良いというのだから、読もうと思いました。

権力のある人に擦り寄る、自分は違う考えを持っていても、全く言わずにそのまま従うような人間を、くだらない、自分がない、そう思って、見下していました。
競争して闘うことも大事だと書かれていました。そんなことをしていたら、仕事に集中できないのではないかと思いました。

しかし、この本にはそういうことが大切だ、と書かれていたのです。

もう30年以上前のことを思い出しました。
高校生だったころ、私が不合格だった高校に通うクラスメートと塾で遭遇しました。その時、彼女は私に、今度は上級クラスの試験に合格した、と自慢してきたのです。少し迷いましたが、私は、そうなんだ、とだけ言いました実は私はその時、上級クラスの一つ上、最もレベルの高いクラスに合格していました。だからさすがに、そうなんだ、すごいね、とは言えなかったのです。もし自分のことを訊いてくれれば、答えたかもしれませんが、彼女は訊きもしませんでした。
その時に頭に浮かんだのは、今までの慣例に従えば、近いうちに誰がどのクラスに合格したか、の結果表が貼り出されるということです。
私に訊かなかったのは、自分の通う高校を落ちた私が自分を超えることなどありえないと思っていたのでしょう。そもそも自分が上級クラスに合格したことが嬉しくて、私の状況とか、何も考えていなかったのかもしれません。帰り道にそんなことを考えながら、後から、彼女が貼りだされた結果表を見て、悔しさと恥ずかしさを感じるであろうことを想像して胸がすく思いがしました。

自分は手を汚さず、ちょっとした痛みを与えることができたこの1件は気持ちのよい記憶となりました。そして、「周りのことを気にせず誰かを傷つけるようなことを平気でする人に、やり返す必要はない」といった考え方に昇華されていきました。実際、私自身を傷つけた人は、とても不幸そうだったり、あるいは、その後で不遇な思いをすることが多いことに気付きました。それは多分、私だけを傷つけているわけではなく、誰に対してもそうだからです。

そして、人と競争したり、誰かを蹴落としたりするようなことは良くないこと、という考え方に縛られてきました。
そういう扱いを受けることはあっても、やり返すなんて品位のないことはやってはいけない、と考えてきました。

でも、この本はそれを徹底的に否定するものでした。

はじめにーー「権力」を握る準備を始めよ
第1章 いくら仕事ができても昇進できない
第2章 「権力」を手にするための七つの資質
第3章 どうやって出世街道に乗るか
第4章 出る杭になれ
第5章 無から有を生み出すーーリソースを確保せよ
第6章 役に立つ強力な人脈を作れ
第7章 「権力」を印象づけるふるまいと話し方
第8章 周りからの評判をよくしておくーーイメージは現実になる
第9章 不遇の時期を乗り越える
第10章 「権力」の代償
第11章 権力者が転落する原因
第12章 権力闘争は組織とあなたにとって悪いことか
第13章 「権力」を握るのは簡単だ

目次より

この本にははっきりと、「世の中は本来的に公正だと考えるのはもう終わりにしよう」と書いています。確かに、もし公正な人ばかりが出世するのであれば、この世にパワハラなんて言葉はないかもしれません。権力を悪い形で使って法に触れるようなことをしてしまう人もいないはずです。

現実を見なければいけないのかもしれません。

「この世にいるのが謙虚で誠実で博愛精神に満ちた人間ばかりなら、たしかに世界はもっと美しく思いやりに満ちた場所になるだろう」とも書いています。残念ながらそうではなりません。ここにら書けないような色んなこと、傷付いた人の言葉、私は何もできなかったことを思い出しました。それをどうにかしたい、ともがくのも、無理なことなのかもしれません。

多くの人は、自分たちが所属する組織について、一致協力して共同幻想を作り上げている。自分たちの居場所が清く正しくて、誰がおのおのの価値に見合った処遇を受けられると信じたいからだろう。しかもたいていの人が自分は厚遇に値すると思っており、よい仕事をして規則を守っていれば、それに見合う待遇がちゃんと用意されると無邪気に考えやすい。

はじめに―—「権力」を握る準備を始めよ  世の中は公正・公平ではない

リーダーシップ本などでは、公正な考え方が示されがちですが、それも、きれいごとでごまかしている、と言い切ります。なるほど、確かにそうなのかもしれません。自分が心酔したいくつかのリーダー本のことを思い出しながら、悲しい気持ちになりました。

本音と建前、とか、一番理解できない言葉かもしれません。

このように書かれると、心親しく感じている様々な人、組織の中の人も外の人のことも思い浮かべながら、本当にそうなのだろうか、と思ってしまう気持ちもあります。
しかしもしかしたら、気付かないうちにそういう人たちとばかり、話をするようになっていたのかもしれません。嫌いな人とはできるだけ話したくありません。必要最低限にして避けてます。あるいは、私のことを世の中を知らないと思いながら、そっとしておこう、話を合わせておこうと思っていたのかもしれません。
あるいは、能天気な私を利用してやろう、と思っていた人もいたのかもしれません。

自分をアピールすること。
自信がなくても、自信があるようにふるまうこと。
人を蹴落とすこと。
人を疑うこと。
いい子ぶるわけじゃないですが、正直なところ、苦手です。
そこまでして、権力を握りたいか、と思うと、微妙です。吐き気がします。

そういえば、何かうまくいったことは自分から報告し、失敗したことは部下に報告させる人とかいました。私の場合は、うまくいった時は本人と一緒に、失敗した時は、自分だけで報告するタイプですけど、こういうのもやめた方がいいんですかね。

でも、昇進できなかったことを気にしている時点で、ここは行動を変えるべきなのかもしれません。

まあ、慣れないことをすると失敗するかもなので、ほどほどにしておこうとは思いますけど、自分アピールくらいはやってみますかね。あ、アピールしてうまくいかなくても、失うものはないと書いてありましたし。

最後まで読めたこと、自分と考えの違うことを受け止めたことは、最大の敵である自分を少しだけ変えられたかな、と考えています。

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