万博おかわり【行こ行こ#18】大阪万博2025
はてさて、万博編も長い事書いてきてもう8本です。今回はいよいよ最終回です。どうぞ。
前回はこちら↓
決断
大阪から帰る前夜。
私は梅田の喫茶店で、ひたすらMacとiPadを叩き続けていた。
そう、大阪3日目は仕事に追われていたのだ。
「何処でも仕事ができる仕事」は、「何処までも仕事が追いかけてくる暮らし」でもある。

しかし、そんな疲労を吹き飛ばす魔法が、大阪駅前ビルの地下街にある。
旅好きなtacowasaが「北新地のビルに行ってみ!安くて旨い居酒屋がごまんとあるよ!」と勧めてくれたのだ。

仕事を片付けた頃にはすっかり夜。
教えてもらったビルは、確かにワンダーランド。
安くて旨い店がたくさんある。なにせ初日から数えて3日連続訪れている。
私はハイボールのグラスを傾けながら私は考える。
「このまま帰っていいのか?」と。
万博、あれだけ楽しかった万博。
たった一日で終わりでいいのか?
否。否である。
「行こう、もう一度」
私は酒の力も借りて、万博おかわりを決意した。
(ハイボールもおかわりした)

よりによって
だが、当然のように翌日の朝イチ入場券はほぼ完売。
奇跡的にゲットできたのは……よりによって西ゲート・朝9時入場券。

「……うーむ。まあ違う到着方法も乙だよね。」
初日に行った「東ゲート」からなら電車でスイスイである。
行った事もあるので迷わない。
西ゲートは地の果てのような場所。
予約した特別便のバスか、フェリーなどでしかアクセスできない。
更に東ゲートから西ゲートは、移動手段がないのだ。
かといってもう一度予約取り直すのも面倒なので、最終日は西ゲートから入場を目指す事にした。

大苦戦! 西ゲートへの道
翌朝、私は早朝からチェックアウトし、近鉄の大阪難波駅へ向けて出発。
だが、これがまるで人生の縮図のようにうまくいかない。



地下鉄入り口も複雑で見つけ難い。
更に慣れない土地。
大阪の広大な地下から考えれば、新宿なんてマジでイージーモードだ。

桜島駅で降りると、万博専用シャトルバスの乗り場は、信じられないほどの人とバスと係員でごった返している。



バスは出発すると、大きな橋を渡ったりしながら埋立地へ向かってゆく。

「ハズレのルートだったかなぁ」と、想定よりも複雑な乗り継ぎに焦っていた、
その時。

すみません、
このルートも良いです。
なんか遠くに万博会場見えた瞬間に、たまたまApple Musicで掛けてた曲が、アニメ「プラネテス」のBGM「jupiter Highway」がかかりましてね。
橋を越えて「あ!万博会場だ!」ってなった時に、曲の0:30くらいが来ましてね。
プラネテスの「発展途上国のエンジニアが宇宙規格の宇宙船を作る話」と「連邦の看板を落とす話」と「手を伸ばせ!ユーリー!という台詞」と「高高度旅客機とニアミスする話」の映像がフラッシュバックして。
人類の営みてぇてぇ(尊い)
みたいな心境になりました。
「ハズレルート」みたいに言ってすみません。
更に追い討ちで次の曲が「Urgent mission」という曲で。
これがまた名曲なんだ。
9割方、曲の作用で感涙しまして。
なんか、万博が始まるぞー!と、既に来た事あるにも関わらずグッときたのでした。

結果、私は予約していた9時の入場時刻をとうに過ぎ、ようやく会場入りしたのは9時52分。
すでに人気パビリオンの当日予約は全滅。
朝から走って、バスに揺られて、ようやく着いた先で「予約は終了しました」の文字を眺める虚しさよ…。
とは言え、後悔は無かった。
来られただけで本当にありがたい。
帰りの飛行機までの時間、見れる所まで見よう。

パビリオン巡り・ダイジェスト
ひとつひとつ説明していたらキリが無いので、最終回という事もあり、ダイジェストでお届けします。
実施はもっともっと行っているのですが。
■ 大阪ヘルスケアパビリオン

IPS細胞の人工心臓がクラゲのように動く展示が肝だ。


皆、熱心に人造心筋を観察している。


小さな子供の純真な目が、この不思議な円盤見つめている。
横に設置してあるディスプレイでは、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授のメッセージが流れている。
「私が科学に興味を持ったキッカケのひとつは、1970年に行った万国博覧会でした。」
そうだ。これも万博の意義。
少年少女の曇りなき目で、未来を夢見てもらう。
山中教授がそうだったように。
1970年の万博で未来を夢見た科学少年たちが、今やノーベル賞科学者となっている。
「未来への種」は今日、蒔かれたかもしれないのだ。
■ 日本パビリオン

ここでは火星から来た隕石に触ることができる。
「火星の石を直に触った」という実績を解除。
……何も起きない。






■インドパビリオン


建築中のインドパビリオン。
日本語表記が「インド」ではなく「バーラト」になっているのも現代っぽい。
Wikipediaで語源の旅をしていた時、その項目を読んだ。
それぞれの立場や歴史があるんだなと改めて思う。
■チュニジアパビリオン



スターウォーズをお好きな方ならば、チュニジアは馴染み深いかもしれない。
スターウォーズの砂漠、そのロケ地こそがチュニジアなのだ。
まあ、砂の展示はないんだけどね。
装飾品など一切買わない私が、ブレスレットを購入。アラビア文字で名前を彫ってもらった。

一日中つけてたら、銅製だったらしく緑青(ロクショウ)が出てしまい、手首が染まってしまった。
昭和世代は「緑青は毒」と教わっているので、青ざめたりした。
調べたら毒じゃないってさ。
■シンガポールパビリオン

ラクサヌードルという名物料理。
1800円也。(ちょっと高いなぁ…)
■石のなんか浮いてるやつ

危ない危ない騒がれていたやつ
誰も気にしていない…
■モナコ公国パビリオン



この木の周りにあるテーブルというか、立体地図というか。木漏れ日含めて最高。
庭に欲しい。
■建築中の何か

今見ても何かは分からない。
ただ通り過ぎるだけ。歩き回っている。
■スペインパビリオン

階段が見事だった。
空間の使い方が良い。ここら辺までくると展示の内容入ってこない。情報過多。
しかも“全部覚えたい私”との相性もあって、過多。


■ミャクミャクコレクション

ミャクミャクが正式に決まった時に、私は結構好きだった。でも世間があまりにも不評で、なかなか言い出せなかった。
今回、キャラクターものの扱いが上手い日本人ならではのインスタレーションがあるので少し紹介したい。













■とあるトイレの手洗い

手を洗うスペースが超好みで、美しかった。泉を思わせる。
■中国パビリオン

デカくて漢字がいっぱい書いてる。
入りたかったけど人気で無理だった。
■ TECH World(台湾)

台湾は日本では国家として承認していない。そして万博にも“台湾”の名前では出られない。
その為、テックワールドという名前で出展。
半導体の製造過程から自然まで、台湾の魅力がギュッと詰まっている。
お土産も頂いた。




特にキチンと編集していないのだが、動画を撮っている。
■タイ王国

鏡を使い、見事に倍に見せている。
批判があると聞いてびっくり。私は個人的に好きな工夫だよ。
■ サウジアラビア

まるで中東の宮殿のような壮麗さ。
次回万博の開催国だけあって気合がすごい。
しかもピンバッジが370円という爆安価格。思わず2つ買う。









■ オマーン

赤い建物が目を引く。中庭で飲んだ冷たいお茶が身に染みる…。
万博の中でも、静かな癒やしスポット。
たぶん座れるので行くと良いかも。中は入らず。







■ オーストリア

エクセントリックな形状のパビリオン。
オーストラリアといえば、モーツァルト、ヴィトゲンシュタイン、小鳥遊キアラ(VTuber)。
展望台から見渡す万博会場の眺めは最高。
予約不要穴場スポット。






■ トルクメニスタン

独裁国家と名高いトルクメニスタン。
スタンとつくならば中東なのかな?
ほぼプロパガンダ映画な展示は必見。如何に原王権が正当かをアピール。
聖なる獣として現れたのは愛らしい犬。
世界の多様性を感じる良い展示。










映像も撮ったのでフルで載せておこう。
■null2

落合陽一さんという方が作ったらしいパビリオン。
人気パビリオンとのことだが、この日はスッと入れた。鏡とか使ったインスタレーション。




動くとこんな感じ
■木製大屋根リング

結局これが1番好きだったかも。
2kmを独り喋りしながら56分掛けて1周。
芝生のエリアもあり、本当に気分がいい。
これが近所に欲しい。本当に。

ずっと喋っているので音は切っていますが、凄い長い動画も撮りました。
以上、ざっくりレポートでした。
長かったー(笑)
帰路
時間はあっという間に過ぎ、私は18:20発の関空行きバスへ。


「まだ居たい」
「もっと万博を味わいたい」
後ろ髪を引かれる思いを飲み込み、泣く泣く万博会場を後にする。
高速道路で1時間。
関空って結構遠い。
関空に着くと、またしても罠が。
JALのスタンプ(通称・御翔印)は制限エリア内。
クレジットカードラウンジは制限エリア外。
一刻も早く御翔印が欲しかった私は、保安検査上を通過し、「どうせ中にもラウンジあるだろう」という思い込みで、安住の地を失ったのだ。
結局、早く入りすぎた私は、ゲート前の椅子に腰を下ろし、原稿を書き、写真を整理し、
「もう関空は当分来たくない」と心の中でつぶやいた。
計画段階では
「行きが伊丹で、帰りが関空なら、1回の旅でJAL御朱印2種類クリア出来る。」
とか言ってた、過去の私をぶん殴りたい。
ペイル・ブルー・ドット
そんなこんなで、私は万博という“地球の縁日”のような場所から帰ろうとしていた。
世界中にはたくさんの国がある。
その全てがパビリオンを出しているわけでは無いし、パビリオンの内容なんて、その国のほんの僅かである。
見終わって、私はある科学者の言葉を思い出した。
その昔、ヴォイジャー探査船を作ったカール・セーガン博士が語った「ペイル・ブルー・ドット(淡く青い点)」という言葉だ。
それは、ボイジャーが太陽系の全ての天体を写真に撮れる程、遠ざかった時の事。
博士はある提案をする。
「太陽系の家族写真を撮ろう」
太陽系の全ての惑星を、一枚の写真に収めるというのだ。
“学術的にはあまり意味をなさない。”
そう、私が読んだ本には書いてあった。
ロマンチストな博士らしい提案だった。
一枚の写真に写った太陽系の中で、地球は僅か“0.12ピクセルの淡く青い点”だったそうだ。
そこでは、愛も、戦争も、歴史も、進歩も、調和も、今日の私の万博おかわりも、全てがこの小さな点の上で巻き起こっている。
ほんの小さな青い点に、こんなにも豊かで楽しい営みが詰まっている。
そう思うと、関空での小さな失敗も、朝の西ゲート待ち時間も、押し間違えたスタンプ帳さえも、すべてが愛おしく思える。
東南アジアの家族とガンダム横で笑い合い、犬のプロパガンダ映像を見、2つ買ったピンバッジに一喜一憂した私は知っている。
この淡く青い点には、愛すべき日常と、平和への願いがぎっしり詰まっている。
ありがとう、万博。
さようなら、大阪。
また「おかわり」する日まで――。

記事:まるのすけ
あとがき
まさか8本も万博について書くとは…。
全く持って呆れ返るばかりである。
書こうと思えばまだ全然書けるけれど、次のシリーズ書きたいのでここでお仕舞い。
根気強く読んで下さった皆様に感謝とご多幸を。
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